YMO - Service (1983)
Yellow Magic Orchestra 1983

YMO - Service (1983)

Electronic Pop Non-Music Synth-pop Comedy

YMO『Service』1983年作、コントと楽曲が同居する最終期のアルバム

Yellow Magic Orchestra、通称YMOの『Service』は、1983年に日本で発表された7作目のオリジナル・アルバムである。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人によるこの作品は、YMOの活動末期に位置する一枚で、アルバム全体の構成にかなり特徴がある。音楽作品としての楽曲群に加えて、コント集団S.E.T.による日本語のコント・パートが多数挿入されており、全14トラックのうち半分が非音楽パートで占められる。YMOのディスコグラフィーの中でも、かなり輪郭のはっきりした異色作だ。

1983年のYMOと、この作品の位置づけ

YMOは1978年に結成された日本のエレクトロポップ・バンドで、細野晴臣の発想を起点に、坂本龍一と高橋幸宏が加わってスタートした。初期はスタジオ・プロジェクト的な性格が強かったが、すぐに本格的なバンドとして活動を広げ、シンセサイザーやサンプラー、デジタル録音技術を取り入れながら独自の音像を作っていった。『Service』は、その流れの末尾にある作品で、翌1984年の活動「散開」へつながっていく時期の記録でもある。

オリコンではアルバム5位、売上13万5千枚を記録している。前作『Naughty Boys』のポップさを引き継ぎつつも、ここではより遊びの多い構成が前面に出る。YMOの代表曲集というより、グループの内輪感、当時の空気、そしてメンバーそれぞれの振る舞いまで含めてパッケージしたような一枚だ。

コント挿入という大胆な構成

このアルバムでまず目を引くのは、S.E.T.によるコント・パートの存在だ。日本語の掛け合いが曲間に差し込まれるため、純粋な音楽アルバムとして聴くと、流れが何度も分断される。海外盤ではその部分が大幅に短く編集された例もあり、作品の受け取られ方が地域によって大きく変わっている。YMOが以前から持っていたユーモアの感覚を、かなり前面に押し出した作りである。

ただし、単なるおふざけに寄っているわけでもない。コントが挟まることで、楽曲側の機械的な精密さや、当時のシーンに対する距離感が逆に見えやすくなる。シリアスな電子音楽と、テレビ的な会話劇が同居する構造は、YMOらしい仕掛けでもある。

収録曲の聴きどころ

音楽面では、細野晴臣のベースが前に出る「Limbo」が印象に残る。リズムの組み方がはっきりしていて、ファンクの要素がYMOの電子音の中にきれいに収まっている。ニューウェイヴ的な浮遊感を持つ「Shadows On The Ground」も聴きどころで、打ち込みの硬さだけで押し切らず、余白のある展開になっている。

また、A4に収録された「Time Limit」は、オリジナル曲ではなく既存曲の流用要素を含むトラックとして知られる。こうした構成も含めて、『Service』は楽曲集というより、断片を組み合わせて一つのアルバムにまとめた印象が強い。

オリジナル盤とこの盤の違い

今回の盤は1983年リリースの日本盤で、レーベルはAlfa、品番はYLR-28013。オリジナル盤は透明イエロー・ヴァイナルで出ていたが、この盤は黒盤でのリリースになっている。録音は1983年9月から10月にかけてAlfaのStudio “A”で行われ、マスタリングはCBS Sony Shinanomachi Studioで施されている。ジャケットや帯に記された流通表記にはワーナー・パイオニア株式会社の名も見られる。

同じ1983年のYMO作品としては、『Naughty Boys』と並んで、活動末期の色合いを強く示す一枚である。派手なヒット曲を前面に押し出すタイプではないが、YMOが音楽とユーモア、そしてメディア感覚をどう扱っていたかがまとまっている。電子音楽、ポップ、コメディが一つのパッケージに収まったこの構成は、当時の日本のポップ・ミュージックでもかなり珍しい部類に入る。

YMOの流れの中で

YMOはその後、1984年に「散開」という形で活動を区切り、1993年には『Technodon』で再結成している。『Service』は、その直前の時期に置かれた作品として、メンバー3人の関係性や当時の空気をそのまま閉じ込めたような存在感がある。電子音楽の精密さだけでなく、遊びや会話、舞台的な要素まで含めてYMOを見たいときに、避けて通れないアルバムだ。

YMOが後続の電子音楽やJ-POPに与えた影響は大きいが、『Service』はその中でも、音楽の完成度と同時に、作品の枠組みそのものをずらしてみせた例として記憶されている。音だけでなく、構成そのものを含めてYMOらしさが出た一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Limbo 3:30
  2. A2 S.E.T. 4:22
  3. A3 The Madmen 4:40
  4. A4 S.E.T. 1:24
  5. A5 Chinese Whispers 4:28
  6. A6 S.E.T. 4:16
  7. A7 You've Got To Help Yourself 4:44
  8. B1 S.E.T. + YMO 5:54
  9. B2 Shadows On The Ground 4:20
  10. B3 S.E.T. 3:26
  11. B4 See-Through 3:37
  12. B5 S.E.T. 4:10
  13. B6 Perspective 5:13
  14. B7 S.E.T. 0:50

動画プレイリスト

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