Vinyl Record Reviews
King Gizzard And The Lizard Wizardは、オーストラリア・メルボルン出身のロックバンドで、2010年に結成された。メンバーはStu Mackenzie、Ambrose Kenny-Smith、Eric Moore、Joe Walker、Lucas Skinner、Cook Craig、Michael Cavanaghらで構成されている。
ジャンル表記はRockだが、実際の音像はPsychedelic Rock、Garage Rock、Prog Rock、Alternative Rockを行き来する。曲ごとに手触りが変わりやすく、同じバンドの作品でもアルバム単位で印象がかなり違う。
このバンドを語るうえで外せないのが、作品数の多さだ。2016年のアルバム「Nonagon Infinity」は、全9曲がループ構造でつながっていて、最後から最初へ自然に戻る作りになっている。理論上は42分でも42時間でも再生を続けられる構成として注目された。
2017年には、年始に「今年はアルバムを5枚出す」と宣言し、実際に「Flying Microtonal Banana」「Murder of the Universe」「Sketches of Brunswick East」「Polygondwanaland」「Gumboot Soup」を1年で発表した。こうしたリリースの速さは、このバンドの特徴としてよく挙げられる。
King Gizzard And The Lizard Wizardの曲は、ジャズ・ロック、アコースティックなバラード、SF的なプログレ、スラッシュメタル、ガレージロックなどを横断することが多い。ひとつの作風に固定されず、アルバムごとに違う方向へ進むことが目立つ。
「Flying Microtonal Banana」では、特注の微分音楽器を使った演奏が取り入れられた。この作品は、後に続くマイクロトーナル三部作の起点として扱われている。
2017年の「Polygondwanaland」は、バンドがアルバムのマスター音源を無料公開し、誰でも自由にヴァイナルをプレスして販売してよいという形で出された。このやり方はかなり珍しく、作品そのものだけでなく、配信や流通の面でも話題になった。
King Gizzard And The Lizard Wizardは、作品ごとに音の作り方や構成を変えながら活動を続けている。長尺の曲展開やループ構造、微分音の導入、短期間での連続リリースなど、制作面の動きがそのままバンドの個性になっている。
代表作を入り口にすると、バンドの変化が追いやすい。まずは「Nonagon Infinity」や「Flying Microtonal Banana」、それから「Polygondwanaland」を聴くと、どんな方向に広がっているかがつかみやすい。