The Beat Of The Earth - The Beat Of The Earth (1967)
The Beat Of The Earth 1967

The Beat Of The Earth - The Beat Of The Earth (1967)

Rock Psychedelic Rock Free Improvisation

The Beat Of The Earth / The Beat Of The Earth(1967)

1967年にカリフォルニア州オレンジ・カウンティで生まれた、The Beat Of The Earthによる唯一のアルバム。中心にいたのは、U.C.アーバイン校の美術学生だったフィル・パールマンで、バンドは同地の実験的なアンダーグラウンド・シーンの空気をそのまま抱え込んだような存在として知られている。Radishからの自主プレス、限定500枚という条件もあって、当時から広く流通した作品ではない。むしろ、私的な制作物に近い熱量を持った録音として扱われてきた盤である。

作品の輪郭

このアルバムは、A面・B面ともに長尺の1曲構成で進む。曲を細かく区切るというより、演奏の流れそのものを記録した作りで、パーカッション、アコースティック/エレクトリック・ギター、シタール、オルガンが重なりながら展開する。リズムは一定のグルーヴに固定されず、音の重なりが少しずつ形を変えていく。聴感上は、曲というよりセッションの持続、あるいは即興の積層に近い。

バックカバーに「This record is an Artistic Statement. If you are looking for psychedelic music, do not buy this record unless you are looking for psychedelic music.」と記されているのも、この盤の性格をよく表している。見た目の印象や“サイケ”という言葉のイメージだけで捉えると、少しずれる。派手な展開や分かりやすいフックより、音の反復、間、持続が前面に出る作品だ。

サウンドの印象

実際に聴くと、まず耳に残るのは音の密度よりも、空間の使い方である。各楽器が前へ出たり引っ込んだりを繰り返し、同じフレーズが長く続いても、周囲の音色が変わることで印象が保たれる。オルガンの鳴り方は単純な伴奏ではなく、持続音として全体の温度を支える役割が大きい。ギターは旋律をはっきり提示するというより、断片的な音型やノイズ寄りのフレーズを差し込んでいく場面が多い。そこに打楽器が加わって、一定の高揚感よりも、少しずつ圧が増していく感じが続く。

サイケデリック・ロックの文脈で語られることが多い盤だが、単に当時の流行に乗った作品というより、フリー・インプロヴィゼーションの要素を強く含んだ実験作として見るほうがしっくりくる。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを西海岸側の感覚で引き延ばしたようだと評されることがあるのも、派手な色彩感というより、反復と持続の中に不穏さを宿す作りに理由がある。

1967年という位置づけ

The Beat Of The Earthは、1967年というサイケデリック文化の拡大期に出てきた作品だが、同時代のヒット志向のサイケとはかなり距離がある。ラジオ向けの短い曲を並べるのではなく、アルバム全体をひとつの音響体験としてまとめた点に特徴がある。オレンジ・カウンティ発の自主制作盤としては、ローカルな実験精神をかなり濃く残した例で、後年のアンダーグラウンド盤蒐集の文脈で注目されるようになった。

商業的には目立たなかった一方で、80年代半ば以降、コレクターの間で評価が上がり、60年代アンダーグラウンド・サイケの再発見が進む流れの中で存在感を増していった。さらに、フィル・パールマンの周辺から未発表作『The Electronic Hole』の存在も知られるようになり、このバンドが単発の珍盤ではなく、より広い実験志向の活動の一部として見られるようになった。そうした経緯も、このアルバムの位置づけを面白くしている。

まとめ

The Beat Of The Earthの唯一作は、1967年の西海岸アンダーグラウンドが持っていた実験性を、かなり直接的な形で残したレコードである。500枚限定の自主プレス、長尺一曲構成、即興性の強い演奏、そして「Artistic Statement」という明確な自己規定。どれを取っても、一般的なロック・アルバムの枠には収まりにくい。60年代サイケの周縁に置かれながら、今ではその周縁性こそが価値として見られている一枚だ。

トラックリスト

  1. A The Beat Of The Earth (Side 1) 21:30
  2. B The Beat Of The Earth (Side 2) 20:52

動画プレイリスト

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