Grauzone - Grauzone (1981)
Grauzone 1981

Grauzone - Grauzone (1981)

Electronic Rock Pop New Wave Synth-pop Minimal NDW

Grauzone『Grauzone』(1981)

スイス・ベルンで結成されたニュー・ドイツ・ヴェレ/ポストパンク・バンド、Grauzoneが残した唯一のスタジオ・アルバムが、この『Grauzone』である。1981年作の本盤は、同年にリリースされたオリジナル盤で、バンドの短い活動期間をそのまま封じ込めた作品として位置づけられる。一般には「Eisbär」の印象が強いが、アルバム全体を通すと、シングルで知られる面だけでは収まらない、もっと不規則で、もっと内向きな質感が見えてくる。

バンドの輪郭と作品の位置づけ

Grauzoneは1980年にベルンで結成され、1982年には解散している。中心人物はMarco Repetto、Stephan Eicher、Martin Eicherらで、メンバーにはAngela Schleitzer、Claudine Chirac、Christian Trüssel、Ingrid Berneyも名を連ねる。元々はスイスのパンク周辺から出てきた流れを持ちつつ、そこからニュー・ウェイヴ、ミニマル、電子音楽へと接近していったバンドで、当時のドイツ語圏のシーンにおいても少し独特な立ち位置にあった。

このアルバムは、商業的な成功よりも先に、バンドの姿勢そのものを示した作品でもある。彼らはヒット曲「Eisbär」で広く知られるようになった一方で、ライブ本数を絞り、同曲の演奏も避けるなど、一般的なバンド像とは違う動きを見せていた。結果として、アルバム『Grauzone』は「ヒット曲を持つバンドのデビュー作」というより、短命なバンドが自分たちの感覚をそのまま記録した一枚として読まれやすい。

収録曲とサウンド

本作は、シンセポップやニュー・ウェイヴの枠に収まりつつ、冷たい電子音だけで押し切るタイプではない。パンク由来の緊張感、ミニマルな反復、ロックの手触りが同居している。録音はスイスのKirchbergにあるSunrise Studiosで1981年7月から8月にかけて行われ、ライナーにもその日程が明記されている。音のまとまりはありつつ、整いすぎていないところが残っていて、そこが作品の輪郭になっている。

代表曲としては、やはり「Eisbär」と「Film 2」が挙げられる。「Eisbär」はのちにシングルとしても広く知られ、オーストリアやドイツでチャート入りしたことで、Grauzoneの名を大きく押し上げた。アルバム内では、その曲だけが突出しているというより、周囲の曲と並ぶことで、バンドが持っていた硬いリズム感や無機質な響きがよりはっきりする。タイトル曲「Grauzone」も含め、全体としては言葉数を抑えた曲が多く、音の隙間が目立つ構成になっている。

制作と盤面の情報

この盤はEuropeリリースで、レーベルはWelt-Rekord(1C 064-46 500)。内袋には歌詞とクレジットが印刷されており、アナログ作品としてのまとまりが意識されている。録音・ミックスは1981年7月6日から12日、8月1日から6日にかけて行われ、A4ではスタジオ所有者のEtienne Conodがピアノを担当している。ライナーには「Stuhl des Leibhaftigen」が「悪魔の椅子」を指すと説明されており、曲名や言葉の選び方にも、単純なポップ・ソングとは違う感触がある。

また、Welt-Rekordというレーベル自体も、当時の独立色を感じさせる存在で、のちにEMIへ移る経緯があることでも知られる。こうした背景も含めて見ると、『Grauzone』はメジャー市場に完全に回収される前の、独語圏ニュー・ウェイヴの一断面として残っている。

同時代との関係

比較の軸としては、ドイツのNDW周辺、あるいはより広い意味でのポストパンク、コールド・ウェイヴが思い浮かぶ。とはいえGrauzoneは、単に冷淡なシンセを並べるだけのバンドではなく、ライブでロックンロールやイタリア歌曲、Velvet Underground、Righteous Brothersのカバーも演奏していたという背景がある。そのため、アルバムにもジャンルの棚にきれいに収まらない混ざり方が出ている。後年の再評価で、ニュー・ウェイヴやコールド・ウェイヴの重要作として挙げられることが多いのも、そのあたりの単純さのなさに理由があるのだろう。

短い活動期間、シングル「Eisbär」の独り立ちした知名度、そして唯一のスタジオ・アルバムという条件が重なったことで、『Grauzone』はディスコグラフィーの中でも特別な位置にある。バンドの全体像を見たいときに最初に触れられる作品でありながら、聴き進めるほどに、ヒット曲だけでは説明しきれない性格が見えてくる一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Film 2 3:35
  2. A2 Schlachtet! 3:20
  3. A3 Hinter Den Bergen 2:27
  4. A4 Maikäfer Flieg 4:00
  5. A5 Marmelade Und Himbeereis 3:18
  6. B1 Wütendes Glas 3:21
  7. B2 Kälte Kriecht 3:19
  8. B3 Kunstgewerbe 1:05
  9. B4 Der Weg Zu Zweit 3:23
  10. B5 In Der Nacht 4:53

動画プレイリスト

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