Vinyl Record Reviews
Severed Headsは、1979年にシドニーで結成されたオーストラリアの電子音楽グループだ。元は1977年から活動していた Mr And Mrs No Smokin' Sign という名義で、Richard FieldingとAndrew Wrightが中心だった。1979年にTom Ellardが加入し、その後Wrightが脱退。さらに1981年にはFieldingも離れ、以後はEllardが継続的な中心人物としてグループを支えた。メンバーは時期によって入れ替わりがあり、Garry Bradbury、Paul Deering、Stephen Jonesなどが参加している。
初期のSevered Headsは、テープループ、ノイズの強いシンセサイザー、ディソナントな音素材を使った作品で知られ、インダストリアル・ミュージックの文脈で語られることが多い。その後、4/4の安定したリズム、はっきりしたメロディ、和音の解決感を持つ構成を取り入れ、ダンスミュージック寄りの要素も増えていった。
この変化によって、前衛性、EBM、シンセポップが混ざったような独自の音像を作っていった。北米ではNettwerk Records、オーストラリアではVolition Recordsと契約し、1984年には「Dead Eyes Opened」がチャート入りしている。Stephen Jonesによる映像作品も含めたツアーは、音楽だけでなく映像も重要な要素になっていた。
その後、Volitionの倒産とNettwerkからの契約終了を受けて、バンドは自身のレーベルSevComを通じて再始動し、デジタル配信も進めた。Tom Ellardは2008年2月4日に「Severed Heads」の終結を発表しているが、その後も断続的にライブを行っている。2011年のAntwerpでのBIM Fest、2013年のAdelaide Festival、2015年のシカゴでのCold Waves IVと北米ツアー、2016年の欧州とオーストラリア公演、2019年の小規模ツアーとシカゴでの最終公演まで活動が確認されている。
Severed Headsの音は、単純にインダストリアルだけで片付けるには幅がある。初期はテープ操作やノイズが前面に出る一方で、後期に向かうにつれてリズムの明確さやメロディのわかりやすさが増していく。電子音楽の実験性を保ちながら、踊れる構造も持ち込んでいるのが特徴だ。
代表曲としてよく挙げられるのが「Dead Eyes Opened」だ。この曲は、1983年のアルバム『Since the Accident』に収録されていたもので、当初はカセットの空き容量を埋めるために入れられた曲だったという。その後、1984年に12インチシングルとして単独で出され、批評面でも注目を集めた。
楽曲には、1971年のBBCラジオ番組「Accused in the Box」内の「Death on the Crumbles」からのスポークンワード・サンプルが使われている。内容は、1924年に実際に起きたエミリー・ケイ殺害事件を題材にしていて、事件の凄惨な場面がそのまま語られる。こうした実話ベースの語りと、インダストリアル寄りのサウンドが重なっている点が、この曲の大きな特徴だ。
1994年10月にはリミックス版が再リリースされ、オーストラリアのARIAチャートで16位まで上昇した。リリースから時間が経っても新しいリスナーを獲得した背景には、物語性の強いサンプル使いと、Severed Headsらしい音の組み合わせがあったはずだ。
Severed Headsは、オーストラリア発の電子音楽の中でも、実験音楽とダンスミュージックのあいだを行き来したグループとして見られることが多い。初期のテープ実験から、後のEBMやシンセポップに接続する流れまで含めると、ひとつのジャンルに収まりきらない活動を続けてきた。
また、音楽だけでなく映像表現を組み合わせたライブや、セルフレーベルでの配信展開も含めて、独立した制作体制を早い段階から持っていた点も目立つ。Tom Ellardを軸に、時期ごとのメンバーや外部要素を取り込みながら形を変えていったグループとして、電子音楽史の中で参照される機会は少なくない。