Slowdive - Souvlaki (1993)
Slowdive 1993

Slowdive - Souvlaki (1993)

Rock Indie Rock Shoegaze Dream Pop

Slowdive『Souvlaki』(1993)

Slowdiveの『Souvlaki』は、1993年にUKのCreation Recordsから出た2作目のアルバム。シューゲイザー、ドリーム・ポップ、インディー・ロックの文脈で語られる作品で、バンドの代表作として扱われることが多い。Slowdiveは1989年にイングランドのレディングで結成され、Neil Halstead、Rachel Goswell、Christian Savill、Nick Chaplin、Simon Scottを中心に活動していたバンドだが、このアルバムはその初期の集大成にあたる内容になっている。

制作背景と作品の立ち位置

『Souvlaki』は、制作過程がかなり曲者だった作品として知られている。1992年初頭のヨーロッパ・ツアー中に多くの曲を書きためたものの、最初の素材はCreation Recordsのアラン・マッギーの意向で方向修正を迫られた。結果として、バンドはより内省的で、音の層を重ねた方向へ進んでいく。Neil Halsteadはこの時期、アンビエントやダブ、Aphex Twinのような当時の電子音楽にも関心を寄せていたという流れがあり、その空気はアルバム全体にうっすら残っている。

また、Brian Enoが制作に関わった点も重要だ。セッションは数日間にわたり、Enoは「Sing」の共作クレジットを持ち、「Here She Comes」ではキーボードも担当している。Slowdiveの音像が、単なる轟音ギターの重なりだけでなく、空間の広がりや音の余韻を重視する方向へ開いていく、その要所にEnoの存在がある。

収録曲と聴きどころ

収録曲の中では、「Alison」と「When the Sun Hits」が今でもよく名前の挙がる楽曲だ。特に「Alison」は、バンドの持つ甘い旋律感と、輪郭のぼやけたギターの層がきれいに噛み合った曲で、アルバムの入口としても機能している。「When the Sun Hits」は、音の密度を上げながらもメロディを前に出す構成で、Slowdiveの代表曲として扱われることが多い。

「Machine Gun」や「Sing」では、リズムの反復と音の揺れが強く出ていて、初期のシューゲイザーらしいギターの壁がありつつも、単純に厚いだけでは終わらない。曲によっては輪郭がかなり曖昧で、歌が前に出たり、逆に音の層に沈んだりする。その揺れ方がこの作品の特徴になっている。終盤の「Dagger」は、かなり私的な空気を持つ曲で、アルバムの中でも温度が少し変わる。Neil Halsteadがウェールズの田舎で書き足した曲のひとつで、この作品の内向きな側面をよく示している。

録音とパッケージ

レコードのクレジットを見ると、録音場所が複数に分かれている。Protocol Studios、The Courtyard Studio、White House Studioと、曲ごとにスタジオが違うため、アルバム全体に単一の空気が流れている一方で、細かな質感には差がある。盤は印刷されたカード・インナー・スリーブ付きで、上部が開いた仕様、さらにダイカットの切り欠きがある。インナーにはトラックリストとクレジットが記載されている。

今回のUK盤はCreation Recordsのオリジナル・リリースで、レーベル番号はcrelp 139。Pinnacle流通、Made in England表記。曲の長さは盤面には記載されていない。

当時の評価とその後

1993年6月1日のリリース当時、評価はかなり厳しかった。グランジの終盤とブリットポップ台頭のあいだに位置していた時期で、音楽誌の反応も冷ややかだった。UKアルバムチャートでは51位、インディーチャートでは3位という結果に終わっている。特に「Sing」以外を酷評したレビューが残っていて、当時の空気の厳しさがうかがえる。

ただ、その後の再評価は大きい。2010年代以降、シューゲイザー再評価の流れの中で『Souvlaki』はSlowdiveの中心作として定着し、ジャンルを語るときに外せないアルバムになった。My Bloody ValentineやRide、Lushと並べて語られることも多いが、この作品はその中でも、轟音の勢いだけで押すのではなく、沈んだ感情や長い余韻をそのまま音にしたところが際立つ。後年のドリーム・ポップやアンビエント寄りのオルタナティブ・ロックにも、少なからず影響を残した一枚として見られている。

まとめ

『Souvlaki』は、Slowdiveの初期を代表するだけでなく、90年代初頭の英国オルタナティブ・ロックの中で、音の密度と感情の距離感を独特のやり方で結びつけたアルバム。リリース当時は評価が割れたが、今では「当時の空気に合わなかった作品」が時間を経て定番になった例としても重要だ。ギターの層、歌の位置、余白の作り方、そのどれもがこのバンドらしいまとまりを持っている。

トラックリスト

  1. A1 Alison 3:52
  2. A2 Machine Gun 4:28
  3. A3 40 Days 3:17
  4. A4 Sing 4:50
  5. A5 Here She Comes 2:19
  6. B1 Souvlaki Space Station 5:59
  7. B2 When The Sun Hits 4:48
  8. B3 Altogether 3:43
  9. B4 Melon Yellow 3:54
  10. B5 Dagger 3:33

動画プレイリスト

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