String Driven Thing - Keep Yer 'And On It (1976)
String Driven Thing 1976

String Driven Thing - Keep Yer 'And On It (1976)

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String Driven Thing『Keep Yer 'And On It』について

String Driven Thingは、1967年にグラスゴーで結成されたプログレッシブ・ロック/フォーク系のバンドで、Chris Adamsを中心に活動してきたグループだ。本作『Keep Yer 'And On It』は、オリジナル・リリース年が1976年とされる作品で、20th Century RecordsのT-503番としてUS盤が出ている。アーティスト名から受ける印象よりも、実際にはフォーク寄りの感触とロックの推進力を行き来するバンドで、この時期の作品にもその性格がはっきり出ている。

70年代半ばのString Driven Thingは、英国のアンダーグラウンドからメジャー流通のロック市場へ接続しようとしていた時期でもあり、同時代のフォーク・ロック、アート・ロック、サイケデリック・ロックの要素をまとめながら、比較的コンパクトな楽曲に落とし込んでいた印象がある。Fairport ConventionやSteeleye Spanのようなブリティッシュ・フォークの流れと、より硬質なロックバンドとしての推進力が同居するあたりが、このグループの持ち味として語られやすい。

作品の位置づけ

String Driven Thingはメンバー変遷の多いバンドだが、Chris Adamsが長く軸を担ってきた。その意味で『Keep Yer 'And On It』も、単なる一枚のアルバムというより、バンドの輪郭を保ちながら当時のロック文脈に乗せていった時期の記録として見えてくる。英国のバンドでありながらUSレーベルから出ている点も、この時代の市場展開を反映していて、バンドの活動が国内シーンだけで完結していなかったことがわかる。

20th Century Recordsは20th Century-Fox系のレーベルで、70年代前半から中盤にかけてロック作品を多く扱っていた。こうしたレーベルからのリリースは、AORやポップ・ロック寄りの聴き手にも届きやすい一方で、String Driven Thingの持つ少し荒い手触りや、フォーク由来の線の細さもそのまま残りやすい。そうしたバランスが、この盤の聴きどころになっている。

サウンドの印象

実際に聴くと、まず耳に入るのは演奏のまとまりと、楽曲の進行に対する素直さだ。派手な技巧で押すタイプではなく、アコースティックな響きとエレクトリックな押し出しが近い距離で並ぶ。歌が前に出る場面ではフォーク・ロックらしい語り口が立ち、バンド全体が厚みを増す場面ではアート・ロック的な構成感も見えてくる。曲ごとに表情は変わるが、全体としては過度に装飾せず、骨格を見せる作り。

この手の70年代中盤の英国系ロックでは、演奏が大きくなりすぎると曲の輪郭がぼやけることもあるが、本作はその点で比較的整理されている印象がある。ポップ・ロックのわかりやすさと、フォーク・ロックの素朴さ、その間を行き来する流れが中心で、ジャンルの看板だけでは測れないバンド感が残る一枚だ。

注目曲「Keep Yer 'And On It」

タイトル曲「Keep Yer 'And On It」は、本作の顔としてまず触れておきたい一曲だ。言葉の勢いをそのままタイトルにしたような印象があり、バンドのざらついた推進力が出やすい。メロディは耳に残りやすく、同時に歌の置き方にはフォーク由来の素朴さがある。ロックのリズムで前へ進めながら、歌のフレーズが引っかかるように残るタイプの曲で、アルバムの方向性を端的に示している。

この曲では、String Driven Thingが持つ「硬すぎないのに軽くない」感触がよく出る。演奏の密度は高いが、音数で埋めるのではなく、必要な場所にだけ力を置いている感じがある。結果として、70年代中盤のブリティッシュ・ロックの中でも、フォークの温度を保ったままロックとして成立しているのがわかりやすい。

アルバム全体の聴きどころ

本作を通して聴くと、String Driven Thingは単なるフォーク・ロック・バンドというより、楽曲単位で質感を切り替えられるバンドだったことが見えてくる。アート・ロック的な構成を持つ曲では緊張感が出るし、ポップ寄りの曲では旋律のわかりやすさが前に出る。サイケデリック・ロックの要素も、派手な効果ではなく、音の揺れや展開の仕方に残っている。そうした複数の要素が、70年代らしい幅としてまとまっている。

同時代のバンドと比べると、派手な成功や大規模な展開を前提にした作品というより、バンドの個性をそのまま記録したような性格が強い。だからこそ、Chris Adamsを中心としたこのグループの持ち味、つまり歌の芯とバンド演奏の距離感が、アルバム全体で確認しやすい。1976年作として見ると、英国のルーツ感覚とUS市場向けのロック感覚が重なった、時代性のある一枚として位置づけられる。

まとめ

『Keep Yer 'And On It』は、String Driven Thingの中でも、フォーク由来の感触とロックの推進力が比較的はっきり同居した作品として捉えやすい。タイトル曲を軸に、歌の存在感とバンドのまとまりが前に出る内容で、70年代中盤のブリティッシュ・ロックの中でも、過度に大仰にならない実直さが残る。派手さよりも、曲と演奏の組み合わせで聴かせるタイプのアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Starving In The Tropics 5:25
  2. A2 Call Out For Mercy 3:00
  3. A3 Chains (I Wanna Be Just Like Stan Bowles) 4:50
  4. A4 Things We Said Today 6:52
  5. B1 But I Do 3:44
  6. B2 Old Friends 3:46
  7. B3 Ways Of A Woman 4:09
  8. B4 Part Of It 3:40
  9. B5 Stand Back In Amazement 3:05
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