Vinyl Record Reviews
Chaka Khanは、アメリカ出身のファンク/ソウル・シンガーだ。1953年3月23日、イリノイ州のGreat Lakes Naval Training Stationで生まれ、シカゴのサウスサイドで育った。11歳のときに最初のグループ、Crystalettesを結成し、高校時代にはAffro-Arts Theaterにも参加している。のちにBlack Panthersの朝食プログラムで活動していた時期に、アフリカ名のChaka Khanを名乗るようになった。
1969年に高校を辞めたあと、KhanはLyfe、Babysittersといったグループを経て、元The American BreedのKevin Murphy、Andre FischerとともにRufusを結成した。Rufusは1973年にABC Recordsからデビューし、1970年代のファンク・バンドの中でも重要な存在になった。Khanの力強いボーカルを軸に、ゴールドやプラチナを獲得したアルバムを複数残している。
Rufus期の代表曲としては「Tell Me Something Good」がある。これはStevie Wonderが提供した楽曲で、全米Billboard Hot 100で3位を記録し、1975年のグラミー賞でBest R&B Vocal Performance by a Duo, Group or Chorusを受賞した。
Chaka Khanは1978年にソロ活動へ移行した。ソロ初期の代表曲「I’m Every Woman」は、Ashford & Simpsonが彼女のために書いた曲で、ソロ・キャリアの入口をはっきり示す1曲になっている。その後も「What Cha Gonna Do For Me?」「Clouds」「Papillion」「I Feel For You」「Through The Fire」などを発表し、ソロでも存在感を保った。
特に1984年の「I Feel for You」はよく知られている。もともとはPrinceが1979年のセルフタイトル・アルバムで歌った曲で、Khan版はArif Mardinがプロデュースした。Grandmaster Flash and the Furious FiveのMelle Melによるラップ・イントロ、Stevie Wonderのクロマチック・ハーモニカが入っていて、Prince本人は参加予定だったものの、『Purple Rain』関連のスケジュールの都合で不参加になり、Wonderが代わりに演奏している。この曲は全米Billboard Hot 100で3位、R&Bチャートとダンスチャートで1位、UKシングルチャートでも1位を記録し、グラミー賞では最優秀R&Bソングと最優秀女性R&Bボーカルを受賞した。
Chaka Khanは、3オクターブに及ぶ声域と、ファンク、ジャズのスキャット、R&Bバラードまで歌い分ける歌唱で知られている。プロフィール上のジャンルにはElectronic、Pop、Funk / Soulが挙がっていて、スタイルとしてはFunk、Discoが中心に置かれている。Rufus時代のファンク色の強い楽曲と、ソロでのポップ寄りのヒット曲の両方があるので、活動全体を見ると、黒人音楽の複数の流れをまたいでいる。
「クイーン・オブ・ファンク」と呼ばれることが多く、その背景にはこうした歌唱力と表現の幅がある。後進のシンガーへの影響も指摘されていて、Mary J. Blige、Erykah Badu、Janelle Monáeの名前が挙がることがある。
「I’m Every Woman」は、1992年にWhitney Houstonがカバーして広く知られるようになった。1999年の『Divas Live ’99』では、Chaka KhanとHoustonがこの曲をデュエットしている。
1999年には、自閉症の甥をきっかけにChaka Khan Foundationを設立した。自閉症の啓発や研究支援に取り組み、連邦議会でのロビー活動を通じて自閉症関連法案の再承認にも関わっている。
Chaka Khanは、Rufusでのファンク・シーンでの実績と、ソロでのヒット曲の両方を持つシンガーだ。代表曲を追うだけでも、70年代のバンド・サウンドから80年代のR&B/ポップまで、時代ごとの音作りの変化が見えてくる。活動歴、受賞歴、そして後進への影響まで含めて見ると、アメリカのファンク/ソウル史を語るうえで外しにくい名前だ。