Genesis = ジェネシス - ...And Then There Were Three... = そして三人が残った (1978)
Genesis『…And Then There Were Three…』——3人編成で始まる転機のアルバム
1978年に発表されたGenesisの『…And Then There Were Three…』は、スティーヴ・ハケット脱退後の3人体制で作られた9作目のスタジオ・アルバムだ。タイトルがそのまま編成の変化を示していて、バンドの歴史の中でも区切りのはっきりした一枚として位置づけられる。プログレッシブ・ロックの文脈にありながら、曲の骨格は以前よりも整理され、のちのGenesisを決定づけるポップ寄りの方向へ少しずつ軸足を移していく時期の作品でもある。
この日本盤はCharismaからの1978年リリースで、帯付きのゲートフォールド仕様、両面のライナーと日本語歌詞対訳を収めた初回盤。盤面を光にかざすとやや茶色く透けるJVC Supervinylでプレスされている点も、この時代の日本盤らしい特徴だ。ジャケット裏の帯に掲載されるGenesisのディスコグラフィーには、初回盤では本作が入っていないという違いもある。インサートではフィル・コリンズの表記が「Collings」になっていたり、B4の英題が「Say It's Alrigth Joe」と誤記されていたりと、当時の日本盤ならではの細部も残っている。
3人になっても、演奏の密度は落ちない
本作の中心は、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズの3人。ハケットの不在でギターの役割はラザフォードがかなり担うことになり、以前のような複雑な多重構成とは少し違う形でバンドの輪郭が組み直されている。とはいえ、単純に聴きやすくなっただけではなく、リズムの組み方やキーボードの置き方にはGenesisらしい組曲的な感覚がまだしっかり残る。プログレの要素と、曲としてのまとまりの両方を意識した作りだ。
制作はオランダのRelight Studiosで行われ、ミックスはロンドンのTrident Studios。ライナー記載ではバンド自身も共同プロデュースに名を連ねている。録音場所や制作体制を見ても、単なる路線変更ではなく、バンドが次の段階へ移るための調整をしていたことが伝わる。
代表曲「Follow You Follow Me」の存在感
このアルバムを語るうえで外せないのが「Follow You Follow Me」だ。Genesisにとって初めて大きく広い層へ届いた代表曲で、アルバム全体の売上を押し上げた楽曲として知られている。英国チャートでもアルバムは最高3位を記録し、28週間チャートに残った。バンドのそれまでの複雑な構成美を知る耳には意外に感じられるかもしれないが、この曲の入り口の広さが、以後のGenesisの大衆的な成功へつながっていく。
実際に通して聴くと、「Follow You Follow Me」だけが浮いているわけではなく、アルバム全体の流れの中で徐々に輪郭を持つ構成になっているのがわかる。長尺の演奏で押し切るというより、メロディと展開の見通しを保ちながら進む曲が多い。そこに、バンクスのキーボード、コリンズの歌とリズム感、ラザフォードのギターが噛み合う。派手な技巧の誇示より、曲の中で役割を整理した演奏という印象が強い。
プログレからポップ・ロックへ向かう中間点
同時代のプログレ・バンドと比べると、この時期のGenesisはかなり独自の立ち位置にある。YesやKing Crimsonのように急激な実験性へ振り切るのでもなく、アリーナ級の分かりやすさへ完全に寄るのでもない。むしろ、この作品ではプログレの構築感を残したまま、ポップ・ロックの文法を少しずつ取り込んでいる。後年の大きな成功を考えると、この盤はその入口として見られることが多い。
1970年代後半のGenesisは、ピーター・ガブリエル脱退後の再編成、そしてハケット脱退による3人体制の定着という流れの中にある。本作はその変化を、はっきりと作品の形にした一枚だ。バンドの初期を支えた演劇的な要素や長大な組曲の感覚が完全に消えるわけではないが、ここではそれらがより簡潔な形にまとめ直されている。結果として、Genesisの歴史の中でも、転換点として記憶されやすいアルバムになっている。
日本盤の丁寧な装丁と、タイトルの通りの編成変化が重なることで、このレコードは作品そのものだけでなく、1978年当時のGenesisの空気をよく伝える一枚になっている。プログレの文脈とポップ化の始まり、その両方を同じ盤の中で確認できる作品だ。
トラックリスト
- A1 Down And Out = ダウン・アンド・アウト 5:25
- A2 Undertow = アンダートウ 4:44
- A3 Ballad Of Big = ビッグ・ジムのバラード 4:48
- A4 Snowbound = 銀世界 4:29
- A5 Burning Rope = バーニング・ロープ 7:10
- B1 Deep In The Motherlode = 金脈 5:15
- B2 Many Too Many = メニー・トウ・メニー 3:31
- B3 Scenes From A Night's Dream = ネモの夢から 3:30
- B4 Say It Alright Joe = イッツ・オールライト・ジョー 4:19
- B5 The Lady Lies = 謎の女 6:07
- B6 Follow You Follow Me = フォロー・ユー・フォロー・ミー 4:00
動画
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Genesis - Down and Out (Official Audio)
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Genesis - Undertow (Official Audio)
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Genesis - Ballad of Big (Official Audio)
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Genesis - Snowbound (Official Audio)
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Genesis - Burning Rope (Official Audio)
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Genesis - Deep in the Motherlode (Official Audio)
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Genesis - Many Too Many (Official Audio)
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Genesis - Scenes from a Night's Dream (Official Audio)
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Genesis - Say It's Alright Joe (Official Audio)
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Genesis - The Lady Lies (Official Audio)
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Genesis - Follow You Follow Me (Official Audio)