Motörhead - Motörhead (1977)
Motörhead 1977

Motörhead - Motörhead (1977)

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Motörhead『Motörhead』(1977) レビュー

Motörheadの1作目『Motörhead』は、1977年8月21日に英国のChiswick Recordsから出たデビュー・アルバムだ。バンド名をそのままタイトルにした作品で、のちのMotörhead像を決定づける要素がすでにかなり見えている。LemmyことIan Fraser Kilmisterを軸にした三人編成の音、ロックンロールの推進力、パンク以後の荒さ、そしてハードロックとヘヴィメタルの境目をまたぐような感触が、この時点でまとまっている。

MotörheadはしばしばNWOBHMの文脈で語られるが、Lemmy自身は一貫して自分たちの音をロックンロールとして捉えていた。実際、このアルバムを聴くと、整ったメタルの様式よりも、まず直進するリズムと粗いギター、低く前に出るベースと声の組み合わせが印象に残る。後年の代表作『Overkill』『Bomber』『Ace of Spades』へつながる入口としても重要な一枚だと思える。

1977年という時代の中で

1977年の英国ロックは、パンクの衝撃がまだ生々しい時期だった。そんな中でMotörheadは、パンクの速度感とハードロックの骨太さを接続するような位置に立っている。ここで鳴っている音は、同時代のロックに比べてもかなり前のめりで、演奏の輪郭もはっきりしている。派手な装飾より、勢いと押し出しで聴かせる作り。のちのスピードメタルやスラッシュメタルに影響したとされるのも、この直線的な感触が大きい。

なお、この作品には1975年にUnited Artists向けに録音されながら当時は棚上げされ、後年に出た音源とは別に、1977年時点の正式なデビュー作としての意味がある。Chiswick Recordsの初期カタログの中でも、バンドの方向性を強く印象づける一枚だったはずだ。

アルバム全体の聴きどころ

全編を通して、Lemmyのベースとボーカルが強く引っ張る。一般的なベースの役割を超えて、リフの一部のように前へ出る鳴り方がこの時点ですでにある。ギターは輪郭の太いリフを刻み、ドラムは必要以上に複雑にせず、ビートを前へ押す。音数は多くないが、空白が少ないぶん、演奏の圧がそのまま伝わる構成だ。

実際に聴くと、録音の質感は後年の大作ほど分厚くはないが、そのぶんバンドの生々しさが残る。スタジオで整えた完成品というより、ライブの延長で押し切るような手触り。曲ごとの温度差もあまり大きくなく、アルバム全体が一つの流れとして進んでいく。

注目曲「Motörhead」

タイトル曲「Motörhead」は、このアルバムの核になる1曲だ。Lemmyがバンド名を掲げるだけあって、以後のMotörhead像をそのまま示すような内容になっている。速いテンポ、前へ突っ込むリズム、そして言葉を削ってでも勢いを優先するような歌い回し。ここには、のちの代表曲群に通じる“止まらない”感覚がある。

この曲の聴きどころは、単に速いだけではなく、ベースとギターが同じ方向に押し出していく点にある。リフの反復がしつこく、そこに声が乗ることで曲の輪郭が固まる。Motörheadという名前自体が、この音の押し方と強く結びついている印象だ。

注目曲「Iron Horse / Born to Lose」

「Iron Horse / Born to Lose」は、アルバム中でも特にバンドの直進性が出ている曲として耳に残る。前半の「Iron Horse」は疾走感が強く、後半の「Born to Lose」へつながる流れも含めて、短い時間でMotörheadの基本形を見せるような構成だ。荒いのにまとまりがあり、勢いだけで崩れない。

このあたりを聴くと、Motörheadが単なるハードロック・バンドでも、単なるパンク寄りのバンドでもないことがわかる。パンクの切迫感を持ちながら、リフの重さとロックンロールの感覚を落とし込んでいる。後の速いメタル勢に比較されるのも納得しやすい。

注目曲「Lost Johnny」

「Lost Johnny」は、アルバムの中でやや別の表情を見せる曲だ。全体の速度感の中にあって、リズムのノリやフレージングに少しゆとりがあり、バンドのロックンロール色が見えやすい。とはいえ、ここでも音の芯はぶれず、Motörheadらしい硬い推進力が保たれている。

この曲は、のちのMotörheadが見せる“速いだけではない”部分の原型としても聴ける。粗い音作りの中に、メロディを完全に捨てない感覚があり、アルバム全体の中で耳を変える役割を果たしている。

代表作としての位置づけ

『Motörhead』は、のちの大ヒット作ほど知名度が高いわけではないが、バンドの出発点としてはかなり重要だ。ここで確立されたLemmyの声、ベースの押し出し、パンクを取り込んだスピード感は、その後のMotörheadの基本語彙になっていく。後年の作品に比べると構成は素朴だが、その素朴さがむしろ初期Motörheadの輪郭をはっきりさせている。

Chiswick Recordsから出たこの初期盤は、Motörheadがまだ巨大な存在になる前の、バンドの輪郭が固まりつつある時期をそのまま閉じ込めた作品だ。ハードロック、ロックンロール、パンク、そしてヘヴィメタルの境界線をまたぐ、その始まりの記録として見えてくる。

トラックリスト

  1. A1 Motorhead
  2. A2 Vibrator
  3. A3 Lost Johnny
  4. A4 Iron Horse/Born To Lose
  5. B1 White Line Fever
  6. B2 Keep Us On The Road
  7. B3 The Watcher
  8. B4 Train Kept A Rollin'

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