Dolly Parton - Jolene (1974)
Dolly Parton 1974

Dolly Parton - Jolene (1974)

Folk, World, & Country Country

Dolly Parton『Jolene』(1974) レコード紹介

ドリー・パートンの『Jolene』は、1974年にRCA Victorから発表された13作目のソロ・スタジオ・アルバムで、彼女の名前をポップ/カントリーの両方に広く浸透させた重要作だ。録音はテネシー州ナッシュビルのRCA「Nashville Sound」スタジオ。ナッシュビル・カントリーの王道を押さえながら、曲ごとの輪郭がはっきりしていて、歌声の芯の強さが前に出る作りになっている。

この1974年オリジナル盤は、RCA VictorのUS盤として出たもの。盤面のレーベルやクレジットにも、当時のRCA Victorらしい実用的な整理が見える。A面・B面の構成も含めて、アルバム全体がドリーのソングライターとしての力量と、歌い手としての表現力をそのまま記録した一枚だ。

表題曲「Jolene」の存在感

このアルバムを語るうえで、やはり表題曲「Jolene」は外せない。ビルボードのHot Country Songsで1位を記録し、ドリーにとって初のBillboard Hot 100入りも果たした代表曲である。曲の骨格はシンプルだが、語り口は切迫していて、嫉妬や不安を直接的に描きながらも、歌としての推進力が落ちない。リフレインの反復が強く、同じ言葉を繰り返すたびに感情が少しずつ増していく構造。

実際に聴くと、伴奏の派手さよりも、ドリーの声の置き方が印象に残る。語尾を少し引っ張る箇所、言葉を置く間の取り方、相手に訴えかけるような発声。こうした細部が、曲を単なる失恋歌ではなく、ひとつの緊張した場面として成立させている。

なお「Jolene」の着想については、ドリー自身が複数の実在人物を組み合わせたと語っている。夫カール・ディーンに親しげに接したナッシュビルの銀行員の女性、そしてコンサートで出会った赤毛で緑の瞳の少女ファン。このエピソードは、曲の人物像に具体性を与えている。

B面の「I Will Always Love You」

本作の価値をさらに高めているのが、B面収録の「I Will Always Love You」だ。これは、長年共演したポーター・ワゴナーの番組から離れ、ソロへ進む決意を伝えるために書かれた曲として知られる。別れの挨拶をそのまま歌にしたような内容で、感情の置き方が非常に明確。ワゴナーが「お前が書いた中で一番の曲だ」と評したという話も、この曲の位置づけをよく示している。

後年、1992年にホイットニー・ヒューストンがカバーして世界的ヒットになったことで、楽曲の知名度はさらに広がった。ただ、この1974年盤で聴くと、まだアレンジも歌い方もドリー本人の文脈にしっかり結びついている。派手な大作というより、言葉の強さで持っていくタイプの楽曲。

アルバムとしての位置づけ

『Jolene』は、ドリー・パートンがRCA Victor移籍後に築いたソロ・キャリアの中でも、ひとつの節目にあたる作品だ。1968年以降、彼女はRCA Victorで多くのシングルを重ねてきたが、このアルバムではヒット曲とアルバム・アーティストとしての輪郭がきれいに重なる。チャートで結果を出した曲が、そのまま作品全体の印象を決めていないところも重要で、アルバム単位で聴いても曲順の流れが自然だ。

同時代のナッシュビル・カントリーの中でも、ドリーの書く歌は物語性がはっきりしている。メロディの覚えやすさと、具体的な情景を持つ歌詞の組み合わせ。オーソドックスなカントリーの枠に収まりながら、ポップのリスナーにも届く作りで、後のシンガーソングライター系カントリーにもつながる要素が見える。

レーベルとオリジナル盤の見どころ

このUSオリジナルはRCA Victor APL1-0473。RCA Victorのオレンジ期のデザインに入る前の時代で、70年代前半のRCAらしいアルバムとしてまとまっている。オリジナル盤ならではのポイントは、当時の録音と流通の空気がそのまま残ること。後年の再発盤とは、ジャケット表記やレーベルの細部で違いが出ることもあるが、この1974年盤はまずオリジナルの時代感をそのまま持っている点が大きい。

『Jolene』は、ドリー・パートンを“カントリーの人気歌手”という枠に閉じ込めず、作家としての顔まで一気に見せた作品だ。代表曲「Jolene」と「I Will Always Love You」が同じアルバムに収まっている事実だけでも、この一枚の密度は十分に伝わる。

トラックリスト

  1. A1 Jolene 2:38
  2. A2 When Someone Wants To Leave 2:04
  3. A3 River Of Happiness 2:17
  4. A4 Early Morning Breeze 2:45
  5. A5 Highlight Of My Life 2:16
  6. B1 I Will Always Love You 2:53
  7. B2 Randy 1:53
  8. B3 Living On Memories Of You 2:42
  9. B4 Lonely Comin' Down 3:11
  10. B5 It Must Be You 1:48

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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