Ideal - Ideal (1980)
Ideal 1980

Ideal - Ideal (1980)

Electronic Rock New Wave Post-Punk NDW

Ideal『Ideal』(1980年・ドイツ盤)

Idealのファースト・アルバム『Ideal』は、1980年にドイツで登場した作品だ。ベルリンで結成されたこのバンドは、ニュー・ウェイヴとNDW(Neue Deutsche Welle)の流れの中で一気に存在感を高めたグループで、このアルバムはその初期像をそのまま封じ込めた一枚になっている。パンクの勢いを引きずりながらも、シンセサイザーや整ったリズムを前面に出し、当時の西ドイツの新しいポップの空気を強く感じさせる内容だ。

ベルリン発のNDW、その初期の核

Idealは1980年春、アネッテ・フンペを中心に結成された。フンペはすでにNeonbabiesで活動しており、その並行作業としてErnst Deuker、Hans Behrendt、Frank-Jürgen KrügerらとIdealを立ち上げている。自主制作の7インチ「Wir steh'n auf Berlin」はすぐに話題になり、そこからクラウス・シュルツェ主宰のInnovative Communicationへとつながった。ベルリン・スクール系の電子音楽で知られるレーベルに、ニュー・ウェイヴ色の強いバンドが加わった構図はかなり特徴的で、当時のドイツの音楽シーンの広がりをそのまま示している。

本作は同年6月にIC Studioで録音され、Studio Panne/Paulsenでミックスされた。レーベル表記やクレジットからも、制作の輪郭がかなりはっきり見える。クラウス・シュルツェはレーベルの顔ではあるが、実制作の中心はクラウス・D・ミュラーが担っており、Idealの音像はその手で整えられている。

収録曲の中心は「Blaue Augen」

このアルバムを語るうえで外せないのが「Blaue Augen」だ。もともとNeonbabies時代にフンペが書いた曲を再構築したもので、結果的にIdeal最大のヒットになった。曲の骨格はシンプルだが、歌の運びとバンドの鳴りが前に出ることで、かなり強い印象を残す。Idealの代表曲として定着したのも自然な流れに見える。

ほかにも、当時の西ドイツのニュー・ウェイヴらしい、短く切れのある楽曲が並ぶ。演奏はラフさを残しつつ、録音は比較的整理されていて、パンク寄りの衝動とポップな構成が同居している。聴感上は、ベルリンの街の空気をそのまま持ち込んだような近さがある。英米のニュー・ウェイヴと比べると、より生活の匂いが濃い。

45回転LPとしての初出盤

このオリジナル盤は45回転仕様でプレスされている。通常のLPより音質面で有利とされる方式で、当時のICが採った「より良い音」を意識した方針の一例でもある。ジャケット表記ではStereo、ラベル表記でも℗ 1980 -IC-。Made in Germany、Distribution: Deutsche Austrophon GmbH, Diepholzと記され、80年当時のドイツ国内流通のかたちが見える。

同年のドイツ盤として見ると、IdeaIの初期像をそのまま刻んだ一次資料的な存在だ。後年の再発盤とは区別して扱いたい一枚で、オリジナルの初期プレスならではの空気を持つ。

ドイツ・ニュー・ウェイヴの中での位置

Idealは、NenaやXmal Deutschlandのような後続のドイツ・ポップ/ニュー・ウェイヴ勢と並べて語られることが多いが、立ち位置はかなり早い。まだNDWが大きな流行になる前、ベルリンの地場から出てきたバンドとして、シーンの土台に近いところにいた。しかも本作はインディーズ・リリースとしてドイツで初めてゴールドディスクを獲得したアルバムでもある。チャートでも3位を記録しており、地下的な新しさと商業的な成功が同時に起きた例として重要だ。

その後のIdealは1983年の『Bi Nuu』まで活動を続け、賛否の反応やツアー中止を経て解散するが、アネッテ・フンペはその後もプロデューサー/ソングライターとして長く活躍する。Nena、Rio Reiser、Udo Lindenberg、Die Prinzen、さらにIch+Ichでの成功まで含めると、このファースト・アルバムは彼女の出発点としても重みがある。

まとめ

『Ideal』は、1980年のベルリンで生まれたニュー・ウェイヴの空気を、かなり早い段階で形にしたアルバムだ。クラウス・シュルツェのICから出たこと、45回転LPであること、そして「Blaue Augen」が後に代表曲として残ったことまで含めて、作品の輪郭は明確。NDWの初期を知るうえで、外せない一枚として記録されている。

トラックリスト

  1. A1 Berlin 3:09
  2. A2 Irre 3:54
  3. A3 Telepathie 5:27
  4. A4 Blaue Augen 3:27
  5. A5 Hundsgemein 2:14
  6. B1 Luxus 4:03
  7. B2 Rote Liebe 2:36
  8. B3 Da Leg Ich Mich Doch Lieber Hin 4:28
  9. B4 Telephon 3:24
  10. B5 Roter Rolls Royce 3:15

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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