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Tangerine Dreamは、1967年にベルリンで結成された電子音楽グループだ。中心人物は故エドガー・フローゼで、バンドはベルリン・スクールと呼ばれる電子ロックの代表格として知られている。初期はフリー・ロックやクラウトロックの流れにあり、のちにシンセサイザーとシーケンサーを軸にしたサウンドへ移行した。
最初期の編成は、エドガー・フローゼ、コンラート・シュニッツラー、クラウス・シュルツェによるものだった。デビュー作『Electronic Meditation』では、チェロやドラムを含む実験的な即興演奏が前面に出ている。その後、シュニッツラーとシュルツェは離脱し、シュルツェはAsh Ra Tempelへ進んだ。
2作目『Alpha Centauri』ではクリストファー・フランケが加入し、続く『Zeit』でピーター・バウマンが加わる。フローゼ、フランケ、バウマンの体制は、1973年のVirgin Records移籍後に『Phaedra』を発表し、バンドの基本的なスタイルを固めた。
1970年代後半以降もメンバーは入れ替わり、1978年にはバウマンが脱退。『Cyclone』ではスティーヴ・ジョリフがボーカルと木管楽器を担当し、クラウス・クリューガーがドラムで参加した。1980年代に入るとヨハネス・シュミュリングが加わり、この編成は1980年代半ばまで続いた。
Tangerine Dreamの音楽は、シーケンサーの反復、シンセサイザーのレイヤー、長尺の展開を軸にしている。初期は即興色が強く、70年代中盤以降は機械的なリズムと旋律を組み合わせた構成が定着した。
1980年代前半には、シーケンサーとリズムの比重がさらに増えた。一方で、その後の作品では比較的聴きやすいメロディやポップ寄りの要素も増えていく。90年代以降はデジタル音響を取り入れ、過去の要素を参照しながらも、時期ごとに編成と音作りを変えていった。
Tangerine Dreamは映画音楽でも大きな足跡を残している。生涯で60本以上のサウンドトラックを手掛けたとされ、1980年代だけでも30本以上のスコアを担当した。
代表的な作品には、マイケル・マン監督の『Thief』(1981年)、『Risky Business』(1983年)、リドリー・スコット監督の『Legend』(1985年)などがある。特に『Risky Business』は、シンセサイザー主体の映画音楽を広く一般に浸透させた作品として扱われることが多い。
また、ウィリアム・フリードキンがTangerine Dreamの音楽に触れたことをきっかけに、『恐怖の報酬』(Sorcerer, 1977年)の制作を決めたと伝えられている。バンドの音楽が映画企画の成立に影響した例として知られている。
2015年にエドガー・フローゼが亡くなった後も、バンドは活動を続けている。フローゼは亡くなる直前、2005年加入のキーボード奏者トーステン・クヴェッシングを後任リーダーに指名していたとされる。
フローゼの死後は、クヴェッシングを中心にウルリッヒ・シュナウス、ホシコ・ヤマネらとともに制作と演奏を継続した。2017年には、フローゼが遺したアイデアやスケッチをもとにした『Quantum Gate』を発表している。これは結成50周年の年に出た作品としても位置づけられている。
Tangerine Dreamは、シンセサイザーとシーケンサーを使った電子音楽をロックの文脈へ持ち込んだグループとして扱われることが多い。ベルリン・スクールの中心的存在として、同系統の電子音楽やアンビエント、映画音楽の制作に影響を与えてきた。
クラウトロックの実験性から始まり、70年代の宇宙的な反復構造、80年代の映画音楽、90年代以降のデジタル志向まで、活動の軸は変わっても電子音楽の制作集団としての性格は保たれている。現在も公式サイトやBandcamp、YouTubeなどで作品や情報を追うことができる。