Vinyl Record Reviews
Genesisは、1967年にイギリス・サリー州ゴダルミングのチャーターハウス・スクールで結成されたロック・バンドだ。プログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多い一方で、後年はソフトロックやポップロック寄りの作品でも知られている。長い活動歴の中で、メンバー交代や音楽性の変化を重ねながら、アルバムとツアーを通じて存在感を保ってきた。
初期のGenesisは、複雑な曲構成や緻密な演奏、舞台上での演出を伴うスタイルで注目された。中心人物のひとりであるピーター・ガブリエルが1975年に脱退した後は、ドラマーのフィル・コリンズがリード・ボーカルを担当するようになった。さらにスティーヴ・ハケットが抜けたことで、残るトニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズの3人を軸に、より聴きやすいポップ寄りの方向へ進んだ。
この変化によって、Genesisは1980年代から1990年代前半にかけて大きく人気を伸ばした。1996年にはフィル・コリンズがソロ活動などに専念するため離脱し、マイク・ラザフォードとトニー・バンクスがレイ・ウィルソンを迎えて活動を続けた。この編成は1997年の『Calling All Stations』1作のみで、バンドはその後しばらく活動休止となった。
2006年には、フィル・コリンズ、トニー・バンクス、マイク・ラザフォードが再結成し、Turn It On Again ツアーを行った。ピーター・ガブリエルやスティーヴ・ハケットを含む再集結については、長く話題になってきたが、実現には至っていない。
Genesisの初期作品では、曲の展開が細かく変化し、楽器編成も多層的だ。フルートやパーカッションを含むピーター・ガブリエルの歌と表現も、バンドの印象を形づくる要素のひとつになっていた。その後、フィル・コリンズが歌うようになると、リズムやメロディを前に出した楽曲が増え、ポップロックとしての側面が強まったと見られている。
こうした変化は、Genesisを「プログレッシブ・ロックのバンド」としてだけでなく、「大規模な人気を獲得したロック・バンド」としても位置づける要因になった。公式情報では、彼らは世界で最も売れたレコーディング・アーティストの上位に入る存在とされている。
Genesisは2010年にロックの殿堂入りを果たしている。初期の複雑な構成から、後年のポップ寄りのサウンドまで、活動の中で音楽性を変化させてきた点が大きな特徴だ。メンバーそれぞれの時期によって印象が変わるバンドなので、アルバムを年代順に追うと、その変化がはっきり見えてくる。
Genesisは、編成の変化と音楽性の移り変わりを追うことで、バンドの歩みそのものを楽しめるグループだ。プログレッシブ・ロックの入口としても、80年代ロックの代表例としても、整理して聴きやすい存在だと言える。