Fleetwood Mac - Mr. Wonderful (1968)
Fleetwood Mac『Mr. Wonderful』について
『Mr. Wonderful』は、Fleetwood Macが1968年にUKのBlue Horizonから出した2作目のスタジオ・アルバムである。録音は1968年4月、リリースは同年8月のUK盤。デビュー直後のバンドが、まだブルース・バンドとしての輪郭を強く保っていた時期の作品だ。
この時期のFleetwood Macは、ピーター・グリーン、ミック・フリートウッド、ジョン・マクヴィーを軸に、ジェレミー・スペンサーらを含む編成。のちに大きくポップ・ロックへ向かうバンドとは印象がかなり違い、ここでは英国のブルース・ロック、エレクトリック・ブルースの文脈が前面に出ている。
作品の位置づけ
同年のデビュー作に続く2枚目という位置で、初期Fleetwood Macのブルース志向をそのまま記録したアルバムとして見られることが多い。Blue Horizonは英国ブルース/R&Bを支えたレーベルで、Fleetwood Macにとっても原点のひとつにあたる。
この頃のバンドは、ジョン・メイオール・アンド・ザ・ブルースブレイカーズ周辺からつながる英国ブルースの流れの中にいる。ピーター・グリーンのギターは、同時代の英国ブルースの中でも比較されやすい要素で、激しさよりも音の置き方や間の取り方に耳が向くタイプの演奏である。
内容の特徴
『Mr. Wonderful』は、オリジナル曲だけでなくブルースのカバーも含む構成で、バンドが当時どの曲を自分たちの手触りに変えていたかが分かりやすい。曲ごとの演奏は、ソロを前に出すというより、リフ、リズム、ボーカルのやり取りで引っ張る場面が多い。
実際に聴くと、音像は派手に整えられているというより、スタジオでの生々しい一体感が残る。ギターのフレーズが前に出る場面でも、ベースとドラムが土台を崩さず、ブルース・バンドとしての基本形がはっきりしている印象だ。
同時代との関係
比較対象としては、同じ英国ブルースの流れにいるJohn Mayall周辺や、エレクトリック化したブルースを演奏していた当時の英国バンドが思い浮かぶ。Fleetwood Macの場合は、その中でもピーター・グリーンのメロディ感と、ミック・フリートウッド/ジョン・マクヴィーの堅いリズム隊が早い段階で目立っている。
のちのFleetwood Macが大きな商業的成功を収めることを考えると、『Mr. Wonderful』はかなり別の顔を見せる作品である。バンド名は同じでも、ここにあるのはアメリカ西海岸的な洗練ではなく、UKブルースの現場感に近いものだ。
代表曲について
このアルバムから一般的に広く知られる曲としては、ピーター・グリーン作の「Love That Burns」や「Rollin' Man」などが挙げられることが多い。いずれも、のちのヒット曲のような即効性より、演奏の流れの中で効いてくるタイプの楽曲だ。
補足
本作は後年、ボックスセットに拡張版が収録されている。初期Fleetwood Macのブルース期を追ううえでは、デビュー作と並べて聴かれることの多い一枚である。
UKブルースの1968年という時点を、そのままパッケージしたようなアルバム。Fleetwood Macという名前のイメージが後年変わっていくことを知っていると、なおさらこの時期の記録性が見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 Stop Messin' Round
- A2 I've Lost My Baby
- A3 Rollin' Man
- A4 Dust My Broom
- A5 Love That Burns
- A6 Doctor Brown
- B1 Need Your Love Tonight
- B2 If You Be My Baby
- B3 Evenin' Boogie
- B4 Lazy Poker Blues
- B5 Coming Home
- B6 Trying So Hard To Forget