The Splash Band - The Music Of John Carpenter (1984)
The Splash Band 1984

The Splash Band - The Music Of John Carpenter (1984)

Electronic Stage & Screen Synth-pop Disco Theme

The Splash Band『The Music Of John Carpenter』について

The Splash Bandの『The Music Of John Carpenter』は、1984年にドイツのZYX Recordsから出たアルバムである。タイトル通りジョン・カーペンター作品の音楽を扱った内容で、Electronic、Stage & Screen、Synth-pop、Disco、Themeの範囲に置かれる1枚だ。The Splash Bandは、映画音楽、とくにカーペンター系の素材をディスコやイタロ系の感触で再構成するドイツのダンス・アクトとして知られており、この作品もその流れをはっきり示している。

1984年という時期を考えると、映画音楽の人気とシンセ・サウンドの拡張がちょうど重なっていた頃合いである。ジョン・カーペンターのテーマ曲は、すでに独立した楽曲としても強い印象を持つものが多く、そのメロディや音色をクラブ向けのフォーマットに移し替える試みには、当時らしい狙いが見える。The Splash Bandは、原曲の輪郭を残しつつ、ビートやシーケンスを前に出す作りで、サウンドトラックの再解釈というより、ダンス・ミュージック側からの接近に近い印象を受ける。

作品の位置づけ

The Splash Bandは、メンバーとしてPit Löw、Ralf Hennings、Joe Pöhlmann、Batschleffがクレジットされている。プロフィール上も、ジョン・カーペンターの音楽を素材にしたイタロ風のカバー/アレンジを行うユニットとして整理されており、このアルバムはその代表的なリリースのひとつと見てよさそうだ。1984年のドイツでZYX Recordsから出たことも含め、当時のヨーロッパ・ダンス・シーンと映画音楽の接点を示す資料的な意味合いもある。

なお、この作品は後年の別形態でも流通しているが、ここで扱うのは1984年のオリジナル盤である。ZYX Recordsのカタログに並ぶ同時代の作品群と比べても、映画テーマを前面に出した企画色の強いタイトルで、アーティストとしての方向性がかなり明確な1枚といえる。

聴きどころ

この作品の面白さは、カーペンター作品の旋律が持つ単純さと緊張感を、クラブ寄りのリズムにどう載せるかにある。もとのテーマは、少ない音数で不穏さや空気感を作るものが多いが、The Splash Bandはそこに拍の明確な推進力を与える。原曲を知っていると、メロディの出し方や間の取り方に耳が向くし、知らなくても、シンセ主体のダンス・トラックとして流れを追いやすい構成になっている。

また、1980年代前半のヨーロッパ産シンセ・ポップやディスコの文脈で聴くと、音色の選び方や打ち込みの質感がわかりやすい。映画音楽の再演奏でありながら、単なるコピーではなく、当時のダンス・レコードとして成立させる意識が前面にある。こうした作りは、同時代のカバー企画や、サウンドトラックを素材にしたディスコ・プロジェクトと地続きのものだろう。

注目したい曲

収録曲の中では、やはりジョン・カーペンターを代表するテーマ曲の扱いが要になる。『Halloween』系のテーマのように、少ない音の反復で印象を残す曲は、この手のアルバムで特に性格が出やすい。The Splash Band版では、原曲の不安定さをそのまま引きずるのではなく、一定のビート感の中に置き換えることで、別の用途の音楽として聴けるようにしている。緊張感のあるメロディが、踊れるテンポに移ったときの違和感と面白さが、この種のアレンジの核だろう。

もうひとつは、『Escape from New York』や『The Fog』のような、カーペンター作品らしいテーマ性の強い曲である。こうした楽曲は、元々が映像の空気を支えるための音楽でありながら、テーマ自体の存在感が大きい。The Splash Bandは、その輪郭を保ちながらも、エフェクトやリズムを足して、アルバム全体の統一感へ寄せていく。結果として、各曲が映画の場面を思い出させるというより、同じ“カーペンター的な音像”を別角度から並べたような印象になる。

盤の仕様とこの版の特徴

この1984年ドイツ盤は、ZYX Recordsの20.038番でリリースされている。レーベル表記やランアウトの情報からも当時のZYXらしい仕様がうかがえる。リリースノートによれば、この版ではバックカバーとラベルの両方にThe Splash Band名義が記され、ラベルの文字色はシルバーである。別バージョンではバックカバーやラベル表記に差があるため、見比べると同じタイトルでも細部が異なることがわかる。

こうした違いは、コレクションの観点では重要だが、作品そのものの性格は変わらない。『The Music Of John Carpenter』は、ジョン・カーペンターの楽曲群を1980年代中盤のヨーロッパ・ダンス文脈に置き直したアルバムとして、当時の空気をそのまま残した1枚である。映画音楽とディスコ、シンセ・ポップの交差点にあるタイトルとして、今見ても位置づけははっきりしている。

トラックリスト

  1. A1 The End (Disco) 5:08
  2. A2 Unheimliche Schattenlichter 3:58
  3. A3 Das Ding 4:15
  4. A4 The Fog 3:33
  5. B1 Christine 2:50
  6. B2 Halloween I 3:22
  7. B3 The End (Sound) 3:58
  8. B4 Halloween II 3:27
  9. B5 "Die Klapperschlange" 3:17

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