Mike Oldfield - Islands (1987)
Mike Oldfield 1987

Mike Oldfield - Islands (1987)

Electronic Rock Pop Experimental Pop Rock

Mike Oldfield『Islands』(1987)レビュー

Mike Oldfieldの『Islands』は、1987年にUKのVirginからリリースされたアルバムである。マルチインストゥルメンタリストとして知られるOldfieldが、ロック、ポップ、電子音楽、プログレッシブな構成感を行き来しながら作ってきた流れの中でも、80年代後半の空気を強くまとった一作として位置づけられる。『Tubular Bells』でVirginの歴史を決定づけた人物だけに、レーベルの看板アーティストとしての存在感はこの時期も変わらない。『Islands』は、そうした長いキャリアの中で、シングル曲の存在感とアルバム全体のまとまりが並立している作品と見てよさそうだ。

アルバムはVirginの品番V 2466で、UK盤としての出自がはっきりしている。1987年という年は、Virginのレーベルデザインがグリーン/レッド系からグレー・ホワイト系へ切り替わっていく時期でもあり、この盤もその時代感を持つ。Oldfieldの作品群の中では、70年代の長尺組曲的な作風と比べると、より曲単位の輪郭が明確で、シングル向きの楽曲が核になっている点が目につく。とはいえ、単なるポップ路線に寄り切るわけでもなく、演奏や音色の組み立てには彼らしい細かな作り込みが残っている。

作品の位置づけ

Mike Oldfieldは、プログレッシブ・ロックを出発点にしながら、フォーク、民族音楽、クラシック、電子音楽まで取り込んできた作家である。『Islands』は、その幅広い作風の中でも、80年代の制作感覚が前に出た時期の作品として見られる。特にこの頃のOldfieldは、アルバム全体の構成だけでなく、ラジオや映像メディアとも相性のよい曲を置くことで、作品の入口を広げていた印象がある。

同時代の文脈でいえば、英国のプログレ系アーティストが80年代にポップスやシンセ主体の音作りへ接近していく流れとも重なる。大きなスケール感を保ちながら、曲の尺やフックを整理していくやり方は、GenesisやYesの80年代的変化とも比較されやすいが、Oldfieldの場合はあくまで多重録音と器楽的な発想が土台にある点が異なる。

注目曲「Islands」

タイトル曲「Islands」は、このアルバムの中心に置かれた楽曲で、静かな導入から輪郭を持った展開へ進む構成が印象に残る。Oldfieldの曲は、旋律の流れが自然に次の場面へつながることが多いが、この曲でもその作りがよく出ている。メロディの置き方が素直で、80年代後半のシンセやリズムの質感の上に、彼らしいギターやアレンジの積み重ねが乗る。

タイトル曲として作品全体の印象を決める役割も大きい。『Islands』という題名が示すように、曲そのものも断片ではなく、いくつかの景色が切り替わるような感触を持つ。派手な展開で押すタイプではないが、聴き進めるほどに細部が見えてくるタイプの楽曲である。

注目曲「Magic Touch」

「Magic Touch」は、このアルバムを語るうえで外せない代表曲で、シングルとしての分かりやすさが強い。Oldfieldの作品の中でも、比較的ポップソングとしての輪郭がはっきりしていて、コーラスやリフの運びが前に出る。アルバム全体の中で聴くと、ここで空気が少し開けるような役割を持っている。

80年代のVirgin期Oldfieldらしく、音の整理が進んでいる一方で、単純に軽くなるわけではない。ベースラインやキーボードの層が楽曲の推進力を作り、そこにOldfieldの演奏が絡む。ヒット曲としての認知が強い一方で、アルバムの流れの中に置かれると、作品の方向性を端的に示す曲として機能している。

シングル曲とアルバムの流れ

この『Islands』からは複数のシングルが切られており、マスターノートにもその収録曲が示されている。つまり、アルバム全体を通しても、個別の楽曲として独立性の高い曲が並んでいる構成である。Oldfieldの長尺作品に慣れていると、この時期のアルバムは曲ごとの役割分担がはっきりしていて、入口がつかみやすい。代表曲が前に出る一方で、アルバム本体はその周囲を支えるように流れていく。

聴感上は、70年代の大作群ほどの組曲的な圧はないが、そのぶん楽曲の見通しがよく、ポップと実験性の境目を行き来する感触がある。派手な装飾よりも、音の切り替えやレイヤーの配置で印象を作るあたりに、Oldfieldの作曲家としての手つきが出ている。

盤のポイント

UK盤Virginの1987年プレスという点も、このレコードの特徴である。Virginはこの時期、古いグリーン/レッド系のラベルからグレー・ホワイト系のラベルへ移行しており、まさに80年代後半のVirginらしい外観を持つ。ジャケットやラベルの時代感も含めて、80年代のレーベル文化の中に置くと見えやすい一枚だろう。

Mike Oldfieldのディスコグラフィーの中では、初期の革新的な大作と、後年のよりメロディ重視の作品群をつなぐ地点にあるアルバムとして見られる。『Islands』は、その中間地点の空気をよく伝える作品で、シングル曲の強さとアルバムとしての流れの両方が確認できる一作である。

トラックリスト

  1. A1 The Wind Chimes Part One 2:30
  2. A2 The Wind Chimes Part Two 19:18
  3. B1 Islands 4:20
  4. B2 Flying Start 3:37
  5. B3 North Point 3:33
  6. B4 Magic Touch 4:14
  7. B5 The Time Has Come 3:55

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