New Order

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New Order

New Orderとは

New Order(ニュー・オーダー)は、1980年にイギリス・マンチェスターで結成されたオルタナティヴ・ロック/シンセ・ポップ・バンドだ。ポストパンクの陰影とエレクトロニック・ダンス・ミュージックの快楽的グルーヴを融合させ、80年代以降のポピュラー音楽の潮流を根底から塗り替えた最重要グループである。

前身はポストパンクの伝説的バンド、Joy Division(ジョイ・ディヴィジョン)。フロントマンのIan Curtis(イアン・カーティス)の自死を経て、残されたメンバーによって再始動した。

Joy Divisionからの再始動

1980年5月18日、初の全米ツアーを目前に控えてイアン・カーティスが自死。残されたBernard Sumner(バーナード・サムナー/ギター、ヴォーカル)、Peter Hook(ピーター・フック/ベース)、Stephen Morris(スティーヴン・モリス/ドラム)の3人は、「メンバーが1人でも欠けたらバンド名を名乗らない」という生前の合意を守り、新たな名前「New Order」として再出発することを決意した。

同年10月にGillian Gilbert(ジリアン・ギルバート/キーボード、ギター)が加入して4人編成を確立。1981年にMartin Hannettのプロデュースによるデビュー・アルバム『Movement』を発表した(全英9位)。しかしこの段階では、まだジョイ・ディヴィジョン直系の暗鬱で重苦しいポストパンクの影を色濃く引きずっていた。

ニューヨーク体験と「Blue Monday」の歴史的爆発

バンドの進路を決定づけたのは、1981年のニューヨーク・ツアーだった。現地のアンダーグラウンド・クラブ(DanceteriaやThe Funhouse)に足繁く通ったメンバーは、勃興していたエレクトロ、ヒップホップ、ポスト・ディスコのダンス・カルチャーに強烈な衝撃を受け、シンセサイザー、シーケンサー、ドラムマシンの大胆な導入を決意する。

1983年3月に12インチ・シングルとして発表された「Blue Monday」は、音楽史を大きく変える金字塔となった。Oberheim DMXドラムマシンとMoogシンセサイザーによる無機質で力強いシーケンス、フックの唸る高音ベース、サムナーの淡々とした歌声が融合した本作は、世界中で通算300万枚以上を売り上げ、「音楽史上最も売れた12インチ・シングル」となった。Peter Saville(ピーター・サヴィル)が手掛けた5インチ・フロッピーディスク型の精巧な型抜きジャケットは、製造コストが卸値を上回り「売れれば売れるほどレーベル(Factory Records)が赤字になる」という伝説的な逸話を生んだ。

同年5月のセカンド・アルバム『Power, Corruption & Lies(権力の美学)』では、「Age of Consent」や「Your Silent Face」など、ギター・ポップの叙情とエレクトロニクスの高揚感が完璧な調和を見せ、全英4位を記録した。

アーサー・ベイカーとの共闘とダンス・ロックの確立

1983年、ニューヨークのヒップホップ/エレクトロ界の鬼才プロデューサーArthur Baker(アーサー・ベイカー)とタッグを組み、シングル「Confusion」を発表。翌1984年には名曲「Thieves Like Us」をリリースし、本場ストリート・エレクトロの重低音やダブの手法を英国インディー・ロックへ完全に移植した。

1985年のサード・アルバム『Low-Life』(全英7位、「The Perfect Kiss」「Sub-culture」収録)、1986年の4作目『Brotherhood』(全英9位)と傑作を連発。特に『Brotherhood』に収録されたShep Pettibone(シェップ・ペティボーン)によるリミックス・シングル「Bizarre Love Triangle」は、世界中のディスコやダンス・フロアを席巻し、バンドの世界的アンセムとなった。1987年にはシングル集『Substance 1987』が全英3位を記録し、新曲「True Faith」が全英4位、全米32位の世界的ヒットとなった。

ハシエンダと『Technique』、全英1位の栄冠

New Orderは、Factory Recordsの主宰者Tony Wilson(トニー・ウィルソン)らとともに、地元マンチェスターに伝説的クラブ「The Haçienda(ハシエンダ / FAC 51)」を共同出資・運営した。このクラブが発火点となり、1980年代末にアシッド・ハウスとロックが融合した一大ムーブメント「Madchester(マッドチェスター)」が巻き起こる。

1988年、バンドはスペインのイビサ島に滞在してレコーディングを敢行。現地のバレアリック・ビートやアシッド・ハウスの狂騒をダイレクトに吸収し、1989年1月に5作目のアルバム『Technique』をリリースした。本作はバンド史上初となる全英アルバム・チャート1位を獲得。「Fine Time」や「Round & Round」といったフロア直結のダンス・トラックと、叙情的なギターが光る「Run 2」が見事に同居したキャリア最高傑作と評されている。1990年にはサッカーW杯イタリア大会のイングランド代表公式アンセム「World in Motion」を手掛け、シングルとして初の全英1位を獲得した。

ファクトリーの崩壊、『Republic』、そして長期休止

ハシエンダの放漫経営や安全対策費の増大、ハッピー・マンデーズの制作費超過などが重なり、1992年に名門Factory Recordsは破産倒産した。New OrderはメジャーのLondon Recordsへ移籍し、1993年に6作目のアルバム『Republic』を発表。シングル「Regret」の世界的ヒットとともに全英1位、全米16位を記録した。しかしメンバー間の人間関係の軋轢や疲弊から、アルバム発表後にバンドは事実上の活動休止へ突入した。

この間、サムナーは元ザ・スミスのジョニー・マーとElectronicを結成しヒットを連発。フックはRevengeやMonacoを率い、モリスとギルバートはThe Other Twoとして活動した。

ギター・ロック回帰とピーター・フックの脱退

1998年のReading Festivalで劇的な復活を果たし、2001年に8年ぶりのアルバム『Get Ready』(全英6位)を発表。「Crystal」をはじめ、Primal ScreamのBobby GillespieやSmashing PumpkinsのBilly Corganが参加し、力強い生ギター・サウンドを前面に押し出した。このツアーからギタリストのPhil Cunningham(フィル・カニンガム)が加入した。

2005年には『Waiting for the Sirens' Call』(全英5位)を発表したが、サムナーとフックの対立が決定的となり、2007年にピーター・フックが脱退を発表。バンド名の使用権やロイヤリティを巡る激しい法廷闘争へと発展した(2017年に和解が成立)。

ギルバートの復帰と『Music Complete』、そして現在

2011年、家族の看病のため休業していたGillian Gilbertが正式復帰し、新ベーシストにTom Chapman(トム・チャップマン)を迎えて活動を再開した。2015年には10年ぶりのスタジオ・アルバム『Music Complete』(全英2位)を名門Mute Recordsからリリース。The Chemical BrothersのTom RowlandsやIggy Popらを迎え、完全なるエレクトロニック・ダンス/シンセ・ポップへの回帰を宣言して絶賛を浴びた。

2020年には新曲「Be a Rebel」をリリースし、現在も世界各国のアリーナや大型フェスティバルでヘッドライナーを務め続けている。

音楽的特徴とピーター・フックのベース革命

New Orderの最大の功績は、ポストパンクのダークでメランコリックな叙情性と、エレクトロ/ハウスの機械的グルーヴを融合させ、「ダンス・ロック/オルタナティヴ・ダンス」という巨大な領域を切り拓いた点にある。

  • ピーター・フックのメロディック・ベース: 低音を支える従来の役割を飛び越え、高音域(ハイ・ポジション)でコーラス・エフェクトやディストーションを効かせて哀愁あるメロディをリード楽器として奏でる革新的奏法。ロック界のベース概念を根本から覆した。
  • 人間性と機械性の同期: スティーヴン・モリスの人間離れした正確無比な生ドラムとシーケンサー/リズムマシンのタイトな同期。
  • 淡々とした哀愁のヴォーカル: バーナード・サムナーの感情を過度に押し出さず、メランコリーと脆さを漂わせる唯一無二の歌唱。
  • 流麗なシンセサイザーのレイヤー: ジリアン・ギルバートによる温かみのあるメロディックなキーボードとシーケンス。

ロック・バンドのダイナミズムを保ったままクラブ・ミュージックの快楽性を全身で体現したその革新性は、アシッド・ハウス、テクノ、マッドチェスター、2000年代以降のディスコ・パンクやEDM、インディー・ロックに至るまで、現代のポピュラー音楽のDNAとして深く息づいている。

主なアルバム

  • 『Movement』(1981年)
  • 『Power, Corruption & Lies(権力の美学)』(1983年)
  • 『Low-Life』(1985年)
  • 『Brotherhood』(1986年)
  • 『Technique』(1989年)
  • 『Republic』(1993年)
  • 『Get Ready』(2001年)
  • 『Waiting for the Sirens' Call』(2005年)
  • 『Music Complete』(2015年)
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