Inner Circle - Reggae Thing (1976)
Inner Circle 1976

Inner Circle - Reggae Thing (1976)

Rock Funk / Soul Reggae Rock & Roll Disco Roots Reggae

Inner Circle『Reggae Thing』(1976)

Inner Circleの『Reggae Thing』は、1976年にUSのCapitol Recordsから出たアルバムで、バンド初期の姿を知るうえで重要な一枚だ。Inner Circleは1968年にキングストンで結成されたジャマイカのグループで、後年の世界的ヒットで知られる前から、ロック、レゲエ、ファンク/ソウルの要素を行き来しながら活動していた。この作品でも、そうした混ざり方がはっきり出ていて、ルーツ・レゲエを軸にしつつ、当時のUS市場を意識したような押し出しの強さがある。

1970年代半ばのレゲエは、ジャマイカ本国だけでなく、イギリスやアメリカでも少しずつ存在感を増していた時期だ。Bob Marley and the WailersやThird World、Toots & the Maytalsのように、レゲエを国際的なアルバム作品へ広げていく動きがあり、Inner Circleもその流れの中にいる。『Reggae Thing』は、そうした時代の空気をまといながら、バンド名義のアルバムとしてまとまった形を示している点が見どころになっている。

作品の位置づけ

Inner Circleにとってこの時期は、後の大きな飛躍の前段階にあたる。のちにJacob Millerを前面に据えた時代で国際的な評価を高めるが、『Reggae Thing』はそれ以前のバンドの骨格を確認できる作品として捉えやすい。Roger LewisとIan Lewisの兄弟を中心にしたグループの基本線が、ここでは比較的まっすぐに出ている。派手な後年作とは違い、バンドの持つリズム感や曲の運びを追いやすいアルバムという印象だ。

レーベルはCapitol Records。US盤らしい流通の広さもあり、この時代のジャマイカ音楽がアメリカの大手レーベルから出ていた事実自体が、レゲエの裾野が広がっていたことを示している。ジャケットやレーベル面の雰囲気も含めて、いわゆる輸入盤レゲエの手触りがある一枚だ。

サウンドの印象

聴き進めると、重心の低いベースと、前に出すぎないギター、そしてリズムの隙間を活かした演奏が目につく。レゲエ特有のオフビートの刻みが中心にありながら、曲によってはロック寄りの推進力や、ファンク/ソウル的なノリも感じられる。演奏は過剰に飾らず、ビートの反復で引っ張る場面が多い。こうした作りは、当時のジャマイカ産レゲエのアルバムらしいまとまりでもある。

一方で、後年のヒット曲にあるような大きなフックや、ポップに開けたコーラス重視の作りとは少し距離がある。ここではむしろ、バンドがどんなリズムで進むか、どこで間を置くか、どの楽器を前に出すかといった部分が作品の核になっている。レゲエを軸にしながらも、単に同じ型を繰り返すだけではない、ロックやソウルの影が見える構成だ。

注目曲としての「Reggae Thing」

タイトル曲「Reggae Thing」は、このアルバムの性格をそのまま示す中心曲だと受け取れる。曲名どおり、レゲエという形式そのものを前面に置いた作りで、グルーヴの持続が聴きどころになる。派手な展開で押すというより、リズムの粘りと反復で引き込むタイプの曲で、Inner Circleがこの時期に持っていたバンドとしての基礎体力がよく出ている。

同時代のレゲエと比べると、メッセージ性を強く打ち出す作品群とも、ディスコやソウルへ大きく寄せた作品群とも少し違う位置にある。タイトル曲はその中間で、レゲエの骨格を保ちながら、聴き手にリズムの快感を直接伝える役割を担っているように思える。アルバムの顔として、まずここを押さえる構成だ。

アルバム全体の聴きどころ

『Reggae Thing』は、のちのInner Circleを知っていると、まだ輪郭が固まる前の時期として耳に入りやすい。Jacob Miller時代のような強い個性が前面に出る以前だからこそ、バンドの演奏とアンサンブルが見えやすい。レゲエの基本形を軸にしつつ、USのアルバム市場で通用するようなまとまりを持たせている点も、1976年という年らしい。

Inner Circleのディスコグラフィーの中では、後年の代表作へつながる前史として見ると位置づけがつかみやすい。ルーツ・レゲエの流れにありながら、ロックやファンクの要素も自然に混ざるこの感じは、1970年代中盤の国際的なレゲエ作品に通じるものでもある。派手な一発で記憶させるというより、バンドの土台をそのまま記録したアルバムとして残るタイプの作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Love Is The Drug 4:23
  2. A2 80,000 Careless Ethiopians 3:22
  3. A3 Reggae Thing 4:02
  4. A4 Jah Music 4:05
  5. A5 Roman Soldiers Of Babylon 2:55
  6. B1 Groovin' In Love 4:43
  7. B2 Tired Fe Lick Weed In A Bush 2:59
  8. B3 Forward Jah Jah Children 4:11
  9. B4 Ghetto On Fire 4:12
  10. B5 This World 5:31

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