Radius - Che Cosa Sei (1976)
Alberto Radius 1976

Radius - Che Cosa Sei (1976)

Rock Pop Pop Rock

Alberto Radius / Che Cosa Sei(日本盤 1982年)

アルベルト・ラディウスは、イタリアのロック史の中でギタリストとして強い存在感を残した人物だ。Formula 3の中心メンバーとして知られ、ソロではバンド時代とは少し違う、より自由度の高い曲作りを展開している。その流れの中で1976年に発表されたのが『Che Cosa Sei』である。日本盤はSeven Seasから1982年にリリースされており、オリジナルの1976年盤とは時期を分けて流通した一枚になる。

この作品は、イタリアン・ロックの熱量を土台にしながら、ファンク寄りのリズム、ポップな輪郭、叙情的なメロディが同居する内容でまとまっている。Formula 3の延長線上にある濃さを保ちつつ、ソロ作としてのまとまりもはっきりしているところが特徴だ。ラディウスはギタリストとしての手数の多さだけで押すタイプではなく、フレーズの置き方や歌との距離感で曲を進める人で、その持ち味がこのアルバムでも見えやすい。

作品の位置づけ

『Che Cosa Sei』は、Formula 3で知られたラディウスが、バンドの看板から少し離れた場所で自身の色を整理した作品として捉えやすい。1970年代半ばのイタリアでは、ロック、カンツォーネ、ファンク、ソウルの要素が混ざる作品が多く、その文脈の中でこのアルバムも自然に置ける。プログレッシブ・ロックの出自を感じさせる構成感を残しつつ、歌ものとしての分かりやすさもあるため、同時代のイタリアン・ロックの中では比較的聴きやすい部類に入る。

また、作詞面ではダニエレ・パーチェが関わっており、曲ごとの言葉選びに少しひねりがある。直線的なラブソングだけでなく、風刺や比喩を含んだ題材も見られ、アルバム全体に一筋縄ではいかない印象を与えている。

表題曲「Che Cosa Sei」

タイトル曲「Che Cosa Sei」は、このアルバムの性格を最も端的に示す曲だ。ファンキーなリズムの上に、ラディウスのギターが細かく入り込み、歌はソウル寄りの推進力を持って進む。イタリア語の響きも手伝って、単純なロック・ナンバーというより、リズムとフレーズの掛け合いで聴かせる構成になっている。曲名の意味は「君っていったい何なの?」というニュアンスで、言葉の強さと音の推進力が合っている。

この曲で目立つのは、ギターが前に出すぎず、それでも要所でしっかり印象を残す点だ。ラディウスは速弾きの見せ場より、リフや短いソロで曲の空気を変えていくタイプで、その持ち味がよく出ている。アルバムの入口としてもわかりやすく、全体の方向性を決める代表曲として扱いやすい。

「Rock and Roll Show」「Mio Shangai」

「Rock and Roll Show」は、タイトル通りエネルギーの立ち上がりがはっきりした曲で、アルバムの中でもロック色が強く出る場面だ。演奏の勢いで押し切るというより、リズムの切り替えとコーラス感で展開していくため、単調さが出にくい。ラディウスのボーカルとギターが同じ重心で動いていく感じがあり、ソロ作らしい一体感がある。

「Mio Shangai」は、曲名の印象どおり少し異国的なムードを持ったナンバーで、アルバムの中で色味を変える役割を担っている。こうした楽曲が入ることで、単なるロック・アルバムではなく、当時のイタリア作品らしい多面的な作りが見えてくる。メロディの運び方も直線的ではなく、語り口のように進む部分があり、ラディウスの作曲家としての幅を感じやすい。

「Un Cane Randagio」ほかバラード面

「Un Cane Randagio」は、アルバムの中で感情の輪郭がはっきり出るバラード寄りの曲だ。派手な展開で聴かせるのではなく、旋律の流れと歌の置き方で印象を残すタイプで、ラディウスがギタリストである前にシンガー・ソングライターとして曲を組み立てていることが伝わる。こうした曲が入ることで、ファンク寄りの曲との対比も生まれている。

アルバム全体を通してみると、強いリフ、歌を支えるギター、少しひねったテーマの歌詞がバランスよく並んでいる。派手にジャンルを跨ぐというより、ロックとポップの間を行き来しながら、自分の演奏と歌を前に出す作り。Formula 3時代の緊張感を引き継ぎながら、ソロ作品としての整理が進んだ一枚として見ると分かりやすい。

日本盤について

この日本盤はSeven Seasからの1982年リリースで、レーベル表記はK22P-224。オリジナルの1976年盤から時間を置いての国内発売であり、当時の日本ではイタリアン・ロックや欧州ロックの再評価が進んでいた流れとも重なる。盤面には「Made In Japan」とあり、国内流通向けに整えられたリリースであることがわかる。

『Che Cosa Sei』は、アルベルト・ラディウスというギタリストの輪郭を知るうえで、Formula 3だけでは見えにくい部分を補ってくれる作品だ。ロック、ポップ、ファンクの要素が無理なく並び、曲ごとの性格もはっきりしている。イタリアン・ロックの1970年代という文脈の中で、ラディウスのソロ活動を確認する一枚として印象に残る内容である。

トラックリスト

  1. A1 Che Cosa Sei 3:58
  2. A2 L'Asino 3:58
  3. A3 Il Respiro Di Laura 5:12
  4. A4 La Meta' 5:07
  5. B1 Sound 3:40
  6. B2 Salamoia 3:42
  7. B3 Suoni 4:47
  8. B4 Zenit 4:47
  9. B5 Pop Star 4:00

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