Vinyl Record Reviews
Heatwaveは、1970年代半ばにヨーロッパで結成された国際的なディスコ/ファンク・グループだ。中心になったのは、当時西ドイツに駐留していたアメリカ人兵士のJohnnie Wilderで、その後イギリスへ移り、新聞広告をきっかけにRod Tempertonと出会ったところからバンドの土台ができた。最初は「Chicago Heatwave」を名乗り、Johnnieの弟Keithも加わって活動を進めた。
1976年にGTOレコードと契約し、同年秋にプロデューサーBarry Blueのもとでレコーディングを行っている。イギリスでは最初の2枚のシングルが振るわなかったが、3枚目の「Boogie Nights」が広く知られるディスコ・アンセムになった。アメリカではこの曲が1977年初頭にデビュー・シングルとして出て、全米2位まで上がっている。
続く「Always and Forever」はR&Bの定番曲として扱われ、全米18位を記録した。その後もRod Tempertonが楽曲を書き続け、「The Groove Line」は1978年に全米トップ10入りしている。Heatwaveの初期の流れを見ると、ディスコのリズム感とソウル寄りのメロディを、比較的わかりやすい形でまとめていたことがうかがえる。
Heatwaveの音楽面で重要だったのが、ソングライター兼キーボード奏者のRod Tempertonだ。加入前のTempertonは、イギリスの冷凍魚工場で働きながら音楽活動の機会を探していた人物で、新聞広告への応募を通じてHeatwaveに加わった。そこで「Boogie Nights」「Always and Forever」などを書いている。
Heatwave脱退後はQuincy Jonesに見出され、Michael Jacksonの『Off the Wall』で「Rock with You」を含む3曲を担当した。さらに『Thriller』でも表題曲を含む3曲を作曲している。タイトル曲の題名については、当初「Starlight」という仮題だったものを、Quincy Jonesの要望で変更することになり、Tempertonがホテルで多数の案を書き出した末に「Thriller」にたどり着いた、という話が残っている。
Heatwaveは活動の途中で大きな出来事も経験している。1977年にはMario Manteseが刺傷事件に遭い、長い昏睡状態を経て視力、運動、発話に影響を受けた。1979年には創設メンバーのJohnnie Wilderが自動車事故で首から下が麻痺し、グループで演奏できなくなった。その後はBarry Blueとの共同プロデューサーとして関わり、コンサートではJD Nicholasが代役を務めている。
1980年には「Gangsters Of The Groove」が全米21位を記録したが、その後はメンバーの離脱が続き、1983年ごろにいったん活動が途切れた。Keith Wilderは1988年に再始動を試み、1991年には「Mind Blowing Decisions」のリミックスがイギリスでヒットしたことで、新しい編成を組んでツアー活動を続けた。
Heatwaveの楽曲は、ディスコの4つ打ちを土台にしながら、ファンクのベースラインやソウルの歌メロを組み合わせたものが中心だ。派手さを前面に出すというより、踊れるリズムと覚えやすいフックをきっちり作る方向でまとまっている。特に「Boogie Nights」はその作りがはっきり出ていて、パーティー向けの曲として長く使われてきた。
一方で「Always and Forever」では、ディスコ・グループとして見られがちなHeatwaveの中に、R&Bバラードをきちんと歌える面もある。こうした振れ幅が、単なるダンス・バンド以上の存在感につながっている。
Rod TempertonがMichael JacksonやQuincy Jonesの作品へ移ったことで、Heatwaveはポップ/ファンクの接点にいたグループとしても見られるようになった。Tempertonは表舞台に出る機会が少なく、「見えない男」と呼ばれることもあったが、楽曲提供の仕事を通じて80年代ポップの中核に関わっている。
Heatwaveの曲自体も、サンプリングや引用の対象として扱われることがあり、代表曲はダンス・ミュージックの文脈で長く参照されてきた。メンバーの訃報も続いているが、Johnnie Wilder、Rod Temperton、Keith Wilder、Ernest Bergerらの名前は、Heatwaveの歴史をたどるうえで欠かせない。
Heatwaveを追うと、ディスコ・ファンクのバンドとしての活動だけでなく、Rod Tempertonがポップ史の中で果たした役割まで見えてくる。曲単位で聴いても、バンドの変化をたどっても、整理しがいのあるグループだ。