Vinyl Record Reviews
Warp 9は、ニューヨークのエレクトロ・シーンで活動したグループだ。中心にいたのはロッティ・ゴールデンとリチャード・シェールで、いわば「エレクトロ・フューチャリズム」を体現するプロジェクトとして語られている。もともとはPrism Recordsのスタジオ・グループとして始まり、1983年にストライカーズが解散したあと、ドラマーのミルトン“ボー”・ブラウンがリード・シンガーを務めた。
Warp 9は初期にニューヨークの新しいエレクトロ系の動きと結びついていた。ボーがグループを離れたあとは、キャサリン・ジョイスとチャック・ワンズリーがボーカルを担当し、ロッティ・ゴールデンとリチャード・シェールはソングライター兼プロデューサーとして裏方に回っている。その後はMotownと契約し、1986年の「Fade In, Fade Out」では、よりソウル寄りの方向に進んだ。
1983年の2ndシングル「Light Years Away」は、デビューアルバム「It's a Beat Wave」に収録された曲だ。共同プロデュースには、のちにマドンナとの仕事でも知られるジョン・“ジェリービーン”・ベニテスの名前がある。
この曲では、ローランドTR-808のドラムマシンにコンガの生音を重ね、ヴォコーダー処理したボーカルを載せている。宇宙を思わせるテーマと、打楽器の強いリズムが同じトラックの中に入っているのが特徴だ。全体の作りはスパースで、音数をしぼった構成になっている。
Warp 9のサウンドは、初期エレクトロ/ヒップホップの重要な例として扱われることが多い。特に「Light Years Away」で使われたラテン・パーカッションを含むアプローチは、後に広がるフリースタイル・ミュージックにも影響を与えたとされている。エレクトロの機械的な打ち込みと、生音のパーカッションを並べた作りが、その後の音楽にもつながっていく形だ。
Warp 9は、ニューヨークのエレクトロの初期に出てきたグループとして、制作の面でもサウンドの面でも印象がはっきりしている。ロッティ・ゴールデンとリチャード・シェールを中心に、時期ごとにボーカル体制を変えながら、エレクトロからソウル寄りの方向まで活動を広げていったのが特徴だ。