The Jesus And Mary Chain - Psychocandy (1985)
The Jesus And Mary Chain 1985

The Jesus And Mary Chain - Psychocandy (1985)

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The Jesus and Mary Chain『Psychocandy』レビュー

The Jesus and Mary Chainの『Psychocandy』は、1985年に発表されたデビュー・アルバムである。スコットランド出身のジム・リードとウィリアム・リードを中心に結成されたこのバンドは、のちにシューゲイズやノイズ・ポップの重要な流れを語るうえで欠かせない存在になった。『Psychocandy』は、その出発点としてだけでなく、80年代半ばのオルタナティブ・ロックに強い印象を残した作品としても知られている。

ノイズとポップを同居させた初期の決定打

このアルバムの核は、ギター・フィードバックや雑音の層と、60年代的なポップの旋律や曲の骨格が同じ曲の中で並んでいる点にある。荒れた音像だけが前に出るのではなく、メロディははっきり残っている。実際に聴くと、音の壁が先に来る曲でも、歌の輪郭やフックが埋もれ切らない作りになっているのが分かる。粗さと整った構成が並立している、という印象が強い。

録音はロンドンのSouthern Studiosで、John Loderとともに約6週間かけて行われたとされる。見た目の勢いとは別に、音の置き方はかなり計算されている。ジム・リードが後年、騒音は偶然ではなくホワイトノイズやフィードバックを細かくミックスに組み込んだものだと語っている点も、この作品の性格をよく示している。激しいだけの記録ではなく、音響の組み立てが重要なアルバムである。

代表曲とアルバムの流れ

先行シングルとしては「Never Understand」「You Trip Me Up」「Just Like Honey」があり、いずれもこのアルバムを語る際によく挙がる曲である。特に「Just Like Honey」は、後年もバンドの代表曲として扱われることが多い。アルバム全体を通して聴くと、ノイズの強い曲と比較的メロディが前に出る曲が交互に置かれ、作品の輪郭が単調にならない。収録曲の並びにも、デビュー作らしい勢いと、アルバムとしてのまとまりが同時に見える。

なお、後年の再発ではボーナス・トラックとして「Some Candy Talking」が加えられた盤もあるが、オリジナルの1985年盤には含まれていない。オリジナル盤は曲間の情報量が比較的すっきりしていて、当時の作品としての張りつめた感じがそのまま残る。今回の盤はヨーロッパ・リリースの初回プレスで、光沢のあるピクチャー・スリーブと厚手の紙製インナー・スリーブ仕様。クレジットや写真を載せたインナーが付く、当時のLPらしい作りである。

80年代UKインディーの中での位置づけ

『Psychocandy』は、商業的な大ヒット作というより、後世への影響で評価が固まったタイプのアルバムである。UKアルバム・チャートでは最高31位を記録し、1985年11月30日付で初登場している。順位だけを見ると派手ではないが、ノイズとポップを結びつけた発想は、その後のシューゲイズやオルタナティブ・ロックに確実につながっていった。

同時代のインディー・ロックと比べても、この作品はかなり尖っている。パンクの直系というより、メロディの感覚を保ったまま音量と歪みを押し出していく作りで、のちのMy Bloody ValentineやRide、さらに広い意味では90年代以降のインディー・ロックにも接続していく流れが見える。The Jesus and Mary Chain自身にとっても、ここで確立された方法論がその後の活動の基盤になった。

ジャケットやラベル表記には複数のカタログ番号が見られ、裏ジャケット右上にはWarnerのロゴがエンボスで入る。こうした仕様も、1985年当時の欧州盤らしい要素として残っている。『Psychocandy』は、音の荒さとポップの明快さが同居したデビュー作として、今見てもアルバム単位での完成度が印象に残る作品である。

トラックリスト

  1. A1 Just Like Honey
  2. A2 The Living End
  3. A3 Taste The Floor
  4. A4 The Hardest Walk
  5. A5 Cut Dead
  6. A6 In A Hole
  7. A7 Taste Of Cindy
  8. B1 Never Understand
  9. B2 Inside Me
  10. B3 Sowing Seeds
  11. B4 My Little Underground
  12. B5 You Trip Me Up
  13. B6 Something's Wrong
  14. B7 It's So Hard

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