Red Hot Chili Peppers - Blood Sugar Sex Magik (1991)
Red Hot Chili Peppers『Blood Sugar Sex Magik』(1991) レコード解説
Red Hot Chili Peppersの5作目にあたる『Blood Sugar Sex Magik』は、1991年に登場したアルバムで、バンドの評価と知名度を一気に押し上げた重要作だ。ファンクの跳ねるリズム、ロックの硬さ、ヒップホップ由来の語り口が同居していて、90年代初頭のオルタナティブ・ロックの広がりを象徴する一枚として扱われることが多い。ここでのRed Hot Chili Peppersは、単なる“派手なファンク・ロック”の枠を超え、曲の構成や感情の出し方まで含めて大きく変化している。
制作背景と作品の位置づけ
本作はRick Rubinが初めてプロデュースを手がけたRHCP作品で、ロサンゼルスの「The Mansion」で1991年4月から6月にかけて録音された。メンバーがその屋敷に住み込み、生活と制作がほぼ一体化した環境で作られたことが知られている。Chad Smith以外のメンバーが滞在し、Anthony Kiedisは2階の自室で歌を録ったというエピソードも残る。制作現場そのものが作品の空気を形作ったアルバムで、スタジオ的な整い方よりも、部屋鳴りや即興性、メンバー同士の距離感が前面に出ている。
バンドにとっては、初期の粗さやアンダーグラウンド感を残しつつ、より広い層に届く楽曲を書けるようになった時期の到達点でもある。前作までの勢いに加えて、メロディの強さと曲の持続力がはっきりしてきた点が大きい。
収録曲の核となる楽曲
代表曲はやはり「Under The Bridge」と「Give It Away」だ。「Under The Bridge」は、Kiedisが孤独や薬物依存を振り返って書いた詩をもとにした曲で、当初は個人的すぎるとしてバンド向けに出すのをためらっていたという。そこにRubinが強く反応し、楽曲化が進んだ。静かな導入から大きく広がる展開は、このアルバムの中でも特に異質で、RHCPのイメージを決定づけた一曲になっている。
一方の「Give It Away」は、反復するベースとギターの切れ味が前に出た曲で、ライヴ映えする推進力がある。ファンクの身体性とロックの直進性がそのまま形になったような楽曲で、当時のラジオやMTVでも存在感を放った。「Suck My Kiss」は攻撃的なリフが軸で、盤面では「Suck Me Kiss」と誤記されている点も知られている。「Breaking The Girl」は打楽器的な要素や展開の変化が目立ち、アルバムの中で表情を広げる役割を担っている。
音の印象と聴きどころ
実際に聴くと、全体の鳴りはかなり乾いていて、輪郭がはっきりしている。ベースは前に出るが、単に低音が太いだけではなく、フレーズの動きが曲の推進力そのものになっている。Fruscianteのギターは、初期の派手さよりも、リフの反復やコードの置き方で曲を支える場面が多い。Kiedisのボーカルはラップ的な運びとメロディの切り替えが自然で、曲ごとの温度差も大きい。ファンク・メタルと呼ばれることのあるバンドの中でも、この盤は特にロック・アルバムとしてのまとまりが強い。
1991年盤としての仕様
このヨーロッパ盤はWarner Bros. Recordsのリリースで、ドイツ製造のクレジットが入る。ランアウトには「WMME Alsdorf 759 926681-1-A」からD面までの刻印が確認され、盤はおよそ110〜115グラム前後。印刷インナーは2枚付きで、バンド写真と歌詞が収録されている。フロントスリーブに「CONTAINS LANGUAGE THAT SOME PEOPLE MAY FIND OFFENSIVE」のステッカーが貼られたものもある。作品の内容が当時の商業ロックの中でもやや刺激的に受け取られていたことがうかがえる。
同時代との関係
1991年という年は、オルタナティブ・ロックが広く流通し始めた時期で、NirvanaやPearl Jamと並んで語られることが多い。本作はその中でも、シアトル勢とは別の地点からメインストリームに届いたアルバムとして位置づけやすい。ファンク、ハードロック、ヒップホップの感覚を持ち込んだRHCPの方法は、後のミクスチャー・ロックやオルタナ系バンドにも影響を残した。特に、リズムを前面に出しつつ、メロディを強く押し出す作りは、その後の多くのロックバンドに参照された部分がある。
まとめ
『Blood Sugar Sex Magik』は、Red Hot Chili Peppersが世界的なバンドへ移行する起点になった作品だ。ヒット曲の強さだけでなく、録音環境、演奏の密度、曲順の流れまで含めて、アルバム単位で聴く意味がはっきりしている。ファンク・ロックの勢い、内省的な歌詞、メジャー作品としての大きな広がり。その三つが同じ盤面に収まった1991年作として、今も存在感を保っている。
トラックリスト
- A1 The Power Of Equality 4:00
- A2 If You Have To Ask 4:11
- A3 Breaking The Girl 5:03
- A4 Funky Monks 5:22
- A5 Suck My Kiss 3:35
- B1 I Could Have Lied 4:10
- B2 Mellowship Slinky In B Major 4:00
- B3 The Righteous & The Wicked 4:05
- B4 Give It Away 4:45
- C1 Blood Sugar Sex Magik 4:31
- C2 Under The Bridge 4:34
- C3 Naked In The Rain 4:30
- C4 Apache Rose Peacock 4:43
- D1 The Greeting Song 3:14
- D2 My Lovely Man 4:45
- D3 Sir Psycho Sexy 8:24
- D4 They're Red Hot 1:44
動画プレイリスト
-
The Power of Equality
-
If You Have to Ask
-
Red Hot Chili Peppers - Breaking The Girl [Official Music Video]
-
Funky Monks
-
Red Hot Chili Peppers - Suck My Kiss [Official Music Video]
-
I Could Have Lied
-
Mellowship Slinky in B Major
-
The Righteous & the Wicked
-
Red Hot Chili Peppers - Give It Away [Official Music Video]
-
Blood Sugar Sex Magik
-
Red Hot Chili Peppers - Under The Bridge [Official Music Video]
-
Naked in the Rain
-
Apache Rose Peacock
-
The Greeting Song
-
My Lovely Man
-
Sir Psycho Sexy
-
They're Red Hot