Chaka Khan - What Cha' Gonna Do For Me (1981)
Chaka Khan 1981

Chaka Khan - What Cha' Gonna Do For Me (1981)

Funk / Soul Funk Soul Contemporary R&B

Chaka Khan『What Cha' Gonna Do For Me』レビュー

1981年にリリースされたチャカ・カーンの『What Cha' Gonna Do For Me』は、ソロ転向後の流れをさらに前へ進めた3作目のアルバムである。Rufus時代から続くファンク/ソウルの骨格を保ちながら、より洗練されたコンテンポラリーR&Bへ寄せた内容で、80年代初頭のブラック・ミュージックの空気がよく反映されている。プロデュースはアリフ・マーディン。チャカのソロ作ではおなじみの組み合わせで、声の強さを前面に出すだけでなく、曲ごとの構成やアレンジの運びにも細かく気を配った仕上がりになっている。

制作背景とアルバムの位置づけ

本作はスイスのモントルーにあるマウンテン・スタジオを中心に、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコでも録音された。複数の都市をまたぐ制作環境は、当時の大作ソウル・アルバムらしい動きのある作り方で、実際に聴いても曲ごとに空気の切り替わりがある。スターリング・サウンドでマスタリングされており、音像は比較的くっきりしている。

チャカ・カーンにとっては、Rufusで築いたファンクの感触と、ソロ歌手としての表現を結び直した時期の作品にあたる。前作までで「I’m Every Woman」のような代表曲を手にしていた流れの中で、本作はソロ・アーティストとしての輪郭をさらに固めた一枚。後年の『I Feel For You』ほど大きくポップ化する前段階にあり、ファンク、ソウル、ジャズの要素が比較的自然に同居している。

タイトル曲の存在感

表題曲「What Cha' Gonna Do For Me」は、このアルバムを語るうえで外せない1曲。シングルとしても強く、ビルボードのR&Bシングルチャートで1位を記録した。リズムの切れ味と、チャカの声の押し出しが噛み合った曲で、メロディの運びは素直でも、歌の細部にはかなりの情報量がある。サビに向かう勢いだけでなく、フレーズの置き方に黒っぽい粘りがあり、当時のR&Bの中でもかなり印象を残す部類だ。

アルバム全体もこの曲の性格を軸に回っている。派手に盛り上げるというより、グルーヴを保ったまま歌を立てる作りで、同時代のアース・ウィンド・アンド・ファイアーやRufus周辺のソウル/ファンク作品と並べて聴くと、演奏の密度と歌の前面性がよく見える。

注目曲「And The Melody Still Lingers On (Night In Tunisia)」

もう一つ大きいのが「And The Melody Still Lingers On (Night In Tunisia)」。ディジー・ガレスピーが参加し、ガレスピーとフランク・パパレリの「Night in Tunisia」を土台に、チャカとマーディンが再構成した楽曲である。さらにチャーリー・パーカーが1946年に録音したアルト・サックスのソロがそのまま挿入されており、後年のサンプリング的手法を先取りした構成として知られている。

この曲の面白さは、ジャズの引用が「飾り」ではなく、楽曲の芯に組み込まれているところにある。ソウル・アルバムの中でジャズ史の断片がそのまま響くので、単なるクロスオーバー以上の感触が出ている。チャカの歌がその上でしっかり現代的なR&Bのリズムに乗るため、ジャズ寄りの耳でも、ソウル寄りの耳でも引っかかりがある。

サウンドと聴きどころ

本作を通して感じるのは、歌の強さを支える演奏の整理のされ方である。ドラム、ベース、キーボードの土台は硬く、そこにホーンやギターが細かく絡む。チャカの歌は力任せではなく、フレーズの頭と終わりをきっちり置くタイプで、バンドの推進力とぶつからずに前へ出る。ファンクの跳ね方とソウルの伸びが同じトラックの中にあるため、曲によっては踊れる感触があり、別の曲ではじっくり聴かせる構造になっている。

アルバムのクレジットを見ると、録音地の広がりや複数のミュージシャンの協力がはっきりしていて、当時の大型制作の空気が伝わる。インナー・スリーブにはクレジットやライナーノーツも入り、US盤らしい丁寧な作り。レーベルはWarner Bros. Recordsで、1981年のオリジナル盤らしい時代の印象をそのまま持っている。

1981年のR&Bの中で

1981年は、ディスコの余熱が残りつつ、ファンクやソウルがより洗練された形へ移っていった時期である。その中で本作は、派手な流行語に寄らず、歌、演奏、アレンジのバランスで勝負している。チャカ・カーンの作品群の中では、ソロ・シンガーとしての強さを確立しつつ、ジャズの引用やミュージシャン同士の呼吸も見せる一枚として位置づけられる。

結果として『What Cha' Gonna Do For Me』は、ヒット曲の存在だけでなく、アルバム全体の統一感でも記憶される作品になっている。チャカの声を中心に据えながら、80年代初頭のソウル/ファンクがどこへ向かっていたかを、かなり具体的に示した一枚である。

トラックリスト

  1. A1 We Can Work It Out 3:41
  2. A2 What Cha' Gonna Do For Me 3:52
  3. A3 I Know You, I Live You 4:28
  4. A4 Any Old Sunday 3:36
  5. A5 We Got Each Other 3:54
  6. B1 And The Melody Still Lingers On (Night In Tunisia) 5:01
  7. B2 Night Moods 4:18
  8. B3 Heed The Warning 4:32
  9. B4 Father He Said 3:51
  10. B5 Fate 3:18
  11. B6 I Know You, I Live You (Reprise) 1:18

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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