Eno - Here Come The Warm Jets (1974)
Brian Eno 1974

Eno - Here Come The Warm Jets (1974)

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Brian Eno『Here Come The Warm Jets』(1974)

ブライアン・イーノの初ソロ・アルバム『Here Come The Warm Jets』は、1974年2月にUKのIsland Recordsから出た作品である。Roxy Music脱退後の最初のソロ作として位置づけられ、のちのアンビエント作品で知られるイーノの出発点を、かなり別の角度から示している一枚でもある。内容はアート・ロックとグラム・ロックを土台にしながら、実験的な処理や変則的な構成が前面に出たもの。曲単位で見ても、ポップな輪郭を保ったまま、音の置き方や歌い方で外していく場面が多い。

作品の立ち位置

このアルバムは、イーノのソロ活動の最初期を代表する作品としてよく語られる。Roxy Music在籍時の華やかさや鋭さを引き継ぎつつ、バンドの文脈よりも個人の発想が強く出ている点が特徴的である。演奏や録音の設計にも、普通のロック・アルバムとは少し違う視点が見える。実際、イーノ自身は抽象的な方法で制作を進めたとされ、バンド・メンバーに踊らせ、その動きに合わせて演奏させるといった手法も用いたという。歌詞面でも、意味を先に決め込むのでなく、口にしたナンセンスな言葉を後から歌詞の核にしていったというエピソードがある。

録音は1973年9月、ロンドンのMajestic Studiosで行われ、ミックスはAir StudiosとOlympic Studiosで進められた。短期間で仕上げられた作品でありながら、参加者はかなり多彩で、Robert Fripp、Phil Manzanera、John Cale、HawkwindやMatching Mole、The Pink Fairies周辺のミュージシャンたちが関わっている。イーノ単独の作品というより、当時の英国ロック周辺の人脈が交差した記録としても読める。

サウンドと曲の印象

全体を通して、きっちり整ったアルバムというより、曲ごとに手触りが違う。攻撃的なギターが前に出る曲もあれば、メロディを押し出した曲もある。例えば「Needles in the Camel’s Eye」は、勢いのあるリズムとギターが先に立つ曲で、グラム・ロックの直進性が見えやすい。「Baby’s on Fire」はこのアルバムを代表する一曲として知られ、Robert Frippのギター・ソロが特に有名である。高密度の音が重なり、曲の中心を少しずつずらしていくような展開が印象に残る。

一方で「On Some Faraway Beach」には、硬い音の中に別の温度がある。後年のアンビエントに直結するわけではないが、イーノが音の余白や配置に敏感だったことはよくわかる。タイトル曲「Here Come The Warm Jets」も含め、歪みやノイズをただの荒さとして置かず、曲の構造の一部として扱っている点がこの作品らしい。聴感としては、ロックの推進力と、作曲の実験性が同じ盤面に並んでいる感じである。

同時代との関係

1974年という時期を考えると、このアルバムはグラム・ロックの終盤と、アート・ロックの拡張が重なる位置にある。Roxy Music、David Bowie周辺の動き、あるいはVelvet Underground的なノイズ感覚とも比較されやすい作品である。とはいえ、単純にどれかの模倣というより、ポップの形を保ちながら別の方向へずらしていく作り方が目立つ。後年の評価では、こうした点が「異形のポップ」として見直されている。

同時代の批評では反応が割れたが、のちに重要作として扱われるようになったのは自然な流れに思える。UKアルバム・チャートでは最高26位、米国Billboardでは151位を記録している。大ヒット盤ではないが、イーノの名前をソロ・アーティストとして定着させた初期の核であることは間違いない。

このUKオリジナル盤について

今回の盤は1974年UKリリースのオリジナル期のもので、Island Recordsのカタログ番号はILPS 9268。ジャケットはマット仕様で、背はピンチド・スパイン・エンディングの作りになっている。ラベル表記ではE.G. Music © 1973、Island Records Ltdのクレジットが見られる。こうした初期盤らしい仕様は、作品の初出当時の空気をそのまま残している。

『Here Come The Warm Jets』は、ブライアン・イーノが後に広げていく仕事の出発点としても重要なアルバムである。アンビエントの作家として語られる前のイーノが、ロックの形式を使ってどこまで崩せるかを試しているような内容で、曲の輪郭、音の置き方、参加ミュージシャンの使い方まで含めて、かなり早い段階で独自の方法を示している一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Needles In The Camel's Eye 3:25
  2. A2 The Paw Paw Negro Blowtorch 3:00
  3. A3 Baby's On Fire 5:15
  4. A4 Cindy Tells Me 3:30
  5. A5 Driving Me Backwards 5:15
  6. B6 On Some Faraway Beach 4:40
  7. B7 Blank Frank 3:35
  8. B8 Dead Finks Don't Talk 4:20
  9. B9 Some Of Them Are Old 4:40
  10. B10 Here Come The Warm Jets 4:00

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