Vinyl Record Reviews
Brian Enoは、1948年5月15日にイギリス・サフォーク州ウッドブリッジで生まれた電子音楽家、プロデューサーだ。Electronic、Rock、Popの領域をまたぎながら、Ambient、Experimental、Art Rock、Glamといったスタイルに関わってきた。
音楽活動だけでなく、技術や視覚芸術への関心でも知られている。イプスウィッチとウィンチェスターのアート・スクールで学び、音楽以前に美術や実験芸術の土台を持っていた点も特徴的だ。
音楽キャリアの出発点は、Roxy Musicでの活動だ。ここではシンセサイザーやサウンド処理を担当し、初期のバンド・サウンドに強い個性を加えていた。その後ソロ活動に移り、実験性の高い作品を次々に発表していく。
ソロ期の重要な流れとしては、1975年にピーター・シュミットと共に考案した「Oblique Strategies」がある。これは創作の停滞を避けるための指示カード集で、制作の現場に偶然性や別の視点を持ち込むための道具として使われた。
Brian Enoを語るうえで外せないのが、アンビエント・ミュージックだ。1978年の『Ambient 1: Music for Airports』では、長さの異なるテープ・ループを重ねる手法を使い、演奏のたびに構造が変わるような音楽を作っている。この作品群を通じて、「ambient music」という言葉を広めた人物として知られている。
1975年の『Another Green World』も転換点としてよく挙げられる。事前の準備をあまり置かずにスタジオへ入り、即興や偶然性を取り入れながら制作された作品で、後のアンビエント寄りの作風につながっていく。
Brian Enoは共作者、プロデューサーとしての仕事も多い。特にデヴィッド・ボウイとの関係は重要で、『Low』『Heroes』『Lodger』からなるベルリン三部作に参加している。後年の『1. Outside - The Nathan Adler Diaries: A Hyper Cycle』や「I'm Afraid Of Americans」でもボウイと関わった。
デヴィッド・バーンとの『My Life in the Bush of Ghosts』(1981年)では、サンプリングを前面に出した制作が行われている。ロックやポップの文脈に、当時としてはかなり先進的な手法を持ち込んだ作品として参照されることが多い。
ほかにもRobert Fripp、Robert Wyatt、Jon Hassell、Clusterなどと共演している。プロデューサーとしてはU2、James、Coldplayなどを手がけている。
Brian Enoは音楽以外の分野でも活動してきた。コーアンのアルゴリズム音楽ジェネレーターの開発にも関わり、生成的な音楽の考え方を実践してきた人物でもある。
また、1996年には「Long Now Foundation」の設立に関わっている。これは社会を長期的な視点で考えることを目的にした活動だ。さらに、イギリスの新聞The Observerでコラムも執筆している。
1994年と1996年にはBRIT Awardsで最優秀プロデューサー賞を受賞している。2019年にはRoxy MusicのメンバーとしてRock & Roll Hall of Fame入りを果たした。
Brian Enoは、演奏者としてだけでなく、制作の方法そのものを更新してきた人物として見られている。アンビエントの定着、サンプリングの早い段階での活用、ロックやポップ作品への制作面での介入など、関わった領域はかなり広い。