Bjørn Riis - A Fleeting Glimpse (2022)
Bjørn Riis『A Fleeting Glimpse』について
『A Fleeting Glimpse』は、ノルウェーのシンガー/ギタリスト/コンポーザー、Bjørn Riisが2022年に発表した作品で、Karisma Recordsからリリースされた。Bjørn Riisはノルウェーのクロスオーバー・プログレッシブ・ロック系の作り手として知られており、この作品もその延長線上にある1枚と見てよさそうだ。レーベルのKarisma Recordsはベルゲンを拠点に、70年代志向のロックやプログレッシブ・ロックを多く扱うことで知られる存在で、本作もそうした文脈の中で位置づけられている。
タイトルの印象どおり、長く引き伸ばした物語性や、細部まで組み立てた音の流れに意識が向いた作品だと受け取れる。Bjørn Riisはギターを軸にしながら歌と作曲も担うアーティストで、単なる技巧の誇示ではなく、楽曲そのものの推進力を保ったまま展開を重ねていくタイプ。2022年時点での彼のソロ作品としても、こうした作風がはっきり出ている。
作品の輪郭
ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rock。ここでのプログレッシブ・ロックは、派手な変拍子を前面に出すというより、曲の構成や展開、音色の選び方でじわじわと密度を上げていく方向に感じられる。70年代由来のロック感覚を下敷きにしつつ、現代の録音で輪郭を整えた作品として聴こえてくるはずだ。
ノルウェーという出自も、この手の音楽では重要な背景になりやすい。北欧のプログレは、英国勢の影響を受けながらも、湿度のあるメロディや端正なアレンジで独自性を出してきた流れがある。Bjørn Riisもその系譜に連なる存在として、比較対象には英国のクラシック・プログレ勢や、北欧のメロディ重視のプログレ・アクトが挙がることが多いタイプだろう。
聴きどころの整理
本作を聴くうえでまず注目したいのは、ギターの扱いだ。Bjørn Riisはギタリストとしての輪郭がはっきりしており、フレーズを前に押し出す場面と、曲の流れに溶け込ませる場面の切り替えが重要になる。ソロが単独で目立つというより、リフ、アルペジオ、音の余白を組み合わせて、曲全体の時間感覚を作っていく印象。
もうひとつは歌とメロディの関係。クロスオーバー・プログレというプロフィールどおり、インストゥルメンタルな技巧だけでなく、歌ものとしての流れが意識されているはずで、旋律の置き方が作品の印象をかなり左右している。プログレ・ロックにありがちな“展開の多さ”だけでなく、どの場面で歌が前に出るか、その後ろでバンドがどう支えるか、という設計が聴きどころになる。
この作品の位置づけ
Bjørn Riisにとって『A Fleeting Glimpse』は、2022年時点でのソロ表現を示すタイトルであり、彼の作曲家・ギタリストとしての現在地を確認できる作品といえる。Karisma Recordsからの発表という点も含め、ノルウェーのプログレ・シーンの中で、70年代志向のロックを現代的な音像へつなぐ役割を持った1枚として見えてくる。
作品全体としては、派手な話題性よりも、じっくり聴くほど構成の意図が見えてくるタイプ。Bjørn Riisの公式サイトやBandcamp、YouTube、Spotifyなどで活動を追えることからも、作品単体で終わらず、継続して音を更新しているアーティストであることがわかる。『A Fleeting Glimpse』も、その流れの中で丁寧に作られた2022年作として受け止めたい。
トラックリスト
- A1 Dark Shadows (Part 1) 6:47
- A2 A Voyage To The Sun 7:41
- B1 Summer Meadows 5:26
- B2 Dark Shadows (Part 2) 6:10
動画
- A Voyage to the Sun
- Dark Shadows (part 1) by Bjørn Riis, featuring Durga McBroom (Official Music Video)