Javier Solís - Sus Grandes Grandes Hits (1978)
Javier Solís『Sus Grandes Grandes Hits』について
Javier Solísの『Sus Grandes Grandes Hits』は、メキシコのCBSから1978年に出たベスト盤である。タイトルが示す通り、本人の代表曲を大きくまとめた編集盤で、ボレロとランチェラのあいだを行き来する彼の持ち味が、短い尺の中にきれいに収められている。オリジナルの録音は1958年から1965年にかけてのものが中心で、60年代のJavier Solísの主要レパートリーを後年に再整理した内容になっている。
Javier Solísという歌手の位置
Javier Solísは、メキシコ歌謡を語るうえで外せない歌手のひとりである。ボレロの情感とランチェラの骨太さをつなぐ歌い方で知られ、映画俳優としても活動した。Gabriel Siria Levarioとして生まれ、1950年代に録音活動を始め、1957年ごろからメキシコ国内外で広く知られるようになった。1960年代前半には、すでに大きな人気を持つ存在で、彼の歌はラジオ、映画、レコードの各方面で流通していた。
この盤が1978年に出ている点も重要で、Javier Solísの没後に、改めて代表曲をまとめ直した商品として見えてくる。本人の活動期をそのまま記録したアルバムではなく、後年の聴き手に向けて、主要曲をひとまとめにした構成である。
収録内容の印象
収録曲としては、「Sombras」「El Loco」「Entrega Total」「Llorarás, Llorarás」「Payaso」などが確認できる。いずれもJavier Solísの名を広く知らしめた曲群で、歌の中心はあくまで声にある。伴奏は過度に飾り立てず、旋律と歌詞の輪郭を前へ出す作りで、ボレロの定番的な流れを保ちながら、ランチェラの強さも残している。
「Llorarás, Llorarás」のような初期の成功曲から、「Entrega Total」のように情念の強い楽曲まで並ぶことで、単なる寄せ集めではなく、彼の歌の幅が見えやすい。11曲前後、演奏時間は32分ほどのまとまりで、長大なアルバムというより、代表曲を手早く確認できる編集盤の性格が強い。
1978年盤としての意味
1978年のメキシコCBS盤という点では、70年代後半の再編集ベストとしての役割がはっきりしている。Javier Solísの録音は1960年代に集中しているため、このLPは新録音の作品ではなく、既発ヒットを再構成したカタログ盤の側面が強い。オリジナルの制作時期と盤の発売時期が離れているぶん、当時の人気曲を新しい世代に届ける用途が大きかったはずだ。
メキシコのCBSは、ラテン系カタログの再流通において重要なレーベルで、こうした編集盤は当時の市場でよく見られた形式である。Javier Solísのように早くに亡くなった歌手の場合、代表曲をまとめたLPは、その後の世代が入口にしやすい形でもあった。
同時代とのつながり
Javier Solísは、同時代のメキシコ歌謡の中でも、感情表現の濃さと歌の直進性で存在感を持っていた。ボレロの系譜にありながら、ランチェラの語り口も強く、Pedro InfanteやLucha Villa、Antonio Aguilar、Lola Beltránといったメキシコの歌と映画のスターたちと並べて語られることが多い。彼の歌は、のちのラテン歌謡やメキシコの大衆歌唱にとって、ひとつの基準になった。
この『Sus Grandes Grandes Hits』は、その基準となる曲を1978年時点のCBS盤としてまとめた一枚である。作品単体で新しい表現を打ち出すタイプではないが、Javier Solísの代表曲がどのあたりに置かれているかを確認するには分かりやすい内容で、彼の歌の核をそのまま示す編集盤になっている。
トラックリスト
- A1 Sombras
- A2 El Loco
- A3 Entrega Total
- A4 Las Rejas No Matan
- A5 Payaso
- A6 Carabela
- B1 Llorarás, Llorarás
- B2 Amigo Organillero
- B3 Adelante
- B4 Cuatro Cirios
- B5 Renunciación