Traveling Wilburys - Volume One (1988)
Traveling Wilburys 1988

Traveling Wilburys - Volume One (1988)

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Traveling Wilburys『Volume One』について

Traveling Wilburysの『Volume One』は、1988年に登場したデビュー作で、Jeff Lynne、Bob Dylan、Roy Orbison、George Harrison、Tom Pettyという5人の名前を並べただけでも十分に強い存在感を持つ作品だ。UK盤としてはWilbury Recordsからリリースされており、1988年という時点でこの豪華な顔ぶれがひとつのバンドとしてまとまっていること自体が、かなり特別な出来事だったと言える。ソロの大物が寄り集まった企画盤という見方もできるが、実際には単なる寄せ集めではなく、曲調や歌い分けに統一感があるのがこのアルバムの面白さだ。

作品全体を通して聴くと、ロックを土台にしながら、フォーク、ポップ、クラシック・ロックの要素が自然に並んでいる。各メンバーの個性が前に出る場面は多いが、誰か一人が支配する感じではなく、グループ名義の作品として進んでいく。1980年代後半のリリースでありながら、音作りや曲の運びはもっと前の時代のロックの感触も持っていて、そこにこのバンドの出自らしさが表れている。

アルバムの位置づけ

この作品は、各メンバーのキャリアの中でもかなり特徴的な位置にある。George Harrisonにとってはビートルズ解散後の活動の延長線上にありつつ、Tom PettyやJeff Lynne、Bob Dylan、Roy Orbisonと肩を並べることで、ソロ作とは違う空気を作っている。とくにGeorge HarrisonとJeff Lynneの関係は、音の輪郭やアレンジにも反映されていて、後年の作品にもつながる流れが見える。Roy Orbisonの参加も大きく、彼の歌声が入ることで、このアルバムの印象はかなりはっきりしている。

当時のロックの文脈で見ると、スター同士が集まっただけの話ではなく、曲そのものの完成度で聴かせるアルバムとして成立している点が重要だ。1980年代後半は、ギター・ロックが以前ほど主流ではない時期でもあったが、この作品はその状況の中で、古いロックンロールの感覚を無理なく持ち込んでいる。比較対象としては、ソロ名義で活動していた各メンバーの作品群はもちろん、同時代のルーツ志向のロックや、メロディを大事にするポップ・ロックにもつながる。

注目曲「Handle with Care」

代表曲としてまず挙がるのが「Handle with Care」だろう。アルバムの入口に置かれたこの曲は、Traveling Wilburysという名前を最初に印象づける役割をしっかり果たしている。複数の声が順番に、あるいは重なるように出てきて、それぞれの歌い方の違いがそのまま曲の推進力になっているのがわかりやすい。Jeff Lynneの整ったプロダクション、Tom Pettyの軽快さ、George Harrisonの落ち着き、Bob Dylanの独特な歌い回し、Roy Orbisonの存在感が、ひとつの曲の中で自然に共存している。

演奏面でも、派手に作り込むより、歌とリズムの流れを優先している印象が強い。聴き進めるうちに、各メンバーが「自分の持ち味を出す」ことと「曲を前に進める」ことの両方を意識しているように感じられる。シングル向きのわかりやすさがありつつ、アルバムの冒頭でこの空気を提示することで、以降の曲にも同じチーム感が続いていく。

注目曲「End of the Line」

もうひとつ外せないのが「End of the Line」だ。アルバムの締めくくりとして置かれたこの曲は、肩の力が抜けた進行の中に、グループのまとまりがよく出ている。歌詞の内容も含めて、旅を続けるバンドのイメージが自然に重なり、タイトルの響き以上に、前向きな余韻を残す仕上がりになっている。

この曲では、個々の歌声が交代しながら進むことで、Traveling Wilburysという名前そのものが音になっているように聴こえる。アルバム全体を通しても、こうした「誰か一人の名演」ではなく、「複数人が同じ場所に立っている感じ」がよく出ていて、その点がこの作品の核にある。スター性を前面に出しながらも、バンドとしての楽しさをきちんと残しているところが、この曲では特に伝わりやすい。

音源と盤の印象

UK盤としての『Volume One』は、印刷された内袋に写真とクレジットが載っている仕様で、作品の雰囲気を補強している。こうした資料的な要素も含めて、単なる音源ではなく、ひとつの企画として丁寧に作られた印象を受ける。1988年のオリジナル作品として聴くと、当時の空気の中でこのメンバーが一緒に演奏する意味が見えてきて、単発の話題作以上のまとまりがある。

Traveling Wilburysの『Volume One』は、個人名の強さを持つ5人が、名前より先に曲を置いたアルバムだと言えそうだ。ヒット曲の入口としても、メンバーそれぞれのキャリアをつなぐ作品としても、さらに1980年代後半のロックの中でルーツ感を再確認させる一枚としても、位置づけははっきりしている。聴きどころがメンバーの数だけある、というより、その全員が同じ方向を向いたときのまとまりこそが、この作品のいちばんの特徴だろう。

トラックリスト

  1. A1 Handle With Care 3:20
  2. A2 Dirty World 3:30
  3. A3 Rattled 3:00
  4. A4 Last Night 3:48
  5. A5 Not Alone Any More 3:24
  6. B1 Congratulations 3:30
  7. B2 Heading For The Light 3:37
  8. B3 Margarita 3:16
  9. B4 Tweeter And The Monkey Man 5:30
  10. B5 End Of The Line 3:30

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