Mötley Crüe - Shout At The Devil (1983)
Mötley Crüe 1983

Mötley Crüe - Shout At The Devil (1983)

Rock Hard Rock Heavy Metal

Mötley Crüe『Shout At The Devil』(1983) レコード紹介

Mötley Crüeの『Shout At The Devil』は、1983年に発表された2作目のスタジオ・アルバムである。ロサンゼルス出身のバンドが、ローカルなハードロック・シーンから全米規模へと存在感を広げていく過程で、ひとつの転機になった作品として知られている。前作で見せた勢いを保ちながら、演奏と曲作りの輪郭をよりはっきりさせた一枚で、80年代のヘヴィメタル/グラムメタルの流れを語るうえで外せないタイトルだ。

本作はチェロキー・スタジオで録音・ミックスされており、プロダクション面でも当時のLAメタルらしい乾いた質感と、リフ中心の分かりやすさが前に出ている。実際に聴くと、音数を詰め込むよりも、ギターの刻みとリズム隊の押し出しで引っ張る構成が目立つ。ヴォーカルも含めて各パートの役割が明確で、派手さだけでなく、曲の進行がきちんと整理されている印象がある。

アルバムの位置づけ

『Shout At The Devil』は、Mötley Crüeにとって出世作にあたる作品である。全米アルバム・チャートでは最高17位を記録し、のちに4xプラチナ認定も受けている。バンド名を広く知らしめたのはこの時期で、単なる“危なっかしい若手バンド”という見られ方から、商業的にも結果を出す存在へ移っていった流れが見える。

80年代前半のアメリカでは、Quiet RiotやRatt、Dokkenといったバンドが同時期に注目を集めていたが、Mötley Crüeはその中でも特に攻撃的なイメージが強い。とはいえ、音だけを取り出すと雑然としているわけではなく、むしろメジャー感のある押し出しと、ライブ映えするシンプルな構成が両立している。後のヘヴィメタル/ハードロックの商業的な型を考えると、本作の存在感はかなり大きい。

代表曲と収録曲のポイント

代表曲としてまず挙がるのは「Looks That Kill」だろう。シングルとしても知られ、アルバムの中でも特にリフの輪郭がはっきりしている。続く「Too Young to Fall in Love」も、メロディの分かりやすさと硬質な演奏のバランスがよく、当時のハードロック・バンドがラジオ向けの入口を作っていく流れを感じさせる。

また、タイトル曲「Shout at the Devil」は、バンドのイメージを決定づけた楽曲として扱われることが多い。コーラスの反復、リズムの強さ、言葉の勢いが前面に出ていて、アルバム全体の方向性を端的に示している。派手な装飾よりも、フックをどこに置くかが明快な曲作りである。

収録曲「Helter Skelter」はビートルズのカバーで、オリジナルとは別の荒さと速度感を持たせている。原曲の持つ不穏さを、80年代メタルの文脈に置き換えたような仕上がりで、Mötley Crüeが当時のハードロックの枠内で何を誇張し、何を引き継いだのかが見えやすい一曲でもある。

レコード盤としての特徴

今回のUS盤はElektraの1983年リリースで、レーベル表記は9 E1-60289。E1表記はColumbia Houseのレコードクラブ盤を示すもので、一般流通盤とは細かな仕様が異なる可能性がある。Elektraのラベルも1983年仕様で、ニューヨークとロサンゼルスの住所を併記したクレジットが使われている時期にあたる。80年代のElektraらしい赤黒レーベルの系譜に属し、70年代のバタフライ・ラベルとは見た目が大きく異なる。

のちの再発ではボーナス・デモ音源を加えた1999年盤が存在するが、オリジナルの1983年盤は、当時の空気をそのまま抱えた基本形として見てよいだろう。曲順、音像、ジャケットの印象を含めて、バンドが勢いのままに全米へ踏み込んでいく瞬間の記録になっている。

時代背景と受け止められ方

『Shout At The Devil』が出た1983年は、ハードロックとヘヴィメタルの商業化が一気に進んだ時期でもある。イギリス勢の重厚なメタルとは別に、アメリカ西海岸では見た目の華やかさとフック重視の曲作りが結びつき、Mötley Crüeはその象徴のひとつになった。後年のバンドやシーンに与えた影響を考えると、サウンド面だけでなく、イメージ戦略まで含めて参照された作品だったと言えそうだ。

総じて『Shout At The Devil』は、Mötley Crüeの初期キャリアを代表する一枚であり、80年代LAメタルの輪郭をはっきり示したアルバムである。楽曲のまとまり、シングルの強さ、そして時代に合った録音と見せ方。その三つがきれいにそろった作品として記憶されている。

トラックリスト

  1. A1 In The Beginning / Shout At The Devil 1:13
  2. A2 Looks That Kill 3:16
  3. A3 Bastard 4:07
  4. A4 Knock 'Em Dead, Kid 2:54
  5. A5 Danger 1:33
  6. B1 Too Young To Fall In Love 3:09
  7. B2 Helter Skelter 2:20
  8. B3 Red Hot 3:34
  9. B4 Ten Seconds 'Till Love 3:40
  10. B5 God Bless The Children Of The Beast 4:17

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