Meat Loaf - Bat Out Of Hell (1977)
Meat Loaf『Bat Out Of Hell』――ロック・オペラを大衆ヒットへ押し上げた1977年作
Meat Loafの『Bat Out Of Hell』は、1977年にアメリカでリリースされたアルバムだ。ロック、ポップ・ロック、ハードロック、そしてロック・オペラ的な要素が一体になった作品として知られていて、後のキャリアを決定づけた代表作でもある。中心にいるのは歌い手としてのMeat Loafだが、楽曲面ではジム・スタインマンの存在が大きく、制作面ではトッド・ラングレンの関与も重要になる。大げさな展開と、曲ごとのドラマ性がはっきりしたアルバムだ。
この作品は、最初から大ヒット街道を走ったというより、時間をかけて評価と売上を伸ばしたタイプのアルバムとして語られることが多い。アメリカではBillboard 200で14位、イギリスでは最高3位まで上昇し、長くチャートにとどまった。発売から年月を経ても売れ続けたことで、Meat Loafの名を広く定着させた一枚になっている。
制作背景と音の作り
制作の中心にあるのは、ジム・スタインマンが書いた劇的な楽曲群だ。当初は別企画向けだった素材も含まれていたとされ、そこにMeat Loafの強い歌唱と、トッド・ラングレンによるプロデュース、編曲の整理が加わっている。結果として、曲の起伏が大きく、ブレイクや転調、語り口のある展開が次々に出てくる構成になった。バンド演奏の勢いと、舞台作品のような構成感が同居している印象だ。
実際に聴くと、音圧の強さだけで押すアルバムではなく、曲の場面転換がかなり細かい。静かな入りから一気に盛り上がる流れ、語りに近い歌い回し、コーラスの厚みなど、1曲の中で景色が変わる瞬間が多い。派手さが先に立つが、聴き進めると細部の組み立てがかなり緻密な作品でもある。
代表曲とアルバムの核
収録曲の中では、「You Took the Words Right Out of My Mouth」「Paradise by the Dashboard Light」「Two Out of Three Ain’t Bad」が特に知られている。「Paradise by the Dashboard Light」は、男女の掛け合いと野球実況風の語りが入る長尺曲で、このアルバムの芝居がかった魅力を端的に示す一曲だ。「Two Out of Three Ain’t Bad」は比較的メロディの輪郭がつかみやすく、アルバムの中でも広い層に届いた代表曲として扱われている。
こうした曲の存在が、単なる大仰なロック作品ではなく、シングルでも記憶されるアルバムにしている。特に「Paradise by the Dashboard Light」は、後のロック・オペラ系作品や、物語性を前面に出すハードロックの文脈でもしばしば引き合いに出される。
Meat Loafにとっての位置づけ
Meat Loafにとって『Bat Out Of Hell』は、まさに決定打になった作品だ。アメリカではキャリアの立ち上がりに苦労した時期もあったが、このアルバムによって世界的な認知を得た。のちに続く『Bat Out of Hell II: Back into Hell』、『Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose』へとつながる“三部作”の起点でもある。
彼の歌唱は、ロック歌手としての力強さだけでなく、演劇的な表現力が前に出る。このアルバムではその特性がかなり明確で、曲の主人公を演じるような感覚がある。映画や舞台での活動歴とも相性がよく、音楽と演技の境界が薄いタイプの表現者としての輪郭が見えやすい。
同時代のロックの中で
1977年という時期は、ハードロックやアリーナ・ロックが広く浸透していた一方で、より直接的で簡潔なロックも台頭していた頃だ。そのなかで『Bat Out Of Hell』は、パンク的な簡潔さとは別の方向に振り切れている。むしろ、クイーンのような劇場性を持つロックや、長い構成を持つアルバム文化の流れに近い場所に置いて考えやすい。
ただし、本作は技巧の誇示だけで終わらず、メロディのわかりやすさがある。大げさな構成でも耳に残るフックが多く、そこが広い支持につながった要因のひとつだろう。後年の“シアトリカルなハードロック”を語るときにも、この作品の存在は外しにくい。
US盤について
このUS盤はEpicのオレンジ・レーベル仕様で、カスタム印刷のインナー・スリーブ付き。クレジットと歌詞が掲載された仕様になっている。盤面のランアウトは基本的にスタンプで、T1と末尾の数字のみエッチングという記載がある。初期オリジナルの空気をそのまま感じやすい作りだ。
『Bat Out Of Hell』は、Meat Loafの名を一気に広めただけでなく、物語性の強いロック作品が商業的にも成立することを示したアルバムでもある。派手なだけではない作り込み、シングルの強さ、そして長く売れ続けた事実まで含めて、1977年のロックを語るうえで重要な一枚になっている。
トラックリスト
- A1 Bat Out Of Hell 9:48
- A2 You Took The Words Right Out Of My Mouth (Hot Summer Night) 5:04
- A3 Heaven Can Wait 4:38
- A4 All Revved Up With No Place To Go 4:19
- B1 Two Out Of Three Ain't Bad 5:23
- Paradise By The Dashboard Light 8:28
- B3 For Crying Out Loud 8:45