Edwards Hand - Stranded (1971)
Edwards Hand 1971

Edwards Hand - Stranded (1971)

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Edwards Hand『Stranded』――英国フォーク・ロックの流れにある、1971年録音の完成形

Edwards Handの『Stranded』は、英国のソングライター/演奏家コンビ、ロッド・エドワーズとロジャー・ハンドを軸にした作品で、1971年にオリジナルが出たアルバムだ。メンバーにはジョン・ウェットンの名もあり、のちの英国プログレッシブ・ロックを思わせる人選が目を引く。とはいえ、内容は大仰な組曲よりも、曲ごとの輪郭をきちんと聴かせるタイプで、ポップ・ロックの親しみやすさと、70年代初頭の英フォーク・ロックらしい手触りが同居している。

2006年にLightning Treeから出たこの盤は、オリジナルの再発盤にあたる。マスター・テープから起こされ、プロデューサーとバンド双方の承認を得て再発されたもので、オリジナルのKlaus Voormannによるスリーヴを再現した仕様。白いダイカットの紙製インナーに収められている点も、当時の空気を意識した作りだ。音源そのものを新たに編集したというより、元のアルバムをできるだけそのままの形で受け継ぐ再提示と見てよさそうだ。

Edwards Handというバンドの位置づけ

Edwards Handは、もともとPicadilly Lineとして活動していた英国のグループで、1968年に旧名義でアルバムを残し、その後に改名して1969年にセルフタイトル作を発表している。あのアルバムはジョージ・マーティンがプロデュースを手がけ、ビートルズ『ホワイト・アルバム』から離れていた時期に「exceptional」と評したというエピソードが残る。そうした背景を踏まえると、『Stranded』は単独の再発見盤というより、英国の良質なソング・ベースのロックが成熟していく過程に置かれる作品として見えてくる。

『Stranded』には、派手な売り込みよりも、演奏と曲作りを落ち着いて聴かせる姿勢がある。ロッド・エドワーズの鍵盤と歌、ロジャー・ハンドのアコースティック・ギターと歌が中心にあり、そこへジョン・ウェットンの存在感が加わることで、曲の芯が少し太くなる。英国の同時代のバンドでいえば、フォーク寄りの感触を持つポップ・ロックや、過度に装飾しないプログレ周辺の空気とつながる場面がある。

アルバム全体の聴きどころ

このアルバムでまず印象に残るのは、音の置き方が比較的明快なことだ。アコースティック楽器の輪郭が前に出て、そこに鍵盤が重なり、曲の展開を大きくしすぎずに進めていく。メロディは親しみやすいが、単純な反復だけで終わらず、和声や編曲の変化で聴かせる場面が多い。録音はロンドンのMorgan Studios、ミックスはA.I.R. Studiosで行われており、70年代初頭の英国作品らしい、スタジオ仕事の丁寧さも感じられる。

また、ジャケットの再現を含めて、作品全体に「当時の形をできるだけ保つ」という意識がはっきりしている。再発盤として聴くと、単なるカタログ整理ではなく、オリジナル盤の文脈をそのまま持ち込もうとする姿勢が見える。ライナーや装丁を含めて、作品をひとつのパッケージとして扱っている印象だ。

注目曲について

『Stranded』の中でも、アルバム表題を背負う曲は、作品の性格をつかみやすい入口になっている。曲の構造は過剰に複雑ではなく、歌を軸にしながら、鍵盤とギターが場面ごとに色を変えていくタイプだ。耳に残るのは、派手なサビというより、フレーズの運びそのもの。英国フォーク・ロックの流れを踏まえつつ、ポップ・ソングとしてのまとまりも失わないあたりが、このバンドらしさとして出ている。

ジョン・ウェットンが参加している楽曲では、低音の押し出しやアンサンブルの密度が少し変わって聞こえる。ベースがただ土台を支えるだけでなく、曲の推進力として働くため、同じアルバム内でも印象に差が出る。プログレ的な派手さを前面に出すのではなく、曲全体の流れを整える役回りに近い。そうしたバランス感覚が、『Stranded』を単なる埋もれた英フォーク・ロック盤以上の存在にしている。

再発盤としての価値

2006年盤は、オリジナル1971年盤の再提示として意味がある。マスター・テープ使用、正規ライセンス、オリジナル意匠の再現という点から、音源とパッケージの両方で当時の姿に近づけている。盤のクレジットには、Lennie Poncherへの献辞も記されており、制作に関わった人々の記憶も含めて作品が残されていることがわかる。

Edwards Handの『Stranded』は、英国ロックの大きな潮流の中で、派手に語られる機会は多くないかもしれないが、曲作り、演奏、録音、装丁まで含めて見ると、かなり筋の通った一枚だ。フォーク由来の親密さと、70年代初頭のロック作品らしいスタジオ感、その両方が無理なく同居している。作品の輪郭を静かに確かめたいときに、手元に置いておきたくなるタイプのアルバムである。

トラックリスト

  1. Suite US
  2. A1 US Flag
  3. A2 Sheriff Myras Lincoln
  4. A3 Revolution's Death Man!
  5. A4 Encounter
  6. A5 Hello America
  7. -
  8. B1 Stranded
  9. B2 Winter
  10. Death Of A Man

動画

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