Bomb The Bass - Into The Dragon (1988)
Bomb The Bass 1988

Bomb The Bass - Into The Dragon (1988)

Electronic Hip Hop Funk / Soul Acid House Hip-House Freestyle

Bomb The Bass『Into The Dragon』

Bomb The Bassは、ロンドンのDJ/プロデューサー、ティム・シムノンによるソロ・プロジェクトだ。『Into The Dragon』は1988年10月にRhythm Kingから出たデビュー・アルバムで、同レーベルの品番はDOOD LP 1。UK盤は、内袋にカラー印刷のインナー・スリーブを付けた仕様で、ジャケットとインナーではA4とB1の表記が「7" Mix」と異なっている。

制作背景

この作品の核になったのは、シムノンが当時まだ20歳そこそこの時期に、同居人でありRhythm King共同設立者でもあったジェームス・ホロックスの支援を受けながら進めた制作。イースト・ロンドンのHollywood Studiosで、エンジニア/プロデューサーのパスカル・ガブリエルとともに作業が始まった。高価なフェアライトCMIは使えず、Akai S900サンプラー3台を、コモドール64上のSteinberg Pro16シーケンサーで同期させた環境で進行した。録音2日、ミックス1日の長週末セッションで「Beat Dis」が組み上がったという経緯が残っている。

ジャケットに描かれた血痕のついた黄色いスマイリー・バッジは、アラン・ムーアとデイヴ・ギボンズによるグラフィック・ノベル『ウォッチメン』からの引用。これがアシッド・ハウスおよびセカンド・サマー・オブ・ラブの熱狂を象徴するアイコンとなった。

アルバムの顔になった「Beat Dis」は、アイザック・ヘイズの「Theme from Shaft」、ジェームス・ブラウンの「Funky Drummer」、パブリック・エネミー、人形劇『サンダーバード』のカウントダウンなど、数多くの音源を重ねた構成で知られる。別の軸では、「Megablast」がジョン・カーペンター監督の『要塞警察』のテーマを引用し、マーリンのラップをフィーチャーした版とともにフロアを沸かせ、のちにPCゲーム『Xenon 2: Megablast』のBGMにも採用された。さらに「Say A Little Prayer」ではバート・バカラックとハル・デヴィッド作の楽曲をモーリーン・ウォルシュの歌声でハウス化し、「Don't Make Me Wait」ではロレインをフィーチャーしている。

時代の文脈

1987年から1988年の英国では、M/A/R/R/S「Pump Up the Volume」、Coldcut、S'Expressらと並んで、ターンテーブルと初期デジタル・サンプラーを使ったカット&ペースト型のトラックがチャートへ入っていった。本作は、その流れの中で制作されたアルバムとして記録されている。Rhythm King自体も、1986年にJames HorrocksとMartin Heathが立ち上げたダンス志向のレーベルで、1988年の時点で大きな成功を収めていた。『Into The Dragon』は、その時期のレーベルの動きとも重なるリリースだ。

ティム・シムノンにとっても、この作品は転機になった。『Beat Dis』で注目を集めたあと、Neneh Cherryの「Buffalo Stance」や『Raw Like Sushi』を手がけ、のちにはDepeche Modeの『Ultra』、Massive Attack、Sealなどの制作やリミックスへつながっていく。

後世への影響

この時期のBomb The Bassは、著作権クリアランスが今ほど厳格化する前のサンプリング文化を、そのまま作品に落とし込んだ例として語られている。『Into The Dragon』の中でも、「Beat Dis」は特に知られ、以後のサンプリング主体のダンス・トラックを語るうえで外せない曲になった。アルバムは全英チャートで最高18位を記録。シングルでは「Beat Dis」が全英2位・全米ダンスチャート1位、「Megablast / Don't Make Me Wait」が全英6位、「Say A Little Prayer」が全英10位を記録している。

全体としては、ヒップホップ、アシッド・ハウス、エレクトロ、フリースタイルが交差した時期のUKクラブ・シーンの熱気と実験精神を鮮烈に捉えている。

トラックリスト

  1. Dis Side
  2. A1 Beat Dis (U.S. 7" Mix) 3:42
  3. A2 Megablast Rap (Version) 6:50
  4. A3 On The Cut 3:52
  5. A4 Don't Make Me Wait (7" Mix) 4:17
  6. A5 Dynamite Beats 1:45
  7. Dat Side
  8. B1 Megablast (Hip Hop On Precinct 13) (7" Mix) 3:54
  9. B2 Hey You! 3:23
  10. B3 Shake It 5:10
  11. B4 Say A Little Prayer 5:27
  12. B5 Beat Dat (Freestyle Scratch Mix) 3:41

動画プレイリスト

公開: 2026年11月

このアーティストについて

Bomb The Bass

Bomb The Bass

Bomb The Bass(ボム・ザ・ベース)は、イギリス・ロンドン出身のDJ/音楽プロデューサーであるティム・シメノン(Tim Simenon)を中心とするエレクト...

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