X Ray Connection - X Ray Connection (1984)
X Ray Connection『X Ray Connection』について
1984年にオランダのBreak Recordsから登場した、X Ray Connectionのセルフタイトル・アルバム。X-Ray Connectionは、1980年代前半のヨーロッパで広がったエレクトロ、ディスコ、スペース・シンセ、Hi-NRGの流れの中に位置づけられるプロジェクトで、アダムス&フライスナが手がけたユニットとして知られている。本作はその活動期を代表する一枚で、ダンス・トラックとしての推進力と、電子音主体の構成を前面に出した内容になっている。Break Recordsはオランダのカトウェイクに拠点を置く80年代ディスコ系レーベルで、本作もその文脈にきれいに収まる作品だ。
このアルバムを聴くと、まず打ち込みのリズムとシンセベースの運びがはっきりしている。ドラムは「All drumsounds by Digi Sound」とクレジットされていて、機械的な輪郭がそのまま作品の骨格になっている感じがある。1984年という時期を考えると、ディスコの残響とエレクトロの新しさがまだ近い距離にあり、その接点をなぞるような一枚という見方ができる。スペース・シンセ的な広がりもありつつ、クラブ向けの直線的なリズム感が強いのが特徴だ。
作品の位置づけ
X Ray Connectionは、単発のヒットだけで語られるというより、当時のヨーロッパ系エレクトロ/ディスコの流れの中で評価されてきたプロジェクトだと思ってよい。本作はその代表作として扱われることが多く、収録曲のいくつかはシングルでも知られている。ハイエナジーや初期シカゴ・ハウスのリスナーからも支持されてきたというプロフィールどおり、単なる懐メロ的なディスコ盤ではなく、電子音主体のダンス・ミュージックとして聴かれているのがポイントだ。
「Escape From Space」
代表曲のひとつが「Escape From Space」。タイトル通り、宇宙的なイメージを前面に出したトラックで、シンセのフレーズが空間を押し広げるように展開する。スペース・シンセの魅力は、メロディのわかりやすさと、音色の冷たさや浮遊感が同居するところにあるが、この曲もその性格がよく出ている。リズムは踊れる形を保ちながら、上モノが少しずつ景色を変えていく作りで、アルバムの中でも印象に残りやすい。
この手のトラックは、同時代のイタロ・ディスコやエレクトロと並べて聴かれることが多いが、「Escape From Space」は特にスペース・シンセ寄りの色が濃い。クラブでの機能性と、SF的なイメージ喚起の両方を狙ったような構成で、1980年代前半の電子ダンス音楽らしい直球の魅力がある。
「No More Communication」
「No More Communication」は、ボコーダーを使ったロボットボイスが耳に残る一曲。電子音が主役でありながら、ヴォーカル処理によって人間の声の輪郭を機械化していく作りが、この時代らしい方向性をはっきり示している。タイトルの持つ断絶感も、その音像とよく噛み合っている。
この曲では、ビートの推進力に加えて、反復するシンセのモチーフが楽曲全体を引っ張る。派手な展開で押すというより、同じフレーズを少しずつ重ねていくタイプで、ダンス・トラックとしての持続力がある。X Ray Connectionの作品の中でも、エレクトロ色を強く感じやすい代表曲のひとつだ。
「Replay」
「Replay」は、シンセポップ寄りの親しみやすさを持ったダンサブルなナンバー。アルバムの中では比較的メロディが前に出ていて、電子音の硬さだけでなく、フックのある展開で聴かせる。1983年のリリース曲として知られ、X Ray Connectionのカタログの中でもよく知られた存在だ。
この曲は、エレクトロやディスコの文脈にありながら、ポップソングとしての輪郭が見えやすい。ビートはしっかりしているが、音の隙間を活かした作りで、シンセのラインが自然に耳に残る。アルバム全体の中でも、比較的入口になりやすいトラックと言えそうだ。
「Shoot」
「Shoot」は、エネルギッシュなシンセベースが前面に出たナンバー。ここではメロディの華やかさよりも、低音の押し出しとリズムのキレが重要になっている。クラブ向けの機能性が強く、アルバムの中でダンス・ミュージックとしての性格を端的に示す曲だ。
こうした作りは、同時代のヨーロッパ産エレクトロに通じるものがある。シンセベースの反復、硬質なビート、短いフレーズの積み重ねという構成が、80年代前半のダンスフロアの感覚をそのまま持っている。派手な装飾よりも、リズムと音色の組み合わせで引っ張るタイプの楽曲だ。
盤としての特徴
このオリジナル盤は1984年のオランダ盤で、マトリクスにはスタンプ刻印と「K.G.」のエッチングがある。盤面やプレスの情報も含めて、当時のローカルなディスコ/エレクトロ作品らしい手触りがある。ブートレグや非公式盤とは別に、Break Recordsの正式リリースとして残っている点も、この作品の位置づけを理解するうえで重要だ。
X Ray Connection『X Ray Connection』は、80年代前半のヨーロッパ電子ダンス音楽の空気を、比較的ストレートに伝えるアルバム。ヒット曲の要素、クラブ向けの機能性、スペース・シンセ的なイメージが一枚の中でまとまっていて、プロジェクトの代表作として見られてきた理由もわかりやすい。ディスコの延長線上にありながら、電子音の比重をしっかり上げているところが、この作品の核になっている。
トラックリスト
- A1 Shoot (Special Video Version) 5:56
- A2 Escape From Space 7:01
- A3 No More Communication 5:33
- B1 Replay 5:22
- B2 Get Ready 6:59
- B3 Missed Again, Game Over 7:06