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レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers、通称レッチリ)は、1983年にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで結成されたロック・バンドである。ハードコア・パンクの爆発的なエネルギーと、P-Funk直系のブラック・ファンクのグルーヴを衝突させた独自のミクスチャー・ロック/ファンク・ロックを確立し、世界累計アルバム・セールス1億2,000万枚以上を誇る世界的モンスター・バンドである。
アンソニー・キーディス(ヴォーカル)、フリー(ベース)、チャド・スミス(ドラムス)、ジョン・フルシアンテ(ギター)の4人による黄金期のラインナップは、ロック史上で最も強靭なケミストリーを誇るアンサンブルとして知られる。グラミー賞を6度受賞し、2012年にはロックの殿堂入りを果たした。
バンドはロサンゼルスのフェアファックス高校の同級生であったアンソニー・キーディス、フリー(マイケル・バルザリー)、ヒレル・スロヴァク(ギター)、ジャック・アイアンズ(ドラムス)によって結成された。当初は一度限りの即興バンドの予定であったが、クラブでの破天荒なライブ・パフォーマンスが熱狂的な反響を呼び、本格的な活動を開始した。
P-Funkの総帥ジョージ・クリントンをプロデューサーに迎えたセカンド・アルバム『Freaky Styley』(1985年)など、初期はスラップ・ベースと高速ラップを融合させた剥き出しのファンク・パンクを展開した。しかし1988年、精神的支柱であったギタリストのヒレル・スロヴァクが薬物の過剰摂取により26歳で急逝し、ショックを受けたアイアンズも脱退するなど、バンドは結成最大の危機に直面した。
失意のアンソニーとフリーは、バンドの熱狂的ファンであった弱冠18歳の天才ギタリスト、ジョン・フルシアンテと、剛腕ドラマーのチャド・スミスを迎え入れた。この新体制で制作された『Mother's Milk(母乳)』(1989年)がゴールド・ディスクを獲得し、大躍進の足がかりを築いた。
ワーナー・ブラザース移籍後、名匠リック・ルービンをプロデューサーに迎え、ハリウッドの幽霊屋敷(通称「ザ・マンション」)に合宿して制作されたのが、1991年の歴史的名盤『Blood Sugar Sex Magik』である。無駄な音を極限まで削ぎ落としたタイトなファンク・ビートと、フルシアンテの繊細なギター・カッティングが奇跡の融合を果たした。
グラミー賞を獲得したファンク・アンセム「Give It Away」や、アンソニーがドラッグ禍と孤独、ロサンゼルスへの愛憎を赤裸々に歌った至高のバラード「Under the Bridge」が全米チャートを席巻し、バンドは一躍世界的なスーパースターの座へと登り詰めた。しかし、あまりに急激な成功の重圧により、フルシアンテは1992年の日本ツアー中に突如バンドを脱退した。
フルシアンテ離脱後、元ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロを迎えてダークで重厚な『One Hot Minute』(1995年)を発表するも、メンバー間の軋轢や薬物依存の再発によりバンドは再び解散の危機に瀕した。
しかし1998年、深刻な薬物中毒から奇跡の生還を果たしたジョン・フルシアンテが劇的な復帰を果たす。盟友リック・ルービンとともに制作された1999年のアルバム『Californication』は、全世界で1,500万枚以上を売り上げるバンド史上最大の商業的成功を記録した。フルシアンテのミニマルで叙情的なギターと、アンソニーのエモーショナルな歌唱が際立つ「Scar Tissue」「Otherside」「Californication」などの名曲は、世紀末のオルタナティヴ・ロックを象徴するアンセムとなった。
続く『By the Way』(2002年)では、美しいヴォーカル・ハーモニーやポップなコード感覚を大胆に取り入れ、「By the Way」「Can't Stop」などをヒットさせ、オルタナティヴ・ロック・バンドとしての表現力をさらなる高みへと昇華させた。
2006年、再び「ザ・マンション」に籠もって録音された2枚組大作『Stadium Arcadium』を発表した。「Jupiter」と「Mars」の2部構成・全28曲からなるこの大作は、バンド史上初となる全米ビルボード・チャート初登場1位を獲得した。「Dani California」や「Snow (Hey Oh)」などの特大ヒットを輩出し、グラミー賞で最優秀ロック・アルバム賞をはじめ4冠を独占した。
その後、フルシアンテがソロ活動への専念のため2度目の脱退を選択し、後任ギタリストのジョシュ・クリングホッファーとともに『I'm with You』(2011年)や『The Getaway』(2016年)を発表した。そして2019年末、フルシアンテが10年ぶりに再合流を果たした。
みたびリック・ルービンをプロデューサーに迎えて制作された『Unlimited Love』(2022年)は全米1位を記録し、同年に続編となる『Return of the Dream Canteen』を連続リリースした。40年を超えるキャリアを経てもなお、4人が織りなす即興的なジャム・セッションの熱量と生々しい肉体性は一切衰えていない。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズの最大の功績は、フリーの超絶スラップ・ベースを中心とするブラック・ミュージックの濃密なグルーヴと、パンクやハードロックの攻撃性を融合させ、オルタナティヴ・ロックのメインストリーム化を決定づけた点にある。1990年代以降のミクスチャー・ロック、ラップ・メタル、ファンク・ロックの潮流は、彼らの存在なしには語ることができない。
同時に、荒々しい肉体性のみならず、カリフォルニアの光と影、生と死、愛と喪失を歌い上げる深いリリシズムとメロディ・センスを確立した彼らは、世代や国境を超えて世界中のスタジアムを熱狂させ続ける生ける伝説である。