AC/DC - Back In Black (1980)
AC/DC 1980

AC/DC - Back In Black (1980)

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AC/DC『Back In Black』――喪失の直後に放たれた、バンド再起の決定打

AC/DCの『Back In Black』は、1980年にオーストラリアでリリースされた7作目のスタジオ・アルバムで、バンドにとって大きな転機となった作品だ。ボン・スコット急逝後、ブライアン・ジョンソンを新たに迎えて制作された本作は、悲劇の直後という状況を背負いながらも、AC/DCらしい直進性をそのまま保ったアルバムとして知られている。サウンドはハードロックを軸に、ブルース・ロック由来の骨太なリフと、無駄を削った構成が前面に出ている。

この作品の重要性は、単に「有名なアルバム」というだけではない。バンドの存続そのものを左右する局面で、AC/DCがどのように立ち直ったかを示す記録でもある。結果として『Back In Black』は、AC/DCの代表作であると同時に、ロック史の中でも屈指の節目に置かれる作品になった。英国のチャートでも米国のチャートでも長く支持され、後年まで強い存在感を保ち続けたことからも、その位置づけは明確だ。

盤の仕様と初回プレスらしさ

今回の盤はオーストラリア盤の初回プレスで、Albert ProductionsのAPLP.046。赤いラベルに黄色のストロボ・マークが入る仕様で、ジャケットにはエンボス加工のロゴとアルバム・タイトルが施されている。付属物として、写真とクレジットを載せた折り込みのインナー・シートが入っているのも特徴だ。レーベル表記はAPLP-046、カバー表記はAPLP.046となっており、当時の現地盤らしい作りになっている。

録音は1980年4月から5月にかけて、バハマのCompass Point Studiosで行われた。クレジット上でもその点が明記されており、制作の軸が短期間で固められたことがうかがえる。初回盤としての情報を踏まえると、オリジナルの空気を強く残した一枚として扱いやすい。

作品の位置づけ――ボン・スコット後、最初の答え

『Back In Black』は、ボン・スコットの死を受けて発表された最初のアルバムという点で、AC/DCの歴史の中でも特別な意味を持つ。だが、内容は追悼一色ではない。むしろ、喪失を抱えたまま、バンドが前を向いて進むための実践的な答えになっている。ブライアン・ジョンソンの声は新しい顔として機能しつつ、アンガス・ヤングとマルコム・ヤングのギター・ワークは従来のAC/DCらしさをしっかり維持している。

同時代のハードロックやヘヴィなロックの中でも、この作品は派手な展開より、リフの反復とグルーヴの押し出しで勝負している点がはっきりしている。レッド・ツェッペリンのような構築美とも、ディープ・パープルのような技巧の見せ場とも少し違い、AC/DCはもっと直接的だ。そこにブルース・ロックの土台があり、演奏の隙間まで含めてリズムが前へ出る作りになっている。

注目曲「Hells Bells」――鐘の音から始まる導入の強さ

冒頭の「Hells Bells」は、このアルバムを象徴する一曲だ。鐘の音で始まる導入は、ボン・スコットへの追悼を思わせるが、曲そのものは重く沈み込むより、ゆっくりとした歩幅で迫ってくる。イントロからリフ、ヴォーカルの入りまでの流れが整理されていて、アルバム全体の空気を最初に決める役割を担っている。

実際に聴くと、音数を増やさずに緊張感を作る設計がよく分かる。ブライアン・ジョンソンの声は、ここで既にバンドの新しい推進力として機能している。悲しみを前面に出すのではなく、重さをそのまま前進のエネルギーへ変えていくような立ち上がりだ。

注目曲「Back In Black」――バンドの名刺のように機能する表題曲

表題曲「Back In Black」は、このアルバムを語るうえで外せない。ギター・リフが先に立ち、そこへヴォーカルとリズムが噛み合う構造で、曲の輪郭が非常にはっきりしている。シンプルなフレーズを繰り返しながら、演奏の勢いで引っ張る作りは、AC/DCの代表的な方法論そのものだ。

この曲は、アルバムの中でも特に「再出発」の意味を帯びた一曲として受け取られやすい。だが、音そのものは感傷に寄りすぎず、むしろ鋭い切れ味を保っている。ライブでも定番化しやすい構造で、初めて聴いてもフックが分かりやすい。AC/DCの名前を初めて意識する入口としても、長く機能してきた曲だろう。

注目曲「You Shook Me All Night Long」――ポップさと硬さの両立

「You Shook Me All Night Long」は、本作の中でも特に広く知られた代表曲だ。リフの分かりやすさ、コーラスの抜けの良さ、テンポの良い推進力がそろっていて、AC/DCの中では比較的親しみやすい側面が出ている。とはいえ、軽く聴こえるわけではなく、ギターの刻みとリズム隊の押しがしっかり土台を作っている。

この曲が強いのは、ハードロックの骨格を崩さずに、フックの明快さを前に出している点だ。アルバム全体の中では、重さ一辺倒にせず、曲順の流れに呼吸を与える役割も担っている。ヒット曲として知られるのも納得しやすい、完成度の高い一曲だ。

総評

『Back In Black』は、AC/DCが悲劇のあとに出した作品でありながら、気負いよりも実行力で押し切ったアルバムだ。録音時期、編成、リリースの背景まで含めて、バンドの歴史の中で大きな節目にある。音楽としては、リフ中心のハードロックを軸に、ブルース・ロックの感触を残しつつ、無駄を削った構成が最後まで貫かれている。

初回オーストラリア盤は、赤ラベルやエンボス・ジャケット、折り込みインナーなど、当時の物としての手触りも含めて魅力がある。作品そのものはもちろん、AC/DCがこの局面でどのように自分たちの形を保ったかを示す記録としても、十分に見応えのある一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Hell's Bells 5:10
  2. A2 Shoot To Thrill 5:17
  3. A3 What Do You Do For Money Honey 3:36
  4. A4 Given The Dog A Bone 3:31
  5. A5 Let Me Put My Love Into You 4:12
  6. B1 Back In Black 4:17
  7. B2 You Shook Me All Night Long 3:29
  8. B3 Have A Drink On Me 4:01
  9. B4 Shake A Leg 4:04
  10. B5 Rock And Roll Ain't Noise Pollution 4:12

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