Easy Going - Easy Going (1978)
Easy Going『Easy Going』(1978)について
イタリアのディスコ・プロジェクト、Easy Goingによるセルフタイトル作。1978年にイタリアでBanana Recordsから出たこのアルバムは、ローマのクラブ・シーンと結びついた作品として知られている。グループ名そのものがローマのディスコ・クラブに由来し、レコードのカバーもそのクラブのロゴやフロアのイメージを使ったものとされる。つまり、スタジオで完結した単なる企画盤というより、当時のローマのダンス・カルチャーをそのまま切り取ったような性格が強い。
Italo Discoの前夜を示す重要な一枚
Easy Goingは、のちにItalo Discoの成立へつながる初期段階のグループとして語られることが多い。中心にいたのはDJのPaul Micioni、そしてGiancarlo Meo、Claudio Simonettiらで、彼らは当時のイタリアではまだ本格的に作られていなかったダンス・ミュージックに取り組んでいた。結果としてこの作品は、のちのイタロ・ディスコ的な音像を先取りした存在として位置づけられている。
制作面では、録音とミックスがローマのBUS Recordingで行われ、さらにTrafalgar Studiosでもミックスされている。レーベルの表記からも、イタリア国内のダンス・シーンを背景にした作品であることがはっきりする。Banana Recordsは後年、Vivien Vee、Kasso、Claudio Simonetti、David Zedといった名前でも知られるレーベルで、1970年代末から1980年代後半にかけてイタリアのディスコ史を支えた存在だった。
代表曲「Baby I Love You」
このアルバムを語るうえで外せないのが「Baby I Love You」。1978年の初期ヒットとして知られ、Easy Goingの名を決定づけた楽曲だ。Giancarlo Meoがプロデュースし、Claudio Simonettiがアレンジを担当している点も重要で、ここでの役割分担がその後のイタリア産ダンス・サウンドの流れにつながっていく。シモネッティ自身、後年のインタビューで、この時期にディスコへ本格的に舵を切ったことを振り返っている。
実際に聴くと、「Baby I Love You」は歌ものとしての分かりやすさと、クラブ向けの反復感が同居している。ヴォーカルの抜け方、リズムの置き方、シンセや弦の使い方に、まだ粗さを残しながらも明確な設計がある。後の洗練されたItalo Discoと比べると、ここではまだバンド感とディスコ・プロダクションが近い距離にある印象だ。
アルバムとしての位置づけ
Easy Goingはこの後、1979年に『Fear』、1980年に『Casanova』を発表するが、1978年の本作はその出発点にあたる。メンバー表記にはPaul Micioni、Claudio Simonetti、Russell Spellmanの名前が見えるが、少なくともこのデビュー作では、ローマのクラブ文化とスタジオ制作が強く結びついた初期の形が記録されている。のちの作品に比べても、まだプロジェクトの輪郭が固まりきる前の、実験的な空気が残る時期の記録といえる。
同時代の文脈で見ると、Easy Goingはアメリカやイギリスのディスコをそのままなぞるのではなく、イタリアの制作陣がローカルな感覚でダンス・ミュージックを組み立て始めた段階にある。後年の回顧では、Italo Discoの初期例として扱われることが多いのも納得できる。派手な音色や機械的な推進力が全面に出る前の、まだクラブの現場感が強いディスコ作品として耳に残る。
まとめ
『Easy Going』は、1978年のイタリアで生まれたディスコ作品でありながら、のちのItalo Discoへ直結する重要な起点でもある。ヒット曲「Baby I Love You」を軸に、ローマのクラブ文化、Banana Recordsのレーベル色、Claudio Simonettiら制作陣の動きが一本につながっている。単なる一枚のアルバムというより、イタリア産ダンス・ミュージックが形を取り始めた瞬間を記録した作品として見ると、その意味がよりはっきりする。
トラックリスト
- A1 Baby I Love You 11:10
- A2 Little Fairy 5:45
- B1 Suzie Q 8:25
- B2 Do It Again 8:05