Kid Machine - Space Elite (2016)
Kid Machine『Space Elite』
英マンチェスターを拠点に活動するプロデューサー/DJ、マーク・ウィルキンソンのソロ・プロジェクトであるKid Machineが2016年に発表した2枚組フル・アルバム。オランダのカルト・レーベルViewlexxからの2012年のEP『Replicants』で一躍脚光を浴びた彼が、地元マンチェスターの名門インディペンデント・レーベルRed Laser Recordsから送り出したカタログ20番(RL 20)の重要作である。
制作背景・エピソード
Kid Machineというアーティスト名は、クラフトワークのアルバム『人間解体(Die Mensch-Maschine)』にちなみ、知人から「クラフトワークの申し子のようだ」と言われたことに由来している。本作『Space Elite』では、ウィルキンソン自身が全曲の作詞・作曲・プロデュース・アレンジを担当し、アート・ディレクションやスリーブ・デザインまでを一手に手がけた。
時代の文脈
2010年代半ばのマンチェスターでは、Il Boscoが設立したRed Laser Recordsを中心に、80年代のイタロ・ディスコ、ニュー・ビート、シカゴ・ハウス、アーリー・エレクトロの荒削りな熱気とヘヴィなアナログ・シンセ・サウンドを再解釈する動きが盛り上がり、現地シーンは「マンクタロ(Manctalo=ManchesterとItaloの混成語)」と呼ばれ国際的な注目を集めていた。Kid Machineはその中核アーティストとして位置づけられており、ソロ作としては『First Contact』(2014年)に続く本作で、ダークでレトロ・フューチャリスティックなSF世界観とコズミック・ディスコを高密度に融合させ、シーンの到達点を示した。
サウンドと聴きどころ
サウンドの核を成すのは、重厚なローエンドを叩き出すRoland TR-808のドラム・ビートと、Yamaha DX7をはじめとするヴィンテージ・シンセサイザーによる鋭利なリフ、そしてうねるアナログ・アルペジオ・ベースラインだ。ディープな宇宙空間へと引き込む壮大なオープナー「Seconds From Oblivion」や「Flight Manoeuvres」、フロアを狂乱させるキラー・アンセム「Forever Machine」、ダークなニュー・ビート調の「Beast」や「Alien Dance」など、SFサントラを思わせるコズミックな叙情性とフロア直撃のファンクネスが見事に共存している。Piccadilly RecordsやJuno等のレコード店でも、安易なノスタルジーに寄らない骨太なハードウェア・シンセ・ジャムとして高く評価された。
リリース仕様
本作は、オレンジおよびレッドのカラー・ヴァイナルによる2枚組、ゲートフォールド・スリーブ仕様で、限定300枚のみプレスされた。コレクターやアンダーグラウンドなエレクトロ/イタロ愛好家の間で熱烈な支持を集めている。
トラックリスト
- A1 Seconds From Oblivion
- A2 Flight Manoeuvres
- B1 Forever Machine
- B2 Beyond Cygnus
- C1 Conquest
- C2 Asteroids
- D1 Beast
- D2 Alien Dance