Blues Explosion - Extra Width (1993)
The Jon Spencer Blues Explosion 1993

Blues Explosion - Extra Width (1993)

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The Jon Spencer Blues Explosion『Extra Width』(1993)

『Extra Width』は、ニューヨークのロック・バンド、Blues Explosionの1993年作。後にThe Jon Spencer Blues Explosionとして広く知られる3人組が、Matadorから本格的に放った初期の重要作である。前作で見えていた衝動を、録音環境と演奏の噛み合わせでさらに前へ押し出した一枚で、90年代前半のオルタナティブ・ロック、ノイズ・ロック、ブルース・ロックの交差点にしっかり置かれた作品として扱われている。

バンドの輪郭がはっきりする時期

メンバーはジョン・スペンサー、ジューダ・バウアー、ラッセル・シミンズの3人。ニューヨークで結成されたこのバンドは、パンク、ブルース、ガレージ、ロカビリー、ソウル、R&B、ヒップホップまでを飲み込みながら、荒い音圧と反復の強さで鳴らしてきた。『Extra Width』は、その雑多な要素が単なる引用でなく、演奏の役割分担として整理されてきた時期の記録になっている。

ジョン・スペンサーとジューダ・バウアーのギターは、リフとノイズ、前に出る音と支える音の関係がはっきりしていて、ラッセル・シミンズのドラムは跳ねるようなグルーヴを作る。ここでのリズムは一直線に突っ走るだけではなく、腰の入った跳ね方がある。ブリティッシュ勢のオルタナ・ブルースとも、アメリカ南部のロックとも少し違う、JSBX独自の立ち位置が見えやすい。

録音と制作の背景

録音は1992年11月にメンフィスのEasley Recording、同年7月と12月にニューヨークのWaterworks Recordingで行われ、1993年1月にWaterworksでミックスされた。メンフィスとニューヨークをまたぐ制作で、南部由来の湿度と都市的な硬さが同居しているのが面白いところ。エンジニアはDoug Easley、Davis McCain、Jim Waters。クレジットにはThe Jesus Lizardの名前も見え、当時のアンダーグラウンド・ロックの近い空気がそのままパッケージされた印象がある。

Matadorからのリリースという点も、この作品の位置づけをわかりやすくしている。90年代前半のMatadorは、PavementやSuperchunk、Yo La Tengoなどと並んで、アメリカのインディー・ロックの中核を担っていたレーベルで、JSBXもその文脈に入っていく。メジャーのロックとは別の回路で、音の荒さや即物性を保ったまま広がっていった時代の一枚。

サウンドの特徴

この作品でまず目立つのは、ギターの役割がかなり明確なこと。片方が骨格を作り、もう片方がその上で暴れる。そこにシミンズのドラムが、ファンクやヒップホップを思わせる粘りを持ち込む。単純なブルース・リフの焼き直しではなく、反復の快感を軸にしたロックとして鳴っているのが『Extra Width』の強みだと思う。

オープニングの「Afro」ではキーボードも加わり、バンドの初期像に少しだけ別の色が差し込まれる。以後の曲でも、音数を増やすというより、少ない要素を強くぶつける構成が続く。録音時点での緊張感がそのまま残っていて、演奏の切れ味と粗さが同居している。

評価と受け止められ方

批評面では高い評価を集めた作品として知られている。Pitchforkは8.4/10、Spin Alternative Record Guideは8/10、AllMusicは4.5/5、Mojoは4/5、Uncutは5/5を付けている。Pitchforkでは「最もヴィセラルかつ誇張的」「これぞJSBX」といった受け止めが示されていて、バンドの特徴がこの時点でかなり鮮明だったことがうかがえる。

後年の再発では、2000年にMute Recordsから『Mo' Width』を併録した盤も出ているが、1993年のオリジナル盤には収録時間表記やバーコードがなく、外装のシュリンクに「file under the jon spencer blues explosion」と書かれたステッカーが付いていたという。オリジナル盤ならではの仕様として、初期カタログの空気感をよく伝えている。

この作品の位置づけ

『Extra Width』は、JSBXがブルースを下敷きにしながら、ノイズやガレージの荒さ、ヒップホップ的なグルーヴまで取り込んでいく流れを、かなり早い段階で形にした作品。90年代インディー・ロックの中でも、単なるローファイやオルタナの枠に収まりきらない鳴り方をしている。後のバンドが参照したのは、ブルースそのものというより、ブルースをロックの即戦力に変えるこの手つきの方だったのかもしれない。

トラックリスト

  1. A1 Afro
  2. A2 History Of Lies
  3. A3 Back Slider
  4. A4 Soul Letter
  5. A5 Soul Typecast
  6. B1 Pant Leg
  7. B2 Hey Mom
  8. B3 Big Road
  9. B4 Train #2
  10. B5 Inside The World Of The Blues Explosion
  11. B6 The World Of Sex

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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