The Black Crowes - Shake Your Money Maker (1990)
The Black Crowes 1990

The Black Crowes - Shake Your Money Maker (1990)

Rock Rock & Roll Hard Rock Southern Rock

The Black Crowes『Shake Your Money Maker』レビュー

The Black Crowesのデビュー作『Shake Your Money Maker』は、1990年に登場したアルバムで、バンドの出発点をそのまま示すような1枚だ。アトランタ、ジョージア州出身の彼らは、ブルース・ロックを土台にした骨太な演奏と、ローリング・ストーンズ系のロックンロール感覚を前面に押し出して注目を集めた。ここに入っているのは、単なる新人バンドの初作というより、70年代アメリカン・ロックの手触りを90年代の空気に持ち込んだ作品という印象が強い。

この盤はヨーロッパ盤で、レーベルはRick Rubin主宰のDef American Recordings。Rubinが手がける作品らしく、音の作りは派手な装飾を避け、バンドの生々しい演奏を前に出した方向性がはっきりしている。Black Crowesの初期像を知るうえでは、まず押さえておきたい基本盤と言える。

アルバム全体の性格

『Shake Your Money Maker』を聴くと、まずリズムの置き方が明快だ。ギターはリフを積み上げるというより、曲の芯をまっすぐ支える役割が強く、そこにChris Robinsonのしゃがれた歌が乗る。演奏の隙間が適度に残されていて、スタジオで整えすぎた感じは薄い。実際、曲ごとの温度差がそのまま記録されているような作りで、ロックバンドの初期衝動が盤面に残っている。

同時代の文脈で見ると、80年代後半から90年代初頭にかけてのアメリカン・ロックの中でも、派手なハードロック路線とは少し距離がある。むしろ、The Rolling Stones、Faces、Allman Brothers Band、さらにSouthern rockの流れを引きながら、当時のメジャー・ロックの中で再び“バンドの鳴り”を前面に出した作品として受け取られていたはずだ。The Black Crowesがこの時点で持っていたのは、技巧の誇示よりも、曲の推進力とグルーヴを重視する姿勢だった。

代表曲「Hard to Handle」

このアルバムで最も知られている曲のひとつが「Hard to Handle」だ。Otis Reddingのカバーとしても有名な曲で、The Black Crowes版は原曲のソウル感を残しつつ、よりギター主体のロック・ナンバーとして組み替えている。ここではChris Robinsonのヴォーカルが前に出ていて、言葉の切れ方がはっきりしているのが印象的だ。バンドの演奏も、歌を押し上げるようにコンパクトにまとまっている。

この曲がヒット曲として機能したことで、アルバム全体の入口がかなり広くなった。The Black Crowesを最初に知る人の多くがこの曲から入ったはずで、実際にアルバムを通して聴くと、単独のヒット曲だけでなく、同じ質感を保った曲が並んでいることがわかる。「Hard to Handle」は作品の顔であると同時に、バンドの初期の方向性をもっとも端的に示す曲でもある。

代表曲「She Talks to Angels」

もうひとつ外せないのが「She Talks to Angels」だ。こちらは「Hard to Handle」とは違い、テンポを落として、アコースティックな響きと歌の重さを前に出した曲になっている。Chris Robinsonの歌い回しが、派手さよりも語りかけるような輪郭を持っていて、アルバムの中でも空気が変わる。ギターのフレーズも過剰に飾らず、曲の中心にある情景を崩さない。

この曲があることで、『Shake Your Money Maker』は単なる直線的なロック盤では終わっていない。ブルース・ロックの文脈にある“重さ”と“間”が、ここではかなりはっきり出ている。バンドの売りが派手なサウンドだけではなく、メロディと歌の表情にもあることを示す1曲で、アルバムの印象を長く残す役割を担っている。

『Shake Your Money Maker』の位置づけ

このアルバムはThe Black Crowesにとって、デビュー作であると同時に、後の活動の土台を作った作品でもある。以後の彼らが一貫して持ち続ける、アメリカン・ロックの伝統を現代のバンド編成で鳴らす感覚は、すでにここでかなり明確だ。メンバー変遷の多いバンドではあるが、初期の核としてChris RobinsonとRich Robinsonの存在が強いことも、この盤を聴くとよくわかる。

録音や曲作りの面でも、過度に作り込まず、演奏の勢いを残す方針がはっきりしている。90年という時点でこの手触りを前面に出したことが、彼らを単なる懐古的バンドではなく、当時のロック・シーンの中で独自の存在に見せた要因のひとつだったように思える。ヒット曲だけでなく、アルバム全体を通してバンドの輪郭をつかめる1枚として、今も初期作品の中心に置かれている。

なお、ヨーロッパ盤として出ているこのレコードは、オリジナルの1990年リリースをそのまま伝える位置づけで、Def American Recordings期のロゴやクレジットが当時の空気をそのまま残している。レーベル面の情報も含めて、90年代初頭のアメリカン・ロックの出発点を確認できる盤だ。

トラックリスト

  1. A1 Twice As Hard 4:09
  2. A2 Jealous Again 4:35
  3. A3 Sister Luck 5:14
  4. A4 Could I've Been So Blind 3:44
  5. A5 Seeing Things 5:18
  6. B1 Hard To Handle 3:08
  7. B2 Thick N' Thin 2:43
  8. B3 She Talks To Angels 5:30
  9. B4 Struttin' Blues 4:10
  10. B5 Stare It Cold 5:15

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