Vinyl Record Reviews
Roxy Musicは、1970年にイングランドで結成されたロック・バンドだ。中心になったのは、ボーカルとソングライティングを担ったBryan Ferryと、ベーシストのGraham Simpsonだった。初期メンバーにはBrian Eno、Phil Manzanera、Andy Mackay、Paul Thompsonらが加わり、メンバーの入れ替わりを経ながら活動を続けている。
バンド初期のRoxy Musicは、Bryan FerryとBrian Enoの個性のぶつかり合いが大きな推進力になっていた。Ferryはアメリカン・ソウルやビートルズ的なアートポップを志向し、Enoはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響を受けた実験的なアプローチを持ち込んでいた。この方向性の違いは、デビュー作から2作目『For Your Pleasure』(1973年)までの時期に強く表れている。
ただ、その緊張関係は長くは続かず、著作権収入をめぐる不満も重なって、Enoは1973年7月にバンドを離れている。
Eno脱退後もRoxy Musicは活動を続け、1975年の『Siren』あたりから少しずつ方向性を変えていく。『Manifesto』(1979年)や『Flesh + Blood』(1980年)では、以前よりも整理されたアレンジと、聴きやすさを意識した作りが目立つ。
その流れの到達点としてよく挙げられるのが『Avalon』(1982年)だ。ジャズやトラディショナル・ポップの要素を取り入れつつ、サックス、オーボエ、ストリングスが重なる構成で、Roxy Musicの中でもかなり洗練された作品になっている。このアルバムはバンド最大の商業的成功作として扱われることが多い。
Roxy Musicの特徴は、単にロック・バンドという枠に収まりにくいところにある。ジャンル表記ではRockに加えて、Art Rock、Avantgarde、Glamが挙げられることが多い。
メンバーの変化も大きく、Brian Eno、Phil Manzanera、Andy Mackay、Paul Thompson、Eddie Jobson、Paul Carrackなどが時期によって参加している。Roxy Musicは固定された編成というより、Bryan Ferryを軸にしながら音楽性を更新していくバンドとして見たほうが分かりやすい。
Roxy Musicは1970年代から1980年代にかけてアルバムとシングルの両方で一定のチャート実績を残している。英国ではアルバムが複数回トップ10入りし、シングルでも上位に入った作品がある。特にJohn Lennon作の「Jealous Guy」は、1981年に全英シングルチャート1位を記録している。
活動は1976年と1983年に一度ずつ休止し、その後2001年に再結成ツアーを行った。以後も断続的に活動し、2011年に解散している。Bryan Ferryはソロ活動でもRoxy Musicのメンバーをセッションに起用することがあった。
Roxy Musicの後半のサウンドは、1980年代の英国やオーストラリアのミュージシャンたちに影響を与えたとされている。特に『Avalon』に見られる、アートロックの要素を残しながら整えられたポップな作りは、その後のソフィスティ・ポップの流れを考えるうえで重要な位置にある。
2019年にはロックンロール・ホール・オブ・フェイムに殿堂入りしている。Bryan Ferryは2011年にCBEを授与された。
Roxy Musicを追うなら、まずは時期ごとの違いを聴き比べるのが分かりやすい。初期の実験性が強い時期、1970年代後半の整理された時期、そして『Avalon』のような後期の作品で、かなり表情が変わる。
バンド名は同じでも、時期ごとに音の作り方がかなり違うので、アルバム単位で聴くと変化が見えやすい。Roxy Musicは、グラムロックの見た目と、アートロックの構成、そして後期のポップな感触がつながっているバンドだ。