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The Psychedelic Fursは、1977年にロンドンで結成されたUKポストパンク・バンドだ。兄弟のリチャード・バトラーとティム・バトラーを中心に始まり、これまでに8枚のスタジオ・アルバムを発表している。Rockを軸にしながら、New WaveやAlternative Rockの要素を取り込み、長く活動を続けてきた。
バンド名については、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Venus in Furs」から取られたという話がよく語られるが、ティム・バトラーによればそれは俗説だという。実際には、ある夜にパブで酒を飲みながら、The ClashやSex Pistolsのようなパンク・バンド名を思い浮かべつつ、サイケデリックな響きへの関心から「Furs」という語感を選んだとされている。
ただし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドからの音楽的影響自体は大きい。リチャード・バトラーは、最初に観たライブが1974年のロンドン、レインボー・シアターでのルー・リードのソロ公演だったと振り返っている。
デビュー後は、Steve Lillywhite、Todd Rundgren、Keith Forsey、Chris Kimsey、David M. Allen、Stephen Streetなど、さまざまなプロデューサーと作品を作ってきた。バンドのカタログには、初期から中期にかけての重要曲として「Sister Europe」「Love My Way」「Pretty in Pink」などが並ぶ。
1981年の「Pretty in Pink」は、1986年にジョン・ヒューズ監督が同名映画の題材として使ったことで、再録音版が大きな注目を集めた。映画との結びつきで知名度を広げた一方、もともとバンドが持っていた暗めの質感を好んでいた聴き手の一部には、受け止め方の変化もあったようだ。
1991年には活動を休止し、リチャード・バトラーとティム・バトラーはLove Spit Loveを結成して2枚のアルバムを発表した。リチャード・バトラーは1996年にソロ・アルバムも出している。The Psychedelic Fursは2000年にライブ・アルバムのため再結成し、その後もツアーを続けている。2020年には1991年以来となる新作スタジオ・アルバムもリリースした。
The Psychedelic Fursの音楽は、ポストパンクの緊張感を土台にしながら、ニューウェーブ寄りの整理された曲構成と、オルタナティヴ・ロックにつながるギターの使い方が同居している。初期の楽曲では、リズムの硬さと、リチャード・バトラーの低めで抑えた歌い方が前に出る。
「Pretty in Pink」や「Love My Way」のような曲では、メロディの分かりやすさがありつつ、軽く流し切らない引っかかりも残っている。「Sister Europe」は、より初期ポストパンクらしい空気を持つ曲として挙げられることが多い。アレンジ面では、時代ごとのプロデューサーの個性も反映されていて、同じバンドでもアルバムごとに音の輪郭が少しずつ変わっている。
バンドを語るうえで外せないのは、「Pretty in Pink」「Love My Way」「Sister Europe」「Heartbreak Beat」あたりだ。特に「Heartbreak Beat」はアメリカでの最大ヒットとして知られている。
「Pretty in Pink」は、映画のタイトルに採用されたことでバンドの代表曲として広く認識されるようになったが、リチャード・バトラーはこの曲が本来、不幸な状況にある少女を描いたもので、「pretty in pink」は裸を暗示する比喩だったと後年明かしている。映画側では、これが文字通りピンクのドレスを着た少女の歌として受け取られた、というズレもあったようだ。
活動休止や再始動を挟みながらも、The Psychedelic Fursは現在もツアーを続けている。結成からかなり時間がたった今でも、新作スタジオ・アルバムを出している点は、このバンドの活動の長さをそのまま示している。
ポストパンクの時代に始まり、ニューウェーブ、オルタナティヴ・ロックの文脈でも語られてきたバンドとして、初期曲から近年の動きまで追うと、時代ごとの変化が見えやすい。作品ごとの音の違いも含めて、長く聴き続ける楽しみがあるバンドだ。