井上堯之 / 星勝 - 太陽を盗んだ男 (オリジナル・サウンドトラック) (1979)
Takayuki Inoue 1979

井上堯之 / 星勝 - 太陽を盗んだ男 (オリジナル・サウンドトラック) (1979)

Jazz Funk / Soul Stage & Screen Classical Soundtrack Score

井上堯之 / 星勝『太陽を盗んだ男 (オリジナル・サウンドトラック)』について

1979年公開の長谷川和彦監督作『太陽を盗んだ男』のサウンドトラック盤。音楽は井上堯之が中心となって手がけ、星勝が編曲面を支えた作品で、同年に日本盤としてPolydorからリリースされた。井上堯之は、スパイダースやPYGでの活動でも知られる日本のロック・ギタリスト、作曲家、編曲家で、70年代後半には沢田研二の周辺を含む映像音楽でも存在感を示していた。本盤は、その流れの中で生まれた映画音楽作品として位置づけられる。

映画の内容と音楽の役割

『太陽を盗んだ男』は、原子力発電所からプルトニウムを盗み、原爆を作ろうとする男を描いた異色作で、当時から強い話題を呼んだ。荒唐無稽な設定を持ちながら、作品全体は社会への苛立ちや空虚さを背負ったまま進む。その空気を支えるのが、このサウンドトラックの仕事だ。

音楽は、場面を単純に盛り上げるだけではなく、緊張感と乾いた感触を保ちながら映像に寄り添う。劇伴としての機能が前に出る一方で、単体で聴いたときにも、リズムの置き方や音色の選び方に70年代末の都市的な空気が残る。ジャズ、ファンク、スコアの要素が交差しつつ、クラシック寄りの重さも感じさせる構成で、映画の異様な熱を音で受け止めている。

井上堯之と星勝の仕事

井上堯之は、バンド出身の感覚を持ちながら、映画やテレビの音楽でも独自の立ち位置を築いた人物だ。本作でも、ロックの人脈から出てきた作家らしい輪郭がありつつ、映像に対する距離の取り方が丁寧だ。星勝が加わることで、音の整理や編曲の見通しがはっきりし、劇伴としてのまとまりが出ている。

井上堯之の作品群の中では、映画音楽家としての側面が前面に出た一枚。バンドの延長だけではなく、映像の文脈に合わせて音を組み立てる作家としての手腕が見える。沢田研二や萩原健一の周辺で育った70年代後半の日本ポップス/映画音楽の空気ともつながっている。

1979年という時代の輪郭

1979年の日本映画は、娯楽性だけでなく、社会の不安や閉塞感を映す作品が目立つ時期でもあった。その中で『太陽を盗んだ男』は、過激な設定と現実感のある感情の両方を持つ作品として扱われてきた。公開当時から評価が高く、のちにカルト的な人気を持つ一本として語られることも多い。

サウンドトラック盤も、その作品性をそのまま引き受けている。派手なメロディで押し切るタイプではなく、場面の温度や人物の焦燥を音に置き換える設計。映画の記憶と結びついてこそ強く残るタイプの盤であり、単なるBGM集では終わらないまとまりがある。

盤としての位置づけ

このレコードは1979年のオリジナル盤で、レーベルはPolydor、カタログ番号はMR 7054。Polydorの日本盤サウンドトラックとしても、70年代末の映画音楽としても、時代の空気をよく留めた一枚だ。井上堯之のキャリアの中では、ロック・ギタリストとしての顔と、映像音楽家としての顔が近い距離で見える作品でもある。

『太陽を盗んだ男』という映画自体が強い輪郭を持つため、サウンドトラックもまた印象が残りやすい。重さのある劇伴、緊迫した場面を支えるフレーズ、そして乾いた質感。1979年の日本映画音楽の一断面として、静かに存在感を放つ盤である。

トラックリスト

  1. A1 Introduction 1:18
  2. A2 Makoto 3:52
  3. A3 原爆 Part 1 0:54
  4. A4 原爆 Part 2 0:58
  5. A5 Yamashita 1:16
  6. A6 プルトニウム・ラヴ 3:04
  7. A7 Zero 1:40
  8. A8 太陽を盗んだ男 4:55
  9. A9 笑う原爆 2:42
  10. B1 A. Bomb 3:35
  11. B2 Sunrise 1:27
  12. B3 ゼロと誠 1:11
  13. B4 Pu 239 3:25
  14. B5 動揺 2:17
  15. B6 カーチェイス 4:22
  16. B7 No. 9 1:20
  17. B8 太陽を盗んだ男 3:12

動画プレイリスト

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