Vinyl Record Reviews
John Wettonは、1949年6月12日にイングランドのダービーで生まれ、2017年1月31日にボーンマスで亡くなった、イングランドのベーシスト、シンガー、ソングライターだ。ベースだけでなく、ギターやキーボードも担当していた。
音楽活動は1970年に始まり、その後は複数のバンドを渡り歩いている。初期にはファミリーで活動し、続いてモーグル・スラッシュやロキシー・ミュージックなどに参加した。1975年から1976年にはUriah Heepで演奏し、その後、1978年から1979年にかけてはキング・クリムゾンの流れをくむバンドにも関わった。
キング・クリムゾンではグレッグ・レイクの後任としてベースとボーカルを担当し、「Larks' Tongues In Aspic」(1973年)、「Starless And Bible Black」「Red」(ともに1974年)といった、同バンドの中でも評価の高い時期の作品に参加している。ベースを弾きながら歌うスタイルで、バンドの音像の中でも重要な役割を担っていた。
1981年には、ロキシー・ミュージックのメンバーであるフィル・マンザネラらと録音を行い、1982年にはカール・パーマー、ジェフ・ダウンズ、スティーヴ・ハウとともにエイジアを結成した。ここでの活動は、彼のキャリアの中でも広く知られている。
エイジアのセルフタイトル・デビュー作は1982年の世界売上ナンバーワンアルバムになったとされる。そこからのシングル「Heat Of The Moment」は、Wetton自身が手掛けた曲としても知られ、Billboard Hot 100で4位を記録している。
この時期のエイジアは、プログレッシブ・ロックの出自を持つメンバーが集まった一方で、楽曲は比較的コンパクトで、メロディを前面に出した作りになっている。Wettonの歌声は、その中心に置かれていた。
John Wettonの活動を整理すると、プログレッシブ・ロック、アート・ロック、ポップ・ロックの文脈で語られることが多い。キング・クリムゾンのような複雑な構成のバンドから、エイジアのようにメロディ重視のバンドまで幅広く参加していて、ベースと歌を同時に担える点が大きな特徴だ。
演奏面では、派手な速弾きよりも、曲の骨格を支える低音と歌のラインをきちんと結びつけるタイプのプレイヤーとして知られる。作曲面では、エイジアでの「Heat Of The Moment」のように、覚えやすいフックを持つ楽曲でも存在感を残している。
Wettonは長年アルコール依存症に苦しんでいたことでも知られている。ただ、2006年のエイジア再結成ツアーの頃には断酒しており、自身の回復を公にしたことが、同じ問題を抱える人たちの支えになったとされる。
2017年1月31日、大腸がんのため67歳で死去した。キング・クリムゾン、エイジアを中心に、70年代プログレッシブ・ロックから80年代のメロディアスなロックまで、複数の場面で重要な役割を果たしたミュージシャンだ。