Red Hot Chili Peppers - Californication (1999)
Red Hot Chili Peppers『Californication』
Red Hot Chili Peppersの7作目のスタジオ・アルバム『Californication』は、1999年6月8日にWarner Bros.から発売された。前作『One Hot Minute』からの流れを受けつつ、ジョン・フルシアンテの復帰を軸に制作が進んだ作品である。このヨーロッパ盤はドイツ製で、センター・レーベルのプレス・リングの特徴から、1999年の初回プレスより後のプレスとみられている。
制作背景・エピソード
制作の出発点は、ギタリストのジョン・フルシアンテのバンド復帰だった。『Blood Sugar Sex Magik』の成功後、名声への圧迫や薬物依存の問題を抱えたフルシアンテは一度脱退し、その後リハビリを経て1998年に復帰する。脱退後のフルシアンテはヘロインとコカインの依存症で困窮し、死の淵まで行ったが、友人たちの説得でリハビリ施設に入った。後任のデイヴ・ナヴァロとの『One Hot Minute』(1995)は前作に及ばず、ナヴァロは1998年初めにバンドを去っている。フルシアンテの復帰はフリーの強い希望によるもので、本人はリハビリの中で名声について考え直し、「スターであることは悪いものだと思い込むようになっていた」とRolling Stoneに語っている。アンソニー・キーディスは、復帰後の彼が仲間との演奏に慣れ直すなかで、ミニマルなギター・アプローチを取っていたと語っている。
当初フリーは、U2の『Zooropa』のようなエレクトロニックな方向を提案したが、デヴィッド・ボウイを含むエレクトロニック系のプロデューサーたちに次々と断られ、バンドはルーツに立ち返るオルタナティヴ・ロックへ向かった。作曲の多くは1998年夏、フリーのガレージに作った簡易スタジオで進められた。キーディスは「気にしていなかった。音楽のために音楽を作っていた」と当時の空気を語っている。30〜40曲が書かれ、そのうち15曲に絞られたという。9月にはダニエル・ラノワのスタジオEl Teatroでリハーサルとデモ録音が行われ、のちに「Teatro Sessions」と呼ばれる音源は2014年に流出した。
録音は1998年12月から1999年3月までロサンゼルスで行われ、プロデュースは再びリック・ルービン。キーディスは当初「そろそろ新しいプロデューサーにする時期かもしれない」と迷ったという。録音開始から1週間ほどでバンドは出来に満足できず、エンジニアをJim Scottに交代している。ルービンとScottは乾いてパンチのある音を狙い、ほとんどをモノラルでミックスした。演奏は、フリーがベースとアコースティック・ベースを担当し、フルシアンテがエレクトリック・ギターとアコースティック・ギター、キーボード、コーラスを担い、キーディスがボーカルとオーバーダブのバック・ボーカル、チャド・スミスがドラムとパーカッションを担当した。
表題曲「Californication」は完成が最も難しかった曲で、一度は収録を見送る案も出たが、キーディスが強く収録を求めた。フルシアンテは録音の2日前に最後のリフを仕上げたという。「Around the World」はフルシアンテが自宅で組み立てた曲で、彼によればベース・リックは「15分くらい」でできた。「Porcelain」は、キーディスがYMCAで出会ったヘロイン依存の若いシングルマザーが着想のきっかけになった。「Otherside」は、1988年にヘロインの過剰摂取で亡くなった元メンバー、ヒレル・スロヴァクについてキーディスが書いた、依存症と過去との闘いの歌である。
時代の文脈
宣伝では、バンドのウェブサイトで毎日曲を配信し、フリーがネット上に「Fleamail」を投稿するなど、インターネットを使った。コロンバイン高校銃乱射事件を受けた「Stop The Hate」をテーマに、高校のプロムでも演奏した。1999年夏にはウッドストック'99のトリを務め、8月14日にはモスクワの赤の広場で20万人以上を集めた無料公演も行った。
この時期のバンドにとって『Californication』は、評価の分かれた『One Hot Minute』の後に存在感を立て直す作品となった。全米Billboard 200では3位、英チャートでは5位を記録し、世界的にも大きなヒットになっている。特に「Scar Tissue」はHot 100で9位、モダン・ロック・チャートで16週連続1位を獲得し、2000年のグラミー賞最優秀ロック・ソングを受賞した。「Otherside」もHot 100で14位、モダン・ロック・チャートで13週連続1位となった。
サウンド面では、発売当初から過度な音圧とひずみが指摘され、のちに「ラウドネス・ウォー」の典型例として扱われるようになった。Greg Milnerは『Perfecting Sound Forever』で、本作がネット上のマスタリング愛好家の間で最も嘲笑されたアルバムの一つになり、リマスターを求める署名運動まで起きたと書いている。一方で、Rolling StoneのGreg Tateは「精神的で啓示的」と評し、キーディスの歌が大きく向上したと書いている。AllMusicは「正真正銘のチリ・ペッパーズの名盤」と呼んだ。NMEは6/10を付け、「脳みそ空っぽで半裸のファンク・ホップ・ロックの野獣たちを返してくれないか」と皮肉った。「Scar Tissue」では、フルシアンテが間隔の離れた2音でリズムを刻み、ソロはスライド・ギターで弾いている。このソロはGuitar World誌の「最も偉大なギター・ソロ100」で63位に選ばれた。
後世への影響
『Californication』は、全世界で1700万枚超を売り上げ、2019年時点でバンド最大のヒット作とされる。Rolling Stoneの「史上最高のアルバム500」では2020年版で286位に入り、『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』にも選ばれた。タイトル曲のビデオは架空のオープンワールド・ゲームの形をとり、2022年にはバンドのYouTube動画として初めて10億回再生を超えた。同年、その映像を元にしたファン・メイドのゲームも制作されている。「Otherside」は2009年にMacklemore & Ryan Lewisがサンプリングした。
トラックリスト
- A1 Around The World 3:58
- A2 Parallel Universe 4:30
- A3 Scar Tissue 3:37
- A4 Otherside 4:16
- B1 Get On Top 3:17
- B2 Californication 5:21
- B3 Easily 3:51
- C1 Porcelain 2:44
- C2 Emit Remmus 4:00
- C3 I Like Dirt 2:38
- C4 This Velvet Glove 3:45
- D1 Savior 4:52
- D2 Purple Stain 4:13
- D3 Right On Time 1:52
- D4 Road Trippin' 3:25
動画プレイリスト
このアーティストについて
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers、通称レッチリ)は、1983年にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで結成されたロック...
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