Vinyl Record Reviews
Easy Goingは、イタリアのディスコ・プロジェクトだ。名前は、ローマにあったゲイクラブ「Easy Going」に由来する。1970年代後半のローマで動き出し、ディスコ、ファンク、ソウル、エレクトロニックの要素を組み合わせた楽曲を発表した。
結成時の中心には、クラブのDJだったパオロ・ミチオーニ、ダンサー兼DJ/照明担当だったフランチェスコ・ボナンノ、オッタヴィオ・シニスカルキがいた。音楽面ではクラウディオ・シモネッティが大きな役割を担い、作曲、編曲、プロデュースを手がけた。歌詞はジャンカルロ・メオが担当している。
1978年、1stアルバム『Easy Going』からのシングル「Baby I Love You」がヒットした。この曲は世界的に広まり、ニューヨークのクラブでもよくかけられたとされる。イタリアのディスコが海外のダンスフロアに届いた初期の例として、よく参照される作品だ。
「Baby I Love You」のヴォーカルは、シモネッティ自身の声を電子的に加工したものだ。ここには、当時のディスコらしい機械的な質感と、クラブで鳴らすことを前提にした作りが見える。
翌1979年には2ndアルバム『Fear』を発表した。収録曲は8分を超える長尺トラックが中心で、クラブ向けの構成になっている。表題曲「Fear」は、ゲイであることに気づいていく男性を描いた曲として知られている。
1980年の3rdアルバム『Casanova』では、パオロ・ミチオーニの代わりにシンガー兼ダンサーのラッセル・ラッセルが参加した。これで初期3作がそろい、Easy Goingの活動はイタロ・ディスコの成立期と重なる形になった。
特にクラウディオ・シモネッティの関与は重要だ。彼は後にHi-NRGやイタロ・ディスコの先駆者として知られるようになるが、Easy Goingの作品では、その方向性の初期形がすでに確認できる。Giancarlo Meoとの組み合わせも、この時代のイタリアン・ディスコらしい作り方を支えている。
Easy Goingの3作は、イタロ・ディスコというジャンルの形成に関わった作品として扱われることが多い。とくに「Baby I Love You」は、イタリアのダンス・ミュージックが国境を越えて流通していく流れの中で、早い段階の代表例になっている。
1970年代末のディスコは、アメリカだけでなくヨーロッパでも独自の展開を見せていたが、Easy Goingはそのなかで、クラブ発の企画性と電子的なサウンド処理を結びつけたプロジェクトとして残っている。ローマのクラブ文化と、後のイタロ・ディスコの接点をたどるときに外しにくい名前だ。
この3枚を通して聴くと、Easy Goingがどのようにクラブ向けディスコを組み立て、後のイタロ・ディスコにつながる流れを作っていったかが見えやすい。まずは「Baby I Love You」から入って、そこからアルバム単位でたどるのが分かりやすい。