Neal Morse - Jesus Christ The Exorcist (2019)
Neal Morse 2019

Neal Morse - Jesus Christ The Exorcist (2019)

Rock Folk, World, & Country Prog Rock Gospel Rock Opera

Neal Morse『Jesus Christ The Exorcist』レビュー

Neal Morseの『Jesus Christ The Exorcist』は、2019年にFrontiers Music SRLからリリースされた2枚組のロック・オペラ作品だ。プログレッシブ・ロックを主軸に、ゴスペルやミュージカルの要素を強く組み合わせた内容で、イエス・キリストの生涯を物語として追う構成になっている。Neal Morseは、Spock’s Beardの元フロントマンとして知られ、ソロ作でも長尺組曲やコンセプト作品を多く手がけてきた人物だが、本作はその中でも特に物語性が前面に出た一作になっている。

作品の輪郭

このアルバムは、単なる宗教的テーマの作品というより、ロック・オペラとしての構成をきっちり持った大作だ。洗礼から受難、復活へと続く流れを、複数の登場人物の視点や会話を交えながら進めていく。演劇的な展開が多く、曲ごとのつながりも強い。Morseが得意とする、長い尺の中で場面を切り替えながら進む書き方が、ここではかなり明確に出ている。

制作背景も興味深い。もともと「新しい『Jesus Christ Superstar』のようなものを書いてみては」という提案がきっかけの一つになったとされ、構想自体はかなり前から温められていた。2018年にはMorsefestでライブ上演され、その反応を受けてスタジオ盤としてまとめられた流れがある。つまり、いきなり完成したスタジオ作品というより、舞台的な手触りを持った企画が先に立ち上がり、その後に音源として固まった作品だ。

音楽面の特徴

演奏面では、Neal Morseらしいキーボード主体の展開に、ギター、コーラス、ドラマティックな転調が重なる。70年代プログレの文法を下敷きにしながら、ロック・オペラらしい歌の比重が高いのが特徴だ。Ted Leonard、Nick D’Virgilio、Talon Davidら多くのゲストが参加していて、役ごとの歌い分けが作品の流れを支えている。特に歌唱陣の存在は大きく、ひとりの語り手が引っ張るというより、複数の声が場面を回していく印象が強い。

曲単位で見ると、劇中歌として機能するナンバーが多く、派手なフックで押すよりも、場面転換や感情の積み上げを重視している。『The Madman of the Gadarenes』のような曲は、物語の流れを決める重要な位置に置かれているとされ、アルバム全体の構成にも影響している。耳に残るメロディを散りばめつつ、通して聴いたときに一つの舞台作品としてまとまる作りだ。

Neal Morse作品の中での位置づけ

Neal Morseは、Spock’s Beard時代から長編志向の強い作曲家として知られ、ソロでも『Testimony』や『The Similitude of a Dream』のようなコンセプト作品を発表してきた。本作はその延長線上にありながら、宗教的モチーフとロック・オペラの形式がかなり前面に出た点で、位置づけがはっきりしている。個人の内面を描く作品よりも、物語そのものを大きく展開する方向に振り切った内容で、Morseの作家性がよく見える。

また、同時代のプログレ/ロック・オペラ作品と比べても、クラシックな大作志向が強い。派手な現代的プロダクションで押すタイプではなく、歌、演奏、構成でじっくり聴かせる作りだ。プログレの文脈では、Yes系の構築美や、The Who、Jesus Christ Superstar系の舞台的なロック作品を思わせる要素が並ぶが、Neal Morse自身の宗教観がそのまま作品の骨格になっている点がこのアルバムの個性になっている。

2019年盤としての仕様

今回の盤は2019年のオリジナル・リリースで、Europe盤、Frontiers Music SRLのカタログFR LP 955。ゲートフォールド仕様で、アナログ盤としても大作のボリュームを受け止める形になっている。レーベルのFrontiers Music SRLはイタリアのロック系レーベルで、メロディアスなハードロックやプログレ作品のリリースで知られる。Neal Morseのような大作志向のアーティストとは相性のいいレーベルだ。

『Jesus Christ The Exorcist』は、Neal Morseの作曲力、物語構成力、そして歌唱陣の厚みがそのまま出たアルバムだ。ロック・オペラという形式を、2019年の時点でここまで正面から作り切った作品は多くない。プログレの長尺性、ゴスペル由来の高揚感、舞台作品としての流れが一つにまとまった、かなり明確なコンセプト作である。

トラックリスト

  1. A1 Introducing 2:31
  2. A2 Overture 3:19
  3. A3 Getaway 2:41
  4. A4 Gather The People 5:17
  5. A5 Jeses' Baptism 3:09
  6. B1 Jeses' Temptation 10:18
  7. B2 There's A Highway 4:06
  8. B3 The Woman Of Seven Devils 5:41
  9. B4 Free At Last 5:05
  10. C1 The Madman Of The Gadarenes 7:04
  11. C2 Love Has Called My Name 4:14
  12. C3 Better Weather 1:42
  13. C4 The Keys To The Kingdom 4:48
  14. C5 Get Behind Me Satan 3:23
  15. D1 He Must Go To The Cross 3:10
  16. D2 Jerusalem 3:55
  17. D3 Hearts Full Of Holes 3:40
  18. D4 The Last Super 3:50
  19. D5 Gethsemane 7:39
  20. E1 Jeses Before The Concil And Peter's Denial 3:12
  21. E2 Judas' Death 3:33
  22. E3 Jeses Before Pilate And The Crucifixion 8:14
  23. F1 Mary At The Tomb 2:45
  24. F2 The Greatest Love Of All 5:00
  25. F3 Lover Has Called My Name (Reprise) 1:30

動画プレイリスト

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