King Gizzard And The Lizard Wizard - Nonagon Infinity Live  (2025)
King Gizzard And The Lizard Wizard 2025

King Gizzard And The Lizard Wizard - Nonagon Infinity Live (2025)

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King Gizzard And The Lizard Wizard『Nonagon Infinity Live』について

オーストラリア・メルボルン出身のKing Gizzard And The Lizard Wizardは、2010年結成のサイケデリック・ロック・バンドだ。作品ごとにアプローチを変えながら、ガレージ・ロック、サイケデリック・ロック、ノイズ、ブルース、フォークまで広く行き来することで知られている。そうした活動のなかで『Nonagon Infinity Live』は、2016年作『Nonagon Infinity』をライブで再構成した記録として位置づけられる一枚になる。原作の持つ連続性と推進力を、ステージ上の熱量でそのまま押し出した内容として捉えやすい。

盤としては2024年リリースのUS盤で、Fuzz Club Recordsから出ている。Fuzz Clubはロンドン拠点のインディペンデント・レーベルで、実験性の強いロック作品や、サイケデリック、ガレージ寄りの作品を数多く扱ってきたことで知られる。King Gizzardのように音像の勢いと構成の変化が同居するバンドとは、かなり相性のよい組み合わせだと言えそうだ。

作品の輪郭

『Nonagon Infinity Live』は、King Gizzardの代表的アルバムのひとつ『Nonagon Infinity』を、ライブならではのテンションで再提示する内容だ。原作『Nonagon Infinity』は、曲と曲のつながりが強く、アルバム全体がひとつの回転体のように進む構成で知られている。その性格をライブでどう扱うかが、この作品の見どころになっている。

実際に耳を通すと、スタジオ盤で感じる“組み立てられた連結”が、演奏の勢いによってより露骨に前へ押し出される印象がある。リフの反復、ドラムの推進、歌の切り返しが、曲単体というより流れのなかで機能していく。曲間の区切りよりも、次の展開へ食い込んでいく感覚が強い。

『Robot Stop』の立ち上がり

冒頭を担う『Robot Stop』は、この作品の性格を最初に示す重要な曲だ。ギターの刻みとリズムの立ち上がりが速く、いきなりバンド全体を加速させる。ライブ版では、その導入がさらに直線的で、細部を見せるというより、最初の一撃で場を支配するような進み方になっている。

この曲は『Nonagon Infinity』の入口としてよく知られるが、ライブでは入口であると同時に、そのまま作品全体のエンジンにもなる。歌と演奏が細かく噛み合いながら、次のセクションへ滑り込んでいくため、アルバムの循環構造がよりわかりやすくなる。King Gizzardのライブの強さを、まずここで確認できる。

『Gamma Knife』と『People-Vultures』の切迫感

『Gamma Knife』は、短いフレーズを積み上げていくタイプの曲で、ライブだとその反復がかなり前面に出る。音数は多いが、混み合いすぎず、各パートの役割がはっきりしているため、演奏の輪郭がつかみやすい。特にドラムとベースの進行が、曲の緊張感を支える中心になっている。

続く『People-Vultures』も、この作品の中では印象に残りやすい一曲だ。メロディの引っかかりがありつつ、演奏全体はかなり攻めたまま進む。ライブ版では、スタジオ盤で感じるフックがそのまま残りながら、声の押し出しとバンドの一体感が増している。単なる再現ではなく、ステージ上の勢いで輪郭が少し変わるタイプの演奏だ。

『Big Fig Wasp』から『The River』級の流れを思わせる展開感

『Big Fig Wasp』は、アルバム中でもリズムの細かい動きが目立つ曲で、ライブではその細部が演奏の密度として表れやすい。ギターの反復とリズムの切り替えが連続し、場面転換の速さがそのまま曲の推進力になる。こうした作りは、King Gizzardが同時代のガレージ・ロックやサイケデリック・ロックのなかでも、かなり構成意識の強いバンドであることを感じさせる。

『The Evil Death Roll』や『Witchcraft』のあたりでは、演奏の圧がさらに増し、曲ごとのキャラクターがはっきりしてくる。リフの押し出しと、バンド全体が同じ方向へ加速していく感じが強く、単独曲として聴くというより、流れの一部として体感する場面が多い。ライブ盤ならではの“走り抜ける”感覚が、このあたりでいっそう明確になる。

作品の位置づけ

King Gizzard And The Lizard Wizardにとって『Nonagon Infinity』は、キャリアの中でも特に知られた作品のひとつだ。そこから派生したライブ盤である『Nonagon Infinity Live』は、原作の評価をなぞるだけでなく、彼らの演奏バンドとしての強さを示す記録として見やすい。スタジオで練り上げた構造を、ライブでどこまで推進力に変えられるか、その答えのひとつになっている。

同時代のオーストラリア発のサイケデリック/ガレージ系バンドと比べても、King Gizzardは曲数、展開、制作本数の多さでかなり独自の立ち位置にいる。そのなかで本作は、実験性だけでなく、演奏そのものの強度を前に出した記録として読める。Fuzz Club Recordsの扱う作品群のなかでも、ライブの熱と作品性が比較的わかりやすく結びついた一枚だ。

盤として見るポイント

このUS盤はFuzz Club Recordsからのリリースで、流通はCargo Recordsが担っている。マスターノートにもある通り、収録ソースやアートワークの扱いは他の版と異なる要素がある。盤としての差異を意識しながら見ると、単なる音源の再発ではなく、レーベル側の編集方針や見せ方も含めたリリースとして捉えやすい。

『Nonagon Infinity Live』は、King Gizzardの代表作の輪郭を、ライブ録音の勢いで再確認できる作品だ。曲単位のフックと、アルバム全体の循環性、その両方が前に出る構成。バンドの現在地を知るうえでも、2016年の原作を別角度から見直すうえでも、かなりわかりやすい記録になっている。

トラックリスト

  1. A1 Robot Stop
  2. A2 Big Fig Wasp
  3. B1 Gamma Knife
  4. B2 People-Vultures
  5. B3 Mr. Beat
  6. C1 Evil Death Roll
  7. D1 Invisible Face
  8. D2 Wah Wah
  9. D3 Road Train
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