Supersister - Present From Nancy (1970)
Supersister『Present From Nancy』について
オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、Supersisterが1970年に発表した『Present From Nancy』は、初期70年代のヨーロッパ・プログレを語るうえで外せない1枚だ。ジャズ寄りのフレーズ、組曲的な展開、ひねりの効いたアレンジを持ちながら、演奏は意外なほど軽快で、重厚一辺倒ではない。Supersisterは1960年代後半に活動を始め、のちにバンド名を定着させたオランダ勢で、英米の有名グループとは少し違う角度からプログレの語法を組み立てていった存在として知られる。
この作品は、彼らの初期キャリアの中でも重要な位置にあるアルバムで、バンドの個性がかなり明確に表れている。いわゆる大仰なシンフォニック路線というより、曲の切り替えやリズムの置き方、管楽器的な響きの扱いに特徴がある。クレジットにはElton DeanやCharlie Marianoの名も見え、当時のジャズ/ロック接続の空気がこの作品にも流れ込んでいることがうかがえる。
制作背景と盤の情報
このオランダ盤はPolydor(2419 061)から出ており、ジャケットはシングルスリーブ、内袋にはプリント入りの仕様。録音はPhonogram Studio'sの8トラック環境で、1970年7月から8月にかけて行われたとされている。LPとしての仕上がりは、当時のスタジオ録音らしく音の輪郭が比較的はっきりしていて、各パートの動きが追いやすい印象だ。制作ノートには、カバー写真の背景について「dutch army」によるものだという記述もあり、アルバム周辺の細かな情報まで含めて時代感が出ている。
収録曲の中では、内袋でB1が“Co-operating Comboboys”と表記されている点も興味深い。曲名表記の揺れはあるものの、アルバム全体の流れを損なうものではなく、むしろ当時のアートワークや制作物の手作り感を感じさせる要素になっている。なお、ここで扱っているのは1970年のオリジナル作品で、盤のリリース年ではなく作品そのものの年として見るのが自然だ。
音の印象とアルバムの立ち位置
実際に聴くと、まず耳に入るのは曲の展開の多さだ。ひとつのリフやメロディを長く引っ張るのではなく、短いモチーフを何度も切り替えながら進む構成が目立つ。そこにオルガン、ベース、ドラムの推進力が重なり、時にジャズ・ロック的、時に室内楽的な整理のされ方を見せる。英語圏のプログレと比べると、よりユーモラスで、少し風変わりな運びがあるのがSupersisterらしさだろう。
同時代の文脈で言えば、King CrimsonやSoft Machine、あるいはオランダの同世代バンドと並べて語られることが多いタイプの作品だ。ただし『Present From Nancy』は、単に技巧を並べるだけでなく、曲ごとの切り替えに独特の遊びがあり、ロックのフォーマットから少しはみ出した感触を残している。のちのSupersister作品へつながる入口としても、このアルバムはわかりやすい。
注目曲: B1 “Co-operating Comboboys”
この曲は、アルバムの中でも比較的タイトルの印象が強く残る1曲だ。表記上は“Co-operating Comboboys”とされ、内袋での記載がそのまま残っている点も含めて、作品の周辺情報として語られやすい。曲そのものは、軽いノリのフレーズを起点にしながら、途中で何度も表情を変えていくタイプで、Supersisterの「ふつうのロック曲に収まりきらない」感じがよく出ている。
演奏面では、リズムの組み替えと鍵盤の動きが聴きどころだ。派手に盛り上げるというより、細かいパーツが連鎖していくことで曲が前へ進む。プログレらしい複雑さはあるが、難解さだけを前面に出していないところがこのバンドの持ち味だと思う。
注目曲: アルバム全体の流れ
『Present From Nancy』は、単発の代表曲で押すというより、アルバム全体の構成で聴かせる作品として捉えたほうがしっくりくる。楽曲同士のつながりがよく、勢いのあるパートと抑えたパートが交互に現れるため、1枚通して聴いたときに一本の組曲のような印象も残る。そうした作り方は、同時期のプログレ作品の中でもかなりアルバム志向が強い部類だろう。
また、ジャズ由来のフレーズ感とロックの推進力が同居しているため、いわゆる「重いプログレ」よりも、動きのあるアンサンブルを好む人にとっては耳に残りやすいはずだ。Supersisterの初期像を知るうえで、この作品はかなり直接的な手がかりになる。
まとめ
『Present From Nancy』は、オランダのSupersisterが1970年に残した初期プログレの重要作だ。ジャズの要素、変則的な構成、ユーモラスな感触が同居し、英米中心のプログレ史の中でも少し違う場所に立っている。オリジナル盤としての情報も含め、当時のオランダ・ロックの空気を知るうえで見逃しにくいアルバムと言えそうだ。
トラックリスト
- Present From Nancy 8:02
- Memories Are New (Boomchick) 9:49
- B1 Corporation Combo Boys 1:22
- Metamorphosis 8:03
- B3 Dona Nobis Pacem 8:36
動画
-
Supersister ► She Was Naked [HQ Audio] Present From Nancy 1970
-
Supersister ► Corporation Combo Boys & Mexico [HQ Audio] Present From Nancy 1970
-
Supersister - Present from Nancy
-
Supersister - Introduction
-
11_8
-
Supersister - Present From Nancy (1970) FULL ALBUM
-
Memories Are New (Boomchick)